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運命の悪戯2
天音が諏訪家で生活を始めるにあたって、1番の不安だったのが、翼との関係だった。
翼は、人見知りで本当に信頼できる人間としか話すことはない、バイト先では仕方がなく話す程度と昴が以前話していたことを思い出す。実際、一緒に生活を始めて、話すことはほとんどなかった。彼は、大学に行く以外は部屋に閉じこもることが多かったからだ。そんな翼が天音と話すきっかけとなったのは、1冊のファッション雑誌だった。
天音は、その日、帰り道にある書店で女性向けの雑誌を購入し、帰宅した。リビングでその雑誌を読む天音に、たまたま台所へ行こうとして通りかかった部屋着姿の翼が初めて自ら声をかけたのだ。
「その雑誌、特集が豪華って話題のやつじゃん。今日発売でしょ。入手困難だったのに、よく手に入ったね。」
突然、翼に話しかけられしどろもどろになる。
「うん。どうしても欲しくて、予約したの。高校生になったから、もっとオシャレしようと思って。」
自分から話を振ったのにも関わらず、その言葉を聞いた翼は、興味なさそうに、ふぅん、と言い、去って行こうとする。
「ねぇ、翼。よかったら見てくれない?私、正直、どれがいいかわかんない。この雑誌のこと知ってたってことは、ちょっとはファッションに興味あるってことでしょ。」
天音の突然の申し出に、怪訝な顔をする。天音は、読んでいた雑誌を閉じ、翼に差し出す。
「お願い。」
翼は、天音からその雑誌を拒むことなく受け取ると、「高いけど。」とだけ言い、自室に戻る。冗談なのか、そうでないのか判断が付かない言い方だった。何よりも、天音は、この場でどの女の子の服が素敵か選んでくれるものとばかり思っていたので、手に取り自室に戻ったことに困惑した。
その翌日、天音が家に帰ると、リビングの机の上には、いくつもの付箋が挟まれた翼に渡したはずの雑誌が置かれていた。天音がそれを見つけ開いてみると、翼が天音に似合うであろうコーディネートや化粧品について、初心者の天音には、正直呪文のようにしか思えない言葉の数々が細く美しい字で書かれていた。
翼と直接言葉を交わすことはなかったが、翼は、実はすごく親切で、お洒落な男の子であることを知った天音は、翼に自ら話しかけに行くようになった。
今まで、近寄りがたい雰囲気があったが、きっかけ1つでそれは大きく変わった。それは翼も同様だった。雑誌のやり取りから数か月後には、一緒に買い物に行くような仲になるとは思わなかったことだろう。
翼は、人見知りで本当に信頼できる人間としか話すことはない、バイト先では仕方がなく話す程度と昴が以前話していたことを思い出す。実際、一緒に生活を始めて、話すことはほとんどなかった。彼は、大学に行く以外は部屋に閉じこもることが多かったからだ。そんな翼が天音と話すきっかけとなったのは、1冊のファッション雑誌だった。
天音は、その日、帰り道にある書店で女性向けの雑誌を購入し、帰宅した。リビングでその雑誌を読む天音に、たまたま台所へ行こうとして通りかかった部屋着姿の翼が初めて自ら声をかけたのだ。
「その雑誌、特集が豪華って話題のやつじゃん。今日発売でしょ。入手困難だったのに、よく手に入ったね。」
突然、翼に話しかけられしどろもどろになる。
「うん。どうしても欲しくて、予約したの。高校生になったから、もっとオシャレしようと思って。」
自分から話を振ったのにも関わらず、その言葉を聞いた翼は、興味なさそうに、ふぅん、と言い、去って行こうとする。
「ねぇ、翼。よかったら見てくれない?私、正直、どれがいいかわかんない。この雑誌のこと知ってたってことは、ちょっとはファッションに興味あるってことでしょ。」
天音の突然の申し出に、怪訝な顔をする。天音は、読んでいた雑誌を閉じ、翼に差し出す。
「お願い。」
翼は、天音からその雑誌を拒むことなく受け取ると、「高いけど。」とだけ言い、自室に戻る。冗談なのか、そうでないのか判断が付かない言い方だった。何よりも、天音は、この場でどの女の子の服が素敵か選んでくれるものとばかり思っていたので、手に取り自室に戻ったことに困惑した。
その翌日、天音が家に帰ると、リビングの机の上には、いくつもの付箋が挟まれた翼に渡したはずの雑誌が置かれていた。天音がそれを見つけ開いてみると、翼が天音に似合うであろうコーディネートや化粧品について、初心者の天音には、正直呪文のようにしか思えない言葉の数々が細く美しい字で書かれていた。
翼と直接言葉を交わすことはなかったが、翼は、実はすごく親切で、お洒落な男の子であることを知った天音は、翼に自ら話しかけに行くようになった。
今まで、近寄りがたい雰囲気があったが、きっかけ1つでそれは大きく変わった。それは翼も同様だった。雑誌のやり取りから数か月後には、一緒に買い物に行くような仲になるとは思わなかったことだろう。
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