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第一章〜商店街は妖怪騒ぎの巻〜
その⑭
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「残りの三体はどんなやつで、どこにいるの?さあ、答えなさい」
前回、一つ目小僧を捕まえたむすびちゃんとみくじちゃんは、じりじりと険しい表情で詰め寄っていた。
一つ目小僧はドラマで見るような、取調室で自白を強要されている気分になっていた。
もちろんかつ丼はないのだが。
「なんで教えないといけねーんだ」
「私が困るからよ」
「そーだそーだ」
「教えたところで何にもなんないだろ」
「私が今この手であなたを祓ってあげてもいいのよ?」
「そーだそーだ」
「分かったよ!教えりゃいいんだろ?」
「そーだそーだ」
一つ目小僧はため息をつくと、話し始めた。
「今残ってるのは猫又、尻尾が二本に分かれている妖怪な。あと小鬼、角が生えただけで、お前らと変わらない見た目をしているぜ。そして親分の―」
「にゃあのことを話してるのかにゃん」
急に可愛らしい声が聞こえてきた。
視線を落としてみると、可愛い猫がいた。
可愛い。
白、茶、黒の三色の三毛猫で、きゅるるんとしたお目目や、ふわふわな毛並みがとても可愛い。
人語を話すのと、尻尾が二つに分かれていること以外はとても可愛い猫に見える。
可愛い。
「そう、こいつが猫又な」
「にゃあは猫又っていうものにゃん」
「……」
二人は顔を見合わせ―
そして次の瞬間、
「…かわい~~!!今喋ったぁ⁉もっかい“にゃん”って言ってみて!“にゃん”て!!」
「にゃん」
「あ、あのっ!触ってもいいですか…?もふもふ~ってしたいのだけど…」
「わかったにゃん」
猫又はむすびちゃんの膝に飛び乗る。
「じゃあ失礼します…わ~…ふわふわ~癒されるぅ~…ありがとうございます…」
「ふわふわごろごろにゃんにゃん」
「次私!私も撫でるーー!!」
「おっけーにゃん。にゃんにゃん」
「「可愛い~~!!」」
と、きゃぴきゃぴはしゃぎ騒いだ。
二人とも動物が大好きで、特に猫派だったので、もう目の前の猫にめろめろで、釘付けになっていた。
そうやってしばらくの時間猫と戯れていたが、ふと正気に戻ったむすびちゃんは、少し違和感を覚えた。
(どうしてこの猫又はわざわざ自分から捕まるようなことをしてきたのかしら?別にめりっとは無いはずなのに…)
気が付くと一つ目小僧はいつの間にかいなくなっていた。
何か嫌な予感がする。
「ん?」
さっきまで全く気が付かなかったが、角の生えた人型の妖怪が忍び足で通り過ぎようとしている。
こちらをちらちらと見ながらそーっと、そーっと。
抜き足、差し足、忍び足。
そろり。そろり。そろり。
「ばれてるわよ」
「ぎくっっ!」
呆れながら言うと、大袈裟にリアクションを返してくれた。
「あなたが小鬼ね、何を企んでいるのかしら?言いなさい」
「絶対に言わないんよー!」
小鬼は首を左右に振り回している。
「まま、まさか猫又を人質ならぬ猫質にして、その隙に牢屋に入っている捕まった仲間たちを助けに行こうだなんて、これっぽっちも思ってないんよー!」
「全部言ってるじゃない!」
「とりあえず逃げるんよー!」
小鬼は一目散に逃げだした。
「絶対にさせるもんですか!」
むすびちゃんはそれを追う。
そして取り残されたみくじちゃんは、猫又を撫でながらぽつりと呟いた。
「これって鬼ごっこじゃなくてケイドロだったんだ…」
「にゃんにゃん」
(猫質か…ちょっと可愛いかも…ってそんなことより早く追いかけないと!)
(しっかりしろ!私!!)
残り二体。
大丈夫なのか⁉むすびちゃん!
「残りの三体はどんなやつで、どこにいるの?さあ、答えなさい」
前回、一つ目小僧を捕まえたむすびちゃんとみくじちゃんは、じりじりと険しい表情で詰め寄っていた。
一つ目小僧はドラマで見るような、取調室で自白を強要されている気分になっていた。
もちろんかつ丼はないのだが。
「なんで教えないといけねーんだ」
「私が困るからよ」
「そーだそーだ」
「教えたところで何にもなんないだろ」
「私が今この手であなたを祓ってあげてもいいのよ?」
「そーだそーだ」
「分かったよ!教えりゃいいんだろ?」
「そーだそーだ」
一つ目小僧はため息をつくと、話し始めた。
「今残ってるのは猫又、尻尾が二本に分かれている妖怪な。あと小鬼、角が生えただけで、お前らと変わらない見た目をしているぜ。そして親分の―」
「にゃあのことを話してるのかにゃん」
急に可愛らしい声が聞こえてきた。
視線を落としてみると、可愛い猫がいた。
可愛い。
白、茶、黒の三色の三毛猫で、きゅるるんとしたお目目や、ふわふわな毛並みがとても可愛い。
人語を話すのと、尻尾が二つに分かれていること以外はとても可愛い猫に見える。
可愛い。
「そう、こいつが猫又な」
「にゃあは猫又っていうものにゃん」
「……」
二人は顔を見合わせ―
そして次の瞬間、
「…かわい~~!!今喋ったぁ⁉もっかい“にゃん”って言ってみて!“にゃん”て!!」
「にゃん」
「あ、あのっ!触ってもいいですか…?もふもふ~ってしたいのだけど…」
「わかったにゃん」
猫又はむすびちゃんの膝に飛び乗る。
「じゃあ失礼します…わ~…ふわふわ~癒されるぅ~…ありがとうございます…」
「ふわふわごろごろにゃんにゃん」
「次私!私も撫でるーー!!」
「おっけーにゃん。にゃんにゃん」
「「可愛い~~!!」」
と、きゃぴきゃぴはしゃぎ騒いだ。
二人とも動物が大好きで、特に猫派だったので、もう目の前の猫にめろめろで、釘付けになっていた。
そうやってしばらくの時間猫と戯れていたが、ふと正気に戻ったむすびちゃんは、少し違和感を覚えた。
(どうしてこの猫又はわざわざ自分から捕まるようなことをしてきたのかしら?別にめりっとは無いはずなのに…)
気が付くと一つ目小僧はいつの間にかいなくなっていた。
何か嫌な予感がする。
「ん?」
さっきまで全く気が付かなかったが、角の生えた人型の妖怪が忍び足で通り過ぎようとしている。
こちらをちらちらと見ながらそーっと、そーっと。
抜き足、差し足、忍び足。
そろり。そろり。そろり。
「ばれてるわよ」
「ぎくっっ!」
呆れながら言うと、大袈裟にリアクションを返してくれた。
「あなたが小鬼ね、何を企んでいるのかしら?言いなさい」
「絶対に言わないんよー!」
小鬼は首を左右に振り回している。
「まま、まさか猫又を人質ならぬ猫質にして、その隙に牢屋に入っている捕まった仲間たちを助けに行こうだなんて、これっぽっちも思ってないんよー!」
「全部言ってるじゃない!」
「とりあえず逃げるんよー!」
小鬼は一目散に逃げだした。
「絶対にさせるもんですか!」
むすびちゃんはそれを追う。
そして取り残されたみくじちゃんは、猫又を撫でながらぽつりと呟いた。
「これって鬼ごっこじゃなくてケイドロだったんだ…」
「にゃんにゃん」
(猫質か…ちょっと可愛いかも…ってそんなことより早く追いかけないと!)
(しっかりしろ!私!!)
残り二体。
大丈夫なのか⁉むすびちゃん!
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