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金衣公子と共に7
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「あの、いつまでいらっしゃるのですか。」
彼の方を見て、迷惑しているといった表情をしてみる。彼と言うと、特に表情を変えることなく、私の顔を見ている。
「えっと、聞こえていますか。気が散ります……」
「私に気にせず、仕事を続けてくれ。」
先生に見られることは、稽古中は当たり前だが、良く知りもしない人間に見られることはやはり緊張する。ましてや花を生けるなど、私の感性が問われるのだ。適当なことはできない。もちろん、私が生け終えた桜は、この後の数日間は多くの人間の目に晒されることになるだろうが、それとこの現在進行形で見られるのはまた訳が違う。
「……もしや、お暇なのですか。」
挑発してみると相手も気を悪くしてどこかへ行くだろうと思い、わざと棘のある言い方する。家の者に見られれば、きっと怒られるような失礼な言い草だ。
「暇ではないが、お前の作品に興味がある。」
作品、そんな言い方をされればドキリとする。生け花としか認識していなかったものを作品と称されることで尚更、私の感性が宿る錯覚に陥る。
「完成したら見にくればいいじゃないですか。私の作品を。」
彼の言葉を借りて、言葉に発してみるとやはりむず痒い。彼の相手はしていられないと、主役の桜に鋏をいれながら返答する。桜の枝の向きや蕾の量を見ながら、生けていく。
「祭事は、人が多い。それに私は、警備の仕事を任されている。」
そういえば、兄や爛も祭事の際は、会場警備で借り出されることがあると話を聞いたことがある。一応、謝礼なんかももらえるそうだ。武人の活用の場であるわけか、と納得する。
彼の方を見て、迷惑しているといった表情をしてみる。彼と言うと、特に表情を変えることなく、私の顔を見ている。
「えっと、聞こえていますか。気が散ります……」
「私に気にせず、仕事を続けてくれ。」
先生に見られることは、稽古中は当たり前だが、良く知りもしない人間に見られることはやはり緊張する。ましてや花を生けるなど、私の感性が問われるのだ。適当なことはできない。もちろん、私が生け終えた桜は、この後の数日間は多くの人間の目に晒されることになるだろうが、それとこの現在進行形で見られるのはまた訳が違う。
「……もしや、お暇なのですか。」
挑発してみると相手も気を悪くしてどこかへ行くだろうと思い、わざと棘のある言い方する。家の者に見られれば、きっと怒られるような失礼な言い草だ。
「暇ではないが、お前の作品に興味がある。」
作品、そんな言い方をされればドキリとする。生け花としか認識していなかったものを作品と称されることで尚更、私の感性が宿る錯覚に陥る。
「完成したら見にくればいいじゃないですか。私の作品を。」
彼の言葉を借りて、言葉に発してみるとやはりむず痒い。彼の相手はしていられないと、主役の桜に鋏をいれながら返答する。桜の枝の向きや蕾の量を見ながら、生けていく。
「祭事は、人が多い。それに私は、警備の仕事を任されている。」
そういえば、兄や爛も祭事の際は、会場警備で借り出されることがあると話を聞いたことがある。一応、謝礼なんかももらえるそうだ。武人の活用の場であるわけか、と納得する。
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