選びがちではありますが~憂鬱な婚約の行方~

みさか つみ

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想いの文と共に4

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 苑は持っていた弓を近付いてきた付き人である桃に渡す。

 「苑様、どこへ?」

 「挨拶回り」

 そう言った苑は、すたすたと先ほどいた茶会の会場の方へと戻って行くように見えたが、彼女が向かった先は、表門だった。爛は、苑の後ろから声をかける。

 「ねぇ」

 苑は、ぴたりと動きを止め、ゆっくりと振り向く。あぁ、そう言いたいような表情をしていた。

 「あなたは、覇家の……」

 「爛。僕の名前」

 「爛様。私は、姜苑。挨拶が遅れてごめんなさい」

 「帰るつもりだっただろ?」

 「ええ。まぁ」

 苑は、爛と目を合わせることができず、視線を逸らす。

 「……つまらなかった?」

 「楽しくはないですわ。知り合いは少ないので」

 「じゃあ、僕とは知り合いになろうよ」

 突拍子もない言葉を発する爛に、苑は、一瞬視線をうつす。

 「はぁ」

 呆れる苑を気にすることなく、爛は、屋敷の奥の庭へ行こうと提案し、歩き始める。

 「私、帰るつもりだったのですが」

 そんなことを言いながらも、苑は、爛の後ろを付いて歩く。

 「従者を置いて?」

 「………ええ」

 「暇なんでしょ、付き合ってよ」

 「………暇だからついて行ってるのよ」

 苑は、ため息をついた後、小さい声でぼそりとそう言うと、前を歩いていた爛が言う。

 「聞こえてるよ。君って、結構勝気な感じだよね」

 「まぁ、そうですわね。あまり他人の印象とか、今は興味なくて。でも、まぁ、そろそろ………」

 「そろそろ?」

 「気になりますの?」

 「それなりに」

 「なら、言いませんわ。わかることですもの」

 「………ふぅん。君って、掴めない人だね」

 「あら、ありがとう」

 「褒めてないけど」

 2人はちぐはぐな会話をぽつりぽつりと繰り返し、園路を進んでいく。そして、屋敷の近くの池の前までくると爛は近くにある腰ほどの高さの平たい石に腰掛ける。苑もそれに倣い、爛と一定の距離を空けて座る。

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