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19.噂の3人(side:レイ)
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疲れた。日に日にマイナス思考が強まっていく。
学園というものに憧れがなかったと言えば嘘になる。卒業できれば安定した職業にもつけるわけだし、高度な魔術や剣術も教えて貰え、上手く行けば貴族とのコネクトも作れる。
同学年に第二王子も居るらしいし、僻地に今にも崩壊しそうな村があると言えば、もしかしたら少しくらい融通してくれるかもしれない。第二王子が無理でも、貴族の通う学園なら誰かしら。
村の事は俺がどうにかすべき事だが、流石にそこまで稼げる保証はないから、手数は多い方が良い。
そんな軽い気持ちで入学してしまった。
属性魔法が使える者は強制入学という学園に入試なんてものは無く、学園側も、年相応か、それに及ばずともそれなりに勉強はしていると思ったのだろう。高等部に入れられた。
しかし俺は勉強はわからないことだらけだ。村の教会で大人に少し習ったくらい。程度が知れている。
学園に入って何よりもツラかったのが自分の知識のなさだった。
周りの貴族には馬鹿にされ、平民と罵られる。鬱憤を晴らすため剣を振るい、魔術を使えば、何か言って来るやつは減ったが、代わりに女どもが寄ってくるようになった。
媚びを売るようにみせ、実際は見下してくる。
平民だから。親がいないから。
貴族の家から婿養子にという話は、金も地位もない俺にはありがたい話だが、見下してくるやつと結婚したいとは思えない。
貴族は平民を当然のように自分より下の人間だと思っている。村で刷り込まれた勝手なイメージだったが、この学園に入って、それが事実だったと実感した。
本日何度目かもわからないため息を零すと、何やら廊下の、進行方向が騒がしい。
人だかりから覗いて騒ぎの理由がわかった。
この学年で、編入して間も無い俺が知っているほどの有名人達。名前を聞かない日がないほどの人気を誇る3人組だ。
太陽の王子と呼ばれる第二王子のカイル殿下。
魔法・剣術・学問全ての分野に優れ、理想の王族だと噂を聞いた。慈悲深く優しい美丈夫。輝く金髪がまるで太陽の光のようだと皆が騒いでいる。
しかし優しすぎるせいか、恋愛において来るもの拒まず精神があるのか、色々な方と仲良くしている様だ。不敬だから誰も口にしないが浮気をしているのではと心配だ。
炎の騎士と呼ばれるルース様。
剣術に優れるカイル殿下の将来の専属騎士。外見から気難しそうな方かと思えば、剣術を教えてくれたりと意外にもフレンドリーらしい。この方もカイル殿下には及ばすも人気のようだ。燃えるような赤髪は遠目からでもよく目立つ。
そして、月の女神と呼ばれている人。
女神と呼ばれているせいで本名を知る機会が無いのだが、なんと言うか神秘的なオーラを纏う人だ。
第二王子とルース様の大切な人らしく、御二方以外と一緒にいるところを見たことがない。
第二王子の恋人という噂があり、他の人と女神が話すと王子が嫉妬するから誰も話しかけられないとか。王子はいつも色々な人を侍らせているのに女神の事は束縛するのかと思うとなんだかもやもやする。
悲しんだりしていたら嫌だな。俺なら悲しませない、なんて。
俺はそっと女神を盗み見る。
月の女神と評されるに相応しい銀髪は緩くひとつに結ばれ、月の光の様に柔らかな輝きを放っている。女子生徒がいつもどんな手入れをしているのか気になると騒いでいる。
顔立ちは女性を差し置いて学園一、いや、王都…国?世界一美しいと言われている。ぱっちりとした二重。瞳は街で見かけた宝石の様。それを縁取るまつ毛は長く、肌もシミひとつなく、まるで人形のようだ。
化粧でもしているのか、頬と唇は薄紅色で、やけに色っぽい。筋肉が付きづらい体質なのか、剣術の授業でそれなりの強さらしいが腕や足、腰周りが細い。抱きしめたら壊れてしまいそうな危うさが男心を擽り邪な目で見るヤツが多いのだそう。
ちなみに女子生徒は美の秘訣を知りたいものの、隣に立つと女としての自信が砕かれそうだから無理らしい。
一言で言えば高嶺の花。公爵家で、しかも恋人が王子。
こんなにも美しい人が自分のものになったらと、そう期待する男は多いものの、おいそれと手を出すなんて不可能だ。
学園というものに憧れがなかったと言えば嘘になる。卒業できれば安定した職業にもつけるわけだし、高度な魔術や剣術も教えて貰え、上手く行けば貴族とのコネクトも作れる。
同学年に第二王子も居るらしいし、僻地に今にも崩壊しそうな村があると言えば、もしかしたら少しくらい融通してくれるかもしれない。第二王子が無理でも、貴族の通う学園なら誰かしら。
村の事は俺がどうにかすべき事だが、流石にそこまで稼げる保証はないから、手数は多い方が良い。
そんな軽い気持ちで入学してしまった。
属性魔法が使える者は強制入学という学園に入試なんてものは無く、学園側も、年相応か、それに及ばずともそれなりに勉強はしていると思ったのだろう。高等部に入れられた。
しかし俺は勉強はわからないことだらけだ。村の教会で大人に少し習ったくらい。程度が知れている。
学園に入って何よりもツラかったのが自分の知識のなさだった。
周りの貴族には馬鹿にされ、平民と罵られる。鬱憤を晴らすため剣を振るい、魔術を使えば、何か言って来るやつは減ったが、代わりに女どもが寄ってくるようになった。
媚びを売るようにみせ、実際は見下してくる。
平民だから。親がいないから。
貴族の家から婿養子にという話は、金も地位もない俺にはありがたい話だが、見下してくるやつと結婚したいとは思えない。
貴族は平民を当然のように自分より下の人間だと思っている。村で刷り込まれた勝手なイメージだったが、この学園に入って、それが事実だったと実感した。
本日何度目かもわからないため息を零すと、何やら廊下の、進行方向が騒がしい。
人だかりから覗いて騒ぎの理由がわかった。
この学年で、編入して間も無い俺が知っているほどの有名人達。名前を聞かない日がないほどの人気を誇る3人組だ。
太陽の王子と呼ばれる第二王子のカイル殿下。
魔法・剣術・学問全ての分野に優れ、理想の王族だと噂を聞いた。慈悲深く優しい美丈夫。輝く金髪がまるで太陽の光のようだと皆が騒いでいる。
しかし優しすぎるせいか、恋愛において来るもの拒まず精神があるのか、色々な方と仲良くしている様だ。不敬だから誰も口にしないが浮気をしているのではと心配だ。
炎の騎士と呼ばれるルース様。
剣術に優れるカイル殿下の将来の専属騎士。外見から気難しそうな方かと思えば、剣術を教えてくれたりと意外にもフレンドリーらしい。この方もカイル殿下には及ばすも人気のようだ。燃えるような赤髪は遠目からでもよく目立つ。
そして、月の女神と呼ばれている人。
女神と呼ばれているせいで本名を知る機会が無いのだが、なんと言うか神秘的なオーラを纏う人だ。
第二王子とルース様の大切な人らしく、御二方以外と一緒にいるところを見たことがない。
第二王子の恋人という噂があり、他の人と女神が話すと王子が嫉妬するから誰も話しかけられないとか。王子はいつも色々な人を侍らせているのに女神の事は束縛するのかと思うとなんだかもやもやする。
悲しんだりしていたら嫌だな。俺なら悲しませない、なんて。
俺はそっと女神を盗み見る。
月の女神と評されるに相応しい銀髪は緩くひとつに結ばれ、月の光の様に柔らかな輝きを放っている。女子生徒がいつもどんな手入れをしているのか気になると騒いでいる。
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初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
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