35 / 51
白いポピーに包まれて4 sideR
突然の訪問者は、深夜0時を過ぎた頃にやって来た。室内に設置された内線が鳴る。普通の人間ならば、こんな時間に、と疑問になるかもしれないが、凛太朗はその点慣れていた。
「夜遅くにすみません。フロントです。ウイさんがいらしていますが、通してよろしいでしょうか。」
凛太朗は、了承し、ウイの到着を待つ。10分もしないうちにウイは、凛太朗の家へと到着し、インターホンを押す。「入って。」という声の後、すぐにドアロックが解錠される。
「こんばんわ。荷物があるのに、迎えに来ないのは紳士じゃないわね。」
そう言いながら部屋に入ってきたのは、仕事終わりであろう、髪を巻き、スーツを着たウイだった。
「……うるせぇよ。だったら来てほしいって言いなよ。」
そう言いながら、凛太郎はソファにどっしりと座る。
「そういうのは、自分で、気付いてするものよ。」
「いちいち癪に障る奴だなぁ。」
「はぁ、躾がなってないわね。昴は私のことをいつでもちゃんと名前で呼んでくれるのに。」
「僕とあいつを一緒にするな。んで、何の用。」
ウイの方をちらりと見ると、持っていた荷物は花束だったようで、その包みを開けていく。
「綺麗でしょう。白いポピーよ。花瓶もないだろうと思って、持って来てあげたわ。」
そう言いながら器用に花瓶にポピーを生けていく。
「花なんて、ゴミになるだけだろ。わけのわかんねぇもの持ってくるなよ。」
「失礼ねぇ。これは、店には縁起が悪いけど、そう、私達にはぴったりの花だと思うんだけどね。」
「縁起の悪い花が、ぴったりねぇ。どうせ、罪人だの、非情だのそんな意味だろ。」
「花言葉は、忘却、眠り。思い当たる節があるでしょう。」
「天音さんか。」
「そうよ、あなたは、関わるべきじゃない。忘れなさい。」
「お前に何がわかる。僕は天音さんのことが―――。」
凛太朗は、勢いよく立ち上がり、ウイに言う。
「でも、言えなくて、手放した。臆病だったから?自信がなかったから?情けないわ。」
図星を突かれ、それ以上何も言えなくなる。
「……何が言いたい。」
「1番は、忘れること。でもね、そうは思っていても彼女はきっとあなたの元に現れる。中途半端なことをして彼女を悲しませるくらいなら、全て明かすのも、私はいいと思う。ま、そこは考えなさい、よく眠ってね。じゃあ、私は帰るわ。迷える子羊よ。」
そう言い、ウイは、帰って行った。カウンターの上には、白いポピーが美しく咲いていた。
「夜遅くにすみません。フロントです。ウイさんがいらしていますが、通してよろしいでしょうか。」
凛太朗は、了承し、ウイの到着を待つ。10分もしないうちにウイは、凛太朗の家へと到着し、インターホンを押す。「入って。」という声の後、すぐにドアロックが解錠される。
「こんばんわ。荷物があるのに、迎えに来ないのは紳士じゃないわね。」
そう言いながら部屋に入ってきたのは、仕事終わりであろう、髪を巻き、スーツを着たウイだった。
「……うるせぇよ。だったら来てほしいって言いなよ。」
そう言いながら、凛太郎はソファにどっしりと座る。
「そういうのは、自分で、気付いてするものよ。」
「いちいち癪に障る奴だなぁ。」
「はぁ、躾がなってないわね。昴は私のことをいつでもちゃんと名前で呼んでくれるのに。」
「僕とあいつを一緒にするな。んで、何の用。」
ウイの方をちらりと見ると、持っていた荷物は花束だったようで、その包みを開けていく。
「綺麗でしょう。白いポピーよ。花瓶もないだろうと思って、持って来てあげたわ。」
そう言いながら器用に花瓶にポピーを生けていく。
「花なんて、ゴミになるだけだろ。わけのわかんねぇもの持ってくるなよ。」
「失礼ねぇ。これは、店には縁起が悪いけど、そう、私達にはぴったりの花だと思うんだけどね。」
「縁起の悪い花が、ぴったりねぇ。どうせ、罪人だの、非情だのそんな意味だろ。」
「花言葉は、忘却、眠り。思い当たる節があるでしょう。」
「天音さんか。」
「そうよ、あなたは、関わるべきじゃない。忘れなさい。」
「お前に何がわかる。僕は天音さんのことが―――。」
凛太朗は、勢いよく立ち上がり、ウイに言う。
「でも、言えなくて、手放した。臆病だったから?自信がなかったから?情けないわ。」
図星を突かれ、それ以上何も言えなくなる。
「……何が言いたい。」
「1番は、忘れること。でもね、そうは思っていても彼女はきっとあなたの元に現れる。中途半端なことをして彼女を悲しませるくらいなら、全て明かすのも、私はいいと思う。ま、そこは考えなさい、よく眠ってね。じゃあ、私は帰るわ。迷える子羊よ。」
そう言い、ウイは、帰って行った。カウンターの上には、白いポピーが美しく咲いていた。
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
繰り返す夜と嘘 〜【実録】既婚の僕と後輩の彼女、あの夜のキスから始まった13年の秘密〜
まさき
恋愛
結婚して半年の僕と、同じ職場の彼女。
出会った頃は、ただの先輩と新入社員だった。
互いに意識しながらも、
数年間、距離を保ち続けた。
ただ見つめるだけの関係。
けれど――
ある夏の夜。
納涼会の帰り道。
僕が彼女の手を握った瞬間、
すべてが変わった。
これは恋でも、友情でもない。
けれど理性では止められない、
名前のない関係。
13年続いた秘密。
誓約書。
そして、5年の沈黙。
これは――
実際にあった「夜」の記録。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。