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第一章〜商店街は妖怪騒ぎの巻〜
その④
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「まずはオババの家に行くことが先決ね」
オババは今年で八十五歳の誕生日を迎えた、元気なお婆ちゃんである。
町中に名の知れた相当な力の持ち主で、むすびちゃん一人の力では手も足も出ない。
オババは町のはずれ、竹林を抜けた先の一軒家に一人で住んでいて、ここから徒歩三十分ほどで行くことができる。
「合流して、それから妖怪をちゃちゃっと退治しちゃいましょう」
きっとむすびちゃんの助けになってくれるだろう。
「子供はみんなオババのところに避難させてもらってるんですけど…どうしてオババはいなくならなかったんでしょう?大人なのに」
「そこらの物の怪の力など効かないのよ。昔からそんな人だったから…」
懐かしさに浸る。
「…って、そんなことしてる暇なかった」
再度出発の準備を進める。
「そういえば、さっきお化けがうんたらかんたらって言ってましたけど、妖怪とは違うんですか?」
「そうね。ちょっと説明しましょうか」
この世界では、人ならざる者を「物の怪」と呼ぶ。
その中でも、人の姿をする物の怪を「幽霊」、人に限らず不思議な現象を起こすことのできる物の怪を「妖怪」、そして、それ以外の雑魚を「お化け」と呼ぶのだ。
「ちょっとずつ意味が違うんですね」
「ええ、だから商店街にいる妖怪はさっきのお化けよりも強いわ」
「ええー…やだなぁ」
「あと、お化けは見つけ次第できるだけ駆除しなきゃ駄目なのよ」
「なぜです?」
小梅は首をかしげる。
「とんでもないことになるわ。今は割愛させてもらうけど」
「そんなぁ、気になるじゃないですかぁ」
そうこうしている間に身支度を済ませ、出発の用意は整った。
「この部屋全体に結界を張ったわ。私の力ではこれが限界ね。それじゃあ…」
「私も行きます!」
「小梅ちゃんはここで待ってなさい」
「嫌ですーー!私もみんなを助けるんですーー!」
「さっきの話聞いてたでしょう⁉小梅ちゃんじゃ危険なのよーーっ!」
ついてこようとする小梅を必死で止め、鳥居をくぐり、石段を駆け下りる。
後ろを振り返ると、手を振る縁乃姫の面影が見えたような―見えないような気がした。
「あの神様は一体何をしているのかしら!こんな状況も知らないで!」
ぶつぶつ言いながら町へと向かう。
時刻は只今午後一時頃。
空にはおひさまが高く高く昇っている。
晩ご飯の時間までには帰ることができるといいな、と思った。
「まずはオババの家に行くことが先決ね」
オババは今年で八十五歳の誕生日を迎えた、元気なお婆ちゃんである。
町中に名の知れた相当な力の持ち主で、むすびちゃん一人の力では手も足も出ない。
オババは町のはずれ、竹林を抜けた先の一軒家に一人で住んでいて、ここから徒歩三十分ほどで行くことができる。
「合流して、それから妖怪をちゃちゃっと退治しちゃいましょう」
きっとむすびちゃんの助けになってくれるだろう。
「子供はみんなオババのところに避難させてもらってるんですけど…どうしてオババはいなくならなかったんでしょう?大人なのに」
「そこらの物の怪の力など効かないのよ。昔からそんな人だったから…」
懐かしさに浸る。
「…って、そんなことしてる暇なかった」
再度出発の準備を進める。
「そういえば、さっきお化けがうんたらかんたらって言ってましたけど、妖怪とは違うんですか?」
「そうね。ちょっと説明しましょうか」
この世界では、人ならざる者を「物の怪」と呼ぶ。
その中でも、人の姿をする物の怪を「幽霊」、人に限らず不思議な現象を起こすことのできる物の怪を「妖怪」、そして、それ以外の雑魚を「お化け」と呼ぶのだ。
「ちょっとずつ意味が違うんですね」
「ええ、だから商店街にいる妖怪はさっきのお化けよりも強いわ」
「ええー…やだなぁ」
「あと、お化けは見つけ次第できるだけ駆除しなきゃ駄目なのよ」
「なぜです?」
小梅は首をかしげる。
「とんでもないことになるわ。今は割愛させてもらうけど」
「そんなぁ、気になるじゃないですかぁ」
そうこうしている間に身支度を済ませ、出発の用意は整った。
「この部屋全体に結界を張ったわ。私の力ではこれが限界ね。それじゃあ…」
「私も行きます!」
「小梅ちゃんはここで待ってなさい」
「嫌ですーー!私もみんなを助けるんですーー!」
「さっきの話聞いてたでしょう⁉小梅ちゃんじゃ危険なのよーーっ!」
ついてこようとする小梅を必死で止め、鳥居をくぐり、石段を駆け下りる。
後ろを振り返ると、手を振る縁乃姫の面影が見えたような―見えないような気がした。
「あの神様は一体何をしているのかしら!こんな状況も知らないで!」
ぶつぶつ言いながら町へと向かう。
時刻は只今午後一時頃。
空にはおひさまが高く高く昇っている。
晩ご飯の時間までには帰ることができるといいな、と思った。
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