雪豹くんは魔王さまに溺愛される

asagi

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続×3.雪豹くんとにぎやかな家族

4-14.幸せな報告

 執務室に入った途端、アークと目が合った。途端に蕩けるように甘くなる眼差しに、スノウも無意識の内に微笑みを返す。

 漂ってきた甘い香りが、スノウを落ち着かせ幸せな気分にしてくれる。番の香りの効果はすごいのだ。

「相変わらず仲がよろしいようでなによりです」
「ふぁ!? いや、そういうのじゃないよ!」

 ロウエンに呆れたような、微笑ましげなような、微妙な声音で言われて、咄嗟に否定した。

 アークと仲がいいのは間違いないけれど、今この瞬間に惚気ていたわけではない——はずだ。傍から見ると、つまりロウエンから見ると、そう思われてもしかたなかったかもしれないという自覚はある。

「ロウエンも人のことは言えないだろう」

 ソッと目を逸らしながら歩くスノウをフォローするように、アークが揶揄うようにロウエンに話しかける。

 これはきっとマルモとの話だと察した。正直スノウも興味がある。
 早々にロウエンとマルモが番契約をする予定だとルイスから聞いていたけれど、実際にどうなったかは報告を受けていなかった。

 ルイスが執務室の片隅に作ってくれたサークルに、ルミシャンスとブレスラウを下ろしてあげながら、ロウエンの様子を窺った。

「……少なくとも、私は陛下やスノウ様の前で惚気た覚えはありませんが」
「散々スノウにデート相談をしておいて、何を言うんだ」

 ロウエンの眉間にシワが寄った。その表情は、不機嫌というより照れが強いように見える。

 スノウはなんだか微笑ましくなって、手にじゃれついてくるルミシャンスをあやしながら、ふふっと笑った。

 マルモが絡むと、ロウエンは途端に親しみが増す。仕事中の冷静沈着で時々皮肉屋な感じもカッコいいとは思うけれど、少し抜けた部分があると安心するのだ。

「最近はデートの相談がないね?」

 ふと思い出して呟く。
 子どもたちのことで忙しくしていたけれど、時々ロウエンと会ってはいたのだ。その際の話題は子どもたちのことばかり。マルモとの話なんて一度もなかった。

 そのことに気づいて少し寂しくなる。スノウだって、ロウエンとマルモの関係を応援していたのだ。デートのプランを考えるのだって、頭を悩ませながらも楽しんでいた。
 それがなくなって、急に部外者扱いされてしまった気分だ。

「あぁ……それは、まぁ、今は家が一緒なので。わざわざデートをする機会もほとんどなくなりましたし」
「え、一緒に住んでるの!? ということは、もう、番に……?」
「なりました。先月。陛下にはご報告してあったのですが」

 驚くスノウに、ロウエンの方こそ不思議そうな表情だ。
 スノウは反射的にアークを睨んでしまう。怒りというより拗ねた感じだけれど。

「……アーク、聞いてないよ」
「いや、スノウは忙しそうにしていたからな」

 宥めるように言い訳されたけれど、確かにアークの言葉は間違ってない。

 先月といえば、子どもたちが生まれたくらいの頃だろう。スノウが慣れない育児を楽しみながらも、いっぱいいっぱいになっていたはずだ。

 アークなりの気遣いだと分かれば、責めてしまったのが申し訳なくなって、スノウはアークに近づき控えめに抱きつく。

「責めちゃってごめんね」
「気にしてない。……言い忘れていたのは事実だ」
「うん、そんなことだろうとは思った」

 正直に白状されて苦笑する。
 アークにとって大切なのは一にも二にもスノウなのだ。スノウへの気遣いで報告しそびれたら、ロウエンのことなんてすぐに忘れてしまったのだろう。

 アークがそのような性格であることは、スノウもよく分かっている。怒っても意味のないことなのだ。

「——ロウエンさん、遅くなったけど、番契約おめでとうございます」

 少し表情を改めてお祝いをすると、ロウエンはわざわざ立ち上がり頭を下げた。

「お祝いありがとうございます。……マルモの体調も随分と良くなりました。王子様方も連れて、またお茶会をしましょう」
「もちろん! 体調が良くなったのは嬉しいね。今度、お祝いを贈るね」

 アークは絶対にそのような手配はしてないだろうと察して、ルイスに目配せしておく。力強い頷きが返ってきたので、今日中に贈り物を選ぶためのカタログを用意してもらえるだろう。

「……お気遣いなく」

 ロウエンの照れくさそうな表情に、幸福感が滲んでいる。
 それを見て、二人が上手くいっていることを理解して、スノウも幸せな気分になった。

 お祝いを張り切って選ぼうと、内心でルンルンとする。マルモも喜んでもらえたらいいな、とにこにこと笑った。

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