あざとい僕の甘い罠

とと

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「中目部長、おはようございます!」

「あ、おはよう」

昨日のことが何もなかったみたいに、朝はにっこり挨拶されて、仕事終わりには当たり前のように家に来る。

……なんなん、これ。毎回こんな感じやけど、新の情緒って一体どうなってるんやろう。

昨日の夜は仲直りしたはずやのに、話の流れで「俺のこと嫌い」なんて言うてくる。

俺だって、半沢くん相手に本気で言うてるわけやないやんか。手こずる子供をあやす親みたいな感じで、ちょっと突っぱねてみただけやん。

……半沢くんと飲みに行って、「責任取る」なんて話をしたのがバレたんかな。それで機嫌悪いんか?

やってしゃあないやん。新が俺のことほんまは好きやなくて、可哀想な同級生のお兄ちゃんの相手を「恋人ができるまで」してくれてるだけ……っていうのもあるかもなって、思てしもうたんやもん。

新に嫌われて一週間以上。本人からは音沙汰なし。やけど、会社では挨拶も会話もしてくれるし、普通に笑ってくれる。……それが余計にキツい。

「うがぁ~! 恋愛むずすぎる!!」

「……中目部長が取り乱してるところ、初めて見ました」

「え!?」

振り返ると、俺の肩に手をかけようとして止まっている半沢くんがおった。

「すみません、ここで集合って言われて。元宮さんたちは、まだみたいですね」

おーおー、穏やかな笑顔浮かべて、さぞかし幸せなんやろうな。俺はお前のせいでいらん喧嘩して、新からそっぽ向かれてるんやぞ。

……まあ、元はと言えば俺の勘違い発言から出たハプニングやから、自業自得なんやけどな。

「あれ、まだやってんの? お弁当の会」

「やってますよ! 参加者も増えて賑わってます。中目部長も、もう一度参加しませんか? 僕、部長のお弁当食べてみたいです!」

「俺なぁ、ああいうの向いてへんねん。生まれつき不器用やからな」

「あー、新と同じこと言ってる! なんか似てますよね、中目部長と新って」

ちょっと待て。急に名前出すんやめてくれ。
俺と新の関係を知ってて探りを入れてるんか? いや、会社で何かする時は細心の注意を払ってるし、誰にもバレてないはずや。
こんなんバレたら、新に迷惑がかかるだけやからな。
やけど、こいつら同期で仲ええから、どこから漏れるかわからんのよな。

……ていうか、もしかしてもう知ってるんか、これ? いや、でも半沢くんは俺のこと好きやったみたいやし、どうなんやろ。

「……そんな、俺なんかが似てるわけないやろ。野中くんは完璧やし、まだ若いしな」

「僕から見たら、二人とも完璧でお似合いやと思いますよ。二人並んで仕事の話してるの、見惚れちゃうくらいカッコいいですし……付き合っちゃえばいいのにーって、本気で思てます」

「……そんな。野中くん、相手くらいおるやろ?」
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