転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼

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第2章 バリガンガルド編

56 エルフのクラクラは風魔法が使えるようです

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 ふっかぁああああああああつ!

 やっとだぜ。
 鎧が全身そろいました!

 長かった……。

 まあ、巨大狼との戦いの途中で一回フルアーマーになったけどね。
 あれとかほぼ一瞬だったし。

 なんとか全身鎧になれた。

 さて、問題は、ここからどうやってロロコとクラクラのところに戻るかだが――。

 ん?

 水が、なくなってる?

 さっきまでごうごう流れてた激流が弱まって、ちょろちょろ流れるだけになってる。
 これなら普通に歩いて渡れそう。

 ただ、歯の丈夫な魚どもが取り残されて、ビッタンバッタン跳ね回ってやがる。
 あれに喰らいつかれると厄介だな。

 俺はランプを拾い、元来た道を戻る。
 魚どもがガチガチ歯を鳴らすが、食われないよう遠回り。

 そして無事、二人のところに戻った。

 どうも、洞窟ダンジョンのこの辺は、水流のせいで不定期にルートが変わるんだな。
 気をつけないと、また流されちまう。

「おかえり」
〈おう、ただいま〉

 ロロコに答えながら、俺はクラクラにランプを渡す。

「おお! これこそ自分が落とした灯りだ! 感謝するぞ、リビタン殿」

 クラクラはそう告げ、ランプの底にあるつまみをひねった。
 すると、ランプの中で火がともる。
 普通の火――じゃないな。
 小さな魔法陣が描かれていて、その上で炎が揺れている。
 魔法具って感じか。

 ん? なんかクラクラがロロコを見て驚いてるな。

「小柄だとは思っていたが……まさかこのような子供だったとは」

 ……まあ、驚くわな。

「そなたのような幼い者が、なにゆえ冒険者ギルドを目指しているのだ」

「私は人と待ち合わせ。ギルドに用があるのはリビタンの方」

「ほう、なるほど。そなたがリビタンか。?……なにか、先ほどより魔力が強くなったような……?」

 クラクラは首をかしげる。
 さっきは腕だけだったのが、フル装備になったからな……。

〈ま、まあ、ちょっと特殊な体質でね〉

 俺は適当に告げるが、説明になってないよなぁ……。

〈そ、それより、まずは対岸に渡ろうぜ。またいつ増水するかわかんないし〉
「ふむ、そうだな」

 クラクラは頷く。
 なんとかごまかせたっぽい。

「けど、なんか魚の魔物がいっぱい。危険」

 そうなんだよな。
 水がないから動きが鈍いとはいえ、噛みつかれるだけで結構なダメージだろう。

「任せてくれ」

 お、なんだクラクラ。

「ファングフィッシュだな。水の中にいなければ、対処のしようはある」

 そう言うと、クラクラは腰に提げた剣を構える。

 剣の柄にはめ込まれた石が光を放つ。
 彼女の髪や服がふわりと浮かび上がった。

「これは、風魔法」

 ロロコが呟いた。

 クラクラはまっすぐ前を見据え、

「風よ、かりそめの形を得よ。我が刃を擬して放たれよ。其は我が願いなり――」


「ウィンドスラッシュ!」


 居合抜きのように、クラクラが剣を抜き放った。
 その刃からなにかが放たれる。

 風の塊のようなそれは前方へと走り抜ける。
 次の瞬間、ビタンバタンと暴れていた魚たちが一斉に、切り裂かれた。

〈おお!〉

 すごい威力だ。

 ロロコが解説してくれる。

「今のは詠唱を使う正式な魔法。私は使えない」

 そういやロロコはいつも詠唱なしで放ってるもんな。

「騎士団に魔法使いがいるからな。あまり得手ではないが、この程度は使いこなせる」

〈いや、大したもんだぜ〉

 俺なんか魔法使える可能性、皆無っぽいし。

「褒められるようなものではない……さて」

 と言いながらクラクラは歩き出す。
 向こう岸に向かう――のかと思いきや、さっきの剣の代わりに腰のナイフを抜いた。
 そしてそれを手近のファングフィッシュに突き立てる。

〈ん? どうした。まだ生きてたのか?〉
「そうではない。食料補給だ。ファングフィッシュはなかなか美味だぞ」
「美味?」

 あ、ロロコが食いついた。

◆◇◆◇◆

 クラクラはナイフでファングフィッシュをさばいていく。

 ファングフィッシュは表面の鱗はめちゃくちゃ硬い。
 が、中身は柔らかく、また生で食べることも可能のようだ。

 鱗を外し、なかの肉を切り出し、骨を取り除く。
 ファングフィッシュのお刺身の出来上がりだ。

「生魚なのに、生臭くない。すごい」
「だろう? 栄養も豊富だぞ。王国では貴重な食料源なんだ」

 ロロコとクラクラは仲よさそうに魚を食べてる。
 ロロコが串に刺し、炎魔法で焼き魚にしたりもしてる。

「リビタン殿もどうだ?」
〈あ、ああ、いや、俺は大丈夫だ〉

 ちくしょう、食事のときは毎回、リビングアーマーであることが悔やまれるぜ。

 仕方ないので俺は、ステータスの確認でもしてるか。
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