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運命の悪戯7
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天音が不審者に押し倒された翌日のこと、普段と変わらない様子で他愛のない会話をしながら、凛太郎と登校する。学校からの帰り道の出来事について、昴に相談しようかとも思ったが、翼のことに加え、心配をかけさせるわけにはいかなかった。もちろん、1番話しやすい仲であったはずの凛太郎に伝えることも考えたが、昨日、翼の件で気まずくなったことが頭の隅にあり、言い出せずにいた。
休み時間、天音は、隣の席のクラスメイトと英語の授業について話していた。
「リスニングって、やっぱり慣れだよね。先生、ネイティブ過ぎてついていくの大変。」
「大変だったね。私も凜ちゃんに薦められて洋画とか見るようにしてるけど、それでもやっぱり授業となると違うなって思った。」
天音は、凛太朗の影響もあり、得意分野になっていたが、それでも凛太朗がいる手前、胸を張って主張はできなかった。そんな時、クラスメイトの視線が私のスカートに向いていることに気づく。
「私、今日天音ちゃんがどうして冬の長いスカートに戻ったのか気になったんだけど。怪我してたんだね。」
そう言いながら、天音のスカートを膝上までそっとあげる。
「ちょ、ちょっと。」
下着が見えるのではないかと、慌ててその行動を阻止する。
「大丈夫だって。昨日は、もっと短かったでしょ。両膝けっこういってるね。どうしたの?」
「……自転車で転んだの。やっぱり慣れないことしちゃだめよね。」
その言葉は、目の前の相手を十分に納得させるができた。
「女の子なんだからさ、そんなことしちゃダメだって。お嫁に行けなくなるよ……ま、天音ちゃんにその心配は無縁か。」
そう言い、クラスメイトは、きゃっきゃと笑う。彼女が何を言いたいのか薄々わかったので、苦笑いを返すしかなかった。
帰りのホームルームが終わると、すぐに帰宅する者と教室に残る者が半々という割合だった。普段の天音と凛太朗ならば後者だが、今日に限り違った。凛太朗が、用事があるから帰ろうと言い始めたからだ。
「珍しいね。じゃ、私も今日は、ゆっくり家で過ごす日だね。」
そう言い、出していた参考書をスクールバッグに詰める。
「ねぇ、用事って何するの?買い物とか?それなら付き合うけど。」
教室から出ながら凛太朗に尋ねると、「そんなんじゃないけど……。」と、答えるのを渋る。
彼の反応を見た天音は、それっきり話しかけなかった。凛太朗がこのような反応をする時は何か別のことを考えている時だからだ。彼にも、何か悩みがあるのだろうか、そう思いながら、彼が話始めるのを待つ。
「……天音さん、嘘ついたでしょ。」
人通りが少なくなった道で、凛太朗が天音にはっきりと言う。疑問を投げかけるのではなく、肯定した形だった。彼は、クラスメイトの会話を聞いていたのだろう。
「……だって、ただ転んだだけでこんな怪我だなんて、信憑性ないでしょ。」
「それってさ、本当のことを言えないからってことだよね。」
凛太朗の天音を見る眼光は鋭かった。低い声で問われると、昨日のことを思い出し、恐怖が蘇る。
「……実はさ、昨日、凛太朗と別れてから誰かがずっとついて来たの。怖くて走ったら、バッグ掴まれて、振り払ったら、今度は押し倒されて……たまたま人が通りかかったから、大丈夫だったけど。怪我はその時にしちゃって。」
「警察には、言ったの?」
「ううん。今、凛ちゃんに初めて言った。」
「どうしてすぐに言わないんだよ。朝、何も言わなかっただろ。」
「だって、翼のこと言った時冷たかったから。」
「それとこれとは、全然違うだろ。何かあったらどうすんだよ。今からでも、行こう。警察。」
「嫌だ。だって、そんなことしたら私……」
凛太朗は、はっとする。天音が日本に残っているのは、信頼できる環境があってのことだったからだ。それを警察にこの事実を伝えることで生活が一変する可能性が十分にあり得ることは想像に容易かった。
「だったら……僕が毎日天音さんを迎えに行く。そして、帰りも送る。じゃあ、天音さんが狙われることもなくなるだろ。」
「でも……。」
「いいよ、僕は。天音さんが、危険な目に合うのが嫌だ。」
「……ごめんね、凜ちゃん。本当に、ありがとう。」
天音の頬に涙が伝う。凛太朗は、過去幾度か見た涙を思い出す。きっと彼女は、これほどまで身の危険を感じたことはなかっただろう。凛太郎は、天音の頬にそっとハンカチを当てる。そして、密かに決心をした。
休み時間、天音は、隣の席のクラスメイトと英語の授業について話していた。
「リスニングって、やっぱり慣れだよね。先生、ネイティブ過ぎてついていくの大変。」
「大変だったね。私も凜ちゃんに薦められて洋画とか見るようにしてるけど、それでもやっぱり授業となると違うなって思った。」
天音は、凛太朗の影響もあり、得意分野になっていたが、それでも凛太朗がいる手前、胸を張って主張はできなかった。そんな時、クラスメイトの視線が私のスカートに向いていることに気づく。
「私、今日天音ちゃんがどうして冬の長いスカートに戻ったのか気になったんだけど。怪我してたんだね。」
そう言いながら、天音のスカートを膝上までそっとあげる。
「ちょ、ちょっと。」
下着が見えるのではないかと、慌ててその行動を阻止する。
「大丈夫だって。昨日は、もっと短かったでしょ。両膝けっこういってるね。どうしたの?」
「……自転車で転んだの。やっぱり慣れないことしちゃだめよね。」
その言葉は、目の前の相手を十分に納得させるができた。
「女の子なんだからさ、そんなことしちゃダメだって。お嫁に行けなくなるよ……ま、天音ちゃんにその心配は無縁か。」
そう言い、クラスメイトは、きゃっきゃと笑う。彼女が何を言いたいのか薄々わかったので、苦笑いを返すしかなかった。
帰りのホームルームが終わると、すぐに帰宅する者と教室に残る者が半々という割合だった。普段の天音と凛太朗ならば後者だが、今日に限り違った。凛太朗が、用事があるから帰ろうと言い始めたからだ。
「珍しいね。じゃ、私も今日は、ゆっくり家で過ごす日だね。」
そう言い、出していた参考書をスクールバッグに詰める。
「ねぇ、用事って何するの?買い物とか?それなら付き合うけど。」
教室から出ながら凛太朗に尋ねると、「そんなんじゃないけど……。」と、答えるのを渋る。
彼の反応を見た天音は、それっきり話しかけなかった。凛太朗がこのような反応をする時は何か別のことを考えている時だからだ。彼にも、何か悩みがあるのだろうか、そう思いながら、彼が話始めるのを待つ。
「……天音さん、嘘ついたでしょ。」
人通りが少なくなった道で、凛太朗が天音にはっきりと言う。疑問を投げかけるのではなく、肯定した形だった。彼は、クラスメイトの会話を聞いていたのだろう。
「……だって、ただ転んだだけでこんな怪我だなんて、信憑性ないでしょ。」
「それってさ、本当のことを言えないからってことだよね。」
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「……実はさ、昨日、凛太朗と別れてから誰かがずっとついて来たの。怖くて走ったら、バッグ掴まれて、振り払ったら、今度は押し倒されて……たまたま人が通りかかったから、大丈夫だったけど。怪我はその時にしちゃって。」
「警察には、言ったの?」
「ううん。今、凛ちゃんに初めて言った。」
「どうしてすぐに言わないんだよ。朝、何も言わなかっただろ。」
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「だったら……僕が毎日天音さんを迎えに行く。そして、帰りも送る。じゃあ、天音さんが狙われることもなくなるだろ。」
「でも……。」
「いいよ、僕は。天音さんが、危険な目に合うのが嫌だ。」
「……ごめんね、凜ちゃん。本当に、ありがとう。」
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