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春の宴と共に11

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 爛の初対面での印象は、女たらしの優男だ。確か誰かの家の茶会で出会ったのが最初だ。年頃の女の子たちは、爛の華やかさとその容姿、女心をわかっているその甘い言葉に群がった。私も友人に連れられ、爛と話すことになったのだが、私は、あまり彼に惹かれることはなかった。確かに、爛のようにわかってくれる人が私の隣に立ってくれるならという憧れのようなものはあったが、彼はあまりにも眩しすぎた。きっと仮に彼と良い仲になったとしても、きっと嫉妬で悩まされたりすると思うと、とても爛と仲良くしようとは思えなかったことを覚えている。

 一方、爛は、女の子にモテることは当たり前だと思っていたし、私が彼に媚びないことを不満に思っていたようだ。これは、後に彼と関わっているうちに明かされたことだ。出会ってからというもの彼は、私に悪がらみするようになっていった。あまりにも不自然な程に甘い言葉をかけたり、たまに毒をはいたりと。彼の本性を知るにつれ、私も彼の前では飾らなくなっていった。結婚相手を探しているなどと、恥ずかしげもなく伝えたものだ。その度に、僕は優良物件だよ、なんて思ってもないことを何度も即答されたものだ。

 結局、彼に手を引かれ、帰路についた。爛に婚約のことを伝えられず、終始無言だった。どうしてだろうか、今まで私達2人の間に気まずくなることなど起こらなかったはずなのに、彼の“一緒にいれたら”という言葉は、いつものような冗談には到底聞こえなかったからだ。彼が、いつもみたいに悪戯をするような表情をすれば、きっと私も彼に嫌味の一つも言えたのに、そうじゃないから余計に雰囲気は酷く重く感じた。爛もいつもと違った。どうして、言うのは今だったのか、彼に聞くこともできず、私は、眠りについた。
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