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20.月の女神(side:レイ)
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女神の顔を1度でも見てしまうともうダメだった。また見たいという欲が溢れ出し、用もなく廊下をウロウロしてしまう。
現在俺は周りに追いつくため勉強を頑張っている。女神を見たあとだといつも以上に頑張れる。中々教室から出てくることは無いが、運が良ければ、と思っているうちに、女子生徒に囲まれてしまった。これだと女神が出てきたとにわからない。
ベタベタ無遠慮に触られ、お茶やらデートやらの誘いをひっきりなしに持ちかけられる。前まで我慢できていた筈が、今はとてつもないストレスだ。
キツイ香水の匂いも相まって、何だか気分が悪くなってきた。ここは1度撤退しようと口を開ける。
「騒がしいな。廊下で騒ぐな。」
音になったのは俺の声ではなく別の。鈴を転がした様な凛とした声だった。
女たちがサッと道をあけ、声の主と目が合う。それは俺が一目見たいと願っていた人物だった。
こちらに歩みを進めてくる様は、確かに女神のようだ。
女神は俺の手をそっと握り、どこかへ連れていく。
興奮と緊張で訳の分からないまま、中庭へ連れ出された。陽の光を浴びたその銀髪は、室内で見るよりさらに美しかった。心無しか良い香りが。
女神は何を言うわけでもなくベンチに腰掛ける。隣に座って良いものか迷ったが、誘惑に負けて座ってしまう。
隣に腰掛けても女神はその綺麗な顔を動かさず、じっと俺を見つめていた。アメジストの瞳に全て見透かされているようで緊張する。
「あの、俺に何か用か?名前聞いても良いか?あ、良い、デスカ?」
そう言えば女神の名前を知らない事に気づき、聞いてみるも、緊張でカタコトになってしまう。
最近何とか使えるようになってきた敬語も、女神を前にすると拙くなってしまった。
「俺はクレア・ブローナ。同学年だから敬語は要らない。学園では平等に。これは校則で決まっている。顔色悪いのに揉みくちゃにされてたから、無遠慮に引っ張ってきて悪かったな。」
小さな体に細い手足。甘い香り。中性的な外見と声。
「クレア。……。男、だよな?」
制服や喋り方から男だとは分かるが、本当にそうだろうか。どこぞの国の貴族は成人前まで自分と逆の性別の格好をする文化があったとか。
同性婚が出来る国とはいえ、平民は出生率の問題で殆ど異性婚しかしない。貴族なら側室をとるだとか、養子をとるとか、また、同性同士で子を成せる実を使うとか方法があるが、平民にそんな金はない。
一目惚れなんてするはずが無いと思っていたが、クレアが女性だったら良いなと思ってしまった。
「俺が女に見えるか?」
クレアが不満げに頬を膨らます。自分が可愛いとわかっていてやっているんだろうか。
「いや、男だと思う。」
しかし本当に女顔を気にしているのだとしたら。その可能性を否定出来ず、俺は慌てて弁明をする。
「けど、凄く、その…綺麗だから。村にいた男はみんなガサツで暑苦しい馬鹿なヤツばっかだったからさ、クレアみたく優しくて美人で可愛い男は見たことないから。さっき初めて見た時、天使かと思った」
思った以上の早口でまくし立ててしまった。
現在俺は周りに追いつくため勉強を頑張っている。女神を見たあとだといつも以上に頑張れる。中々教室から出てくることは無いが、運が良ければ、と思っているうちに、女子生徒に囲まれてしまった。これだと女神が出てきたとにわからない。
ベタベタ無遠慮に触られ、お茶やらデートやらの誘いをひっきりなしに持ちかけられる。前まで我慢できていた筈が、今はとてつもないストレスだ。
キツイ香水の匂いも相まって、何だか気分が悪くなってきた。ここは1度撤退しようと口を開ける。
「騒がしいな。廊下で騒ぐな。」
音になったのは俺の声ではなく別の。鈴を転がした様な凛とした声だった。
女たちがサッと道をあけ、声の主と目が合う。それは俺が一目見たいと願っていた人物だった。
こちらに歩みを進めてくる様は、確かに女神のようだ。
女神は俺の手をそっと握り、どこかへ連れていく。
興奮と緊張で訳の分からないまま、中庭へ連れ出された。陽の光を浴びたその銀髪は、室内で見るよりさらに美しかった。心無しか良い香りが。
女神は何を言うわけでもなくベンチに腰掛ける。隣に座って良いものか迷ったが、誘惑に負けて座ってしまう。
隣に腰掛けても女神はその綺麗な顔を動かさず、じっと俺を見つめていた。アメジストの瞳に全て見透かされているようで緊張する。
「あの、俺に何か用か?名前聞いても良いか?あ、良い、デスカ?」
そう言えば女神の名前を知らない事に気づき、聞いてみるも、緊張でカタコトになってしまう。
最近何とか使えるようになってきた敬語も、女神を前にすると拙くなってしまった。
「俺はクレア・ブローナ。同学年だから敬語は要らない。学園では平等に。これは校則で決まっている。顔色悪いのに揉みくちゃにされてたから、無遠慮に引っ張ってきて悪かったな。」
小さな体に細い手足。甘い香り。中性的な外見と声。
「クレア。……。男、だよな?」
制服や喋り方から男だとは分かるが、本当にそうだろうか。どこぞの国の貴族は成人前まで自分と逆の性別の格好をする文化があったとか。
同性婚が出来る国とはいえ、平民は出生率の問題で殆ど異性婚しかしない。貴族なら側室をとるだとか、養子をとるとか、また、同性同士で子を成せる実を使うとか方法があるが、平民にそんな金はない。
一目惚れなんてするはずが無いと思っていたが、クレアが女性だったら良いなと思ってしまった。
「俺が女に見えるか?」
クレアが不満げに頬を膨らます。自分が可愛いとわかっていてやっているんだろうか。
「いや、男だと思う。」
しかし本当に女顔を気にしているのだとしたら。その可能性を否定出来ず、俺は慌てて弁明をする。
「けど、凄く、その…綺麗だから。村にいた男はみんなガサツで暑苦しい馬鹿なヤツばっかだったからさ、クレアみたく優しくて美人で可愛い男は見たことないから。さっき初めて見た時、天使かと思った」
思った以上の早口でまくし立ててしまった。
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