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続×3.雪豹くんとにぎやかな家族
4-15.初めての
今日の執務室訪問の目的が、ロウエンへのお祝いではなかったことを思い出したのは、ルミシャンスが「にーにー!」と大声で鳴き出したとき。
「み!」
声の大きさに思わず飛び跳ねて驚いてしまった。それをアークに見られて、「スノウは可愛いな」と微笑まれたのが少し恥ずかしい。
「——ルミシャンスー、どうしたのかなぁ」
「ににっ」
母親としての顔を取り繕って、ルミシャンスのところへ駆け寄る。
柵をよじ登ろうとするルミシャンスを、ルイスが必死に妨害していた。ルミシャンスは日に日にお転婆度が上昇している気がする。
「こっちに来たかったの? でも、お兄ちゃん、そっちにいるよ?」
ブレスラウは尻尾を床にぺしぺしと軽く打ち付けながら、ルミシャンスを見ている。止める気はないらしい。
柵から落ちたところで怪我するほど弱くはないだろうが、スノウはハラハラしながら手を伸ばした。
その手にぎゅっと抱きつかれて、口元が緩んでしまう。必死に求められると、母性がくすぐられる気がするのだ。
「ママが恋しかったの?」
「にーにー……マー!」
「えっ、今、ママって呼んだ!?」
腕の中でぐりぐりと頭を擦り付けてくるルミシャンスを、思わず凝視する。
鳴き声じゃなくて、『マー』と呼ばれたはずだ。
「確かにそろそろお喋りしてもいい頃ですね」
懐から本を取り出し確認していたルイスが、うんうんと頷きながら答える。
スノウは記憶を辿ってみたけれど、自分がいつ話しだしたかなんて思い出せなかった。でも、ルミシャンスに最初に呼ばれたのが自分だというのが嬉しくてたまらない。
「そっかー、最初に僕のこと呼んでくれたんだね! ありがとう!」
ぎゅーっとハグをしたら、ルミシャンスの尻尾がご機嫌そうに揺れた。初めての場所でも、尻尾を咥えて固まらないのはルミシャンスの良いところだ。
「……俺は?」
ぽつりと呟く声が聞こえて、スノウはハッと振り返る。
アークが少し寂しそうな顔をしていた。ルミシャンスに対してはだいぶ甘くなってきた分だけ、のけ者にされたような気がしているのかもしれない。
「ルミシャンス、ほら、パパだよー」
とりあえずルミシャンスを連れて、アークに近づいてみる。
考えてみたら、『パパ』という言葉をあまり教えこんだ覚えがない。これはすぐに呼んでもらうのは無理かもしれない。
「にー」
「……パパだ」
きょとんと目を丸くするルミシャンスと、なんとも言えない複雑な表情のアークが向かい合う。
ロウエンがブフッと吹き出すような音が聞こえた。
確かに、『パパ』という名乗りはアークに馴染みがない印象だけれど、笑うことはないだろう。間違ってはいないのだから。
ただ、なんとなくシュールな雰囲気が感じられるのは事実である。
「ににっ」
「……ルミシャンスは遊びたいようだ。おろしてやるといい」
アークとのにらめっこのような時間に飽きたのか、ルミシャンスは手足をバタバタと動かす。
スノウは苦笑しながら床におろしてあげた。しばらく人が来る予定もないようなので、自由にさせてもいいだろう。
「しっかり教えておくね」
「顔と名前を一致させる必要があるんだろうな。俺も少しは時間を取れるようにするか……」
アークがルミシャンスを目で追いながら、悩ましげに呟く。『パパ』と呼ばれなかったとことは、スノウが想像している以上にアークに精神的ダメージを与えたらしい。
親が子と時間を持とうとするのは良いことだ。そう思って、スノウはにこにこと微笑みながら頷いた。
「み!」
声の大きさに思わず飛び跳ねて驚いてしまった。それをアークに見られて、「スノウは可愛いな」と微笑まれたのが少し恥ずかしい。
「——ルミシャンスー、どうしたのかなぁ」
「ににっ」
母親としての顔を取り繕って、ルミシャンスのところへ駆け寄る。
柵をよじ登ろうとするルミシャンスを、ルイスが必死に妨害していた。ルミシャンスは日に日にお転婆度が上昇している気がする。
「こっちに来たかったの? でも、お兄ちゃん、そっちにいるよ?」
ブレスラウは尻尾を床にぺしぺしと軽く打ち付けながら、ルミシャンスを見ている。止める気はないらしい。
柵から落ちたところで怪我するほど弱くはないだろうが、スノウはハラハラしながら手を伸ばした。
その手にぎゅっと抱きつかれて、口元が緩んでしまう。必死に求められると、母性がくすぐられる気がするのだ。
「ママが恋しかったの?」
「にーにー……マー!」
「えっ、今、ママって呼んだ!?」
腕の中でぐりぐりと頭を擦り付けてくるルミシャンスを、思わず凝視する。
鳴き声じゃなくて、『マー』と呼ばれたはずだ。
「確かにそろそろお喋りしてもいい頃ですね」
懐から本を取り出し確認していたルイスが、うんうんと頷きながら答える。
スノウは記憶を辿ってみたけれど、自分がいつ話しだしたかなんて思い出せなかった。でも、ルミシャンスに最初に呼ばれたのが自分だというのが嬉しくてたまらない。
「そっかー、最初に僕のこと呼んでくれたんだね! ありがとう!」
ぎゅーっとハグをしたら、ルミシャンスの尻尾がご機嫌そうに揺れた。初めての場所でも、尻尾を咥えて固まらないのはルミシャンスの良いところだ。
「……俺は?」
ぽつりと呟く声が聞こえて、スノウはハッと振り返る。
アークが少し寂しそうな顔をしていた。ルミシャンスに対してはだいぶ甘くなってきた分だけ、のけ者にされたような気がしているのかもしれない。
「ルミシャンス、ほら、パパだよー」
とりあえずルミシャンスを連れて、アークに近づいてみる。
考えてみたら、『パパ』という言葉をあまり教えこんだ覚えがない。これはすぐに呼んでもらうのは無理かもしれない。
「にー」
「……パパだ」
きょとんと目を丸くするルミシャンスと、なんとも言えない複雑な表情のアークが向かい合う。
ロウエンがブフッと吹き出すような音が聞こえた。
確かに、『パパ』という名乗りはアークに馴染みがない印象だけれど、笑うことはないだろう。間違ってはいないのだから。
ただ、なんとなくシュールな雰囲気が感じられるのは事実である。
「ににっ」
「……ルミシャンスは遊びたいようだ。おろしてやるといい」
アークとのにらめっこのような時間に飽きたのか、ルミシャンスは手足をバタバタと動かす。
スノウは苦笑しながら床におろしてあげた。しばらく人が来る予定もないようなので、自由にさせてもいいだろう。
「しっかり教えておくね」
「顔と名前を一致させる必要があるんだろうな。俺も少しは時間を取れるようにするか……」
アークがルミシャンスを目で追いながら、悩ましげに呟く。『パパ』と呼ばれなかったとことは、スノウが想像している以上にアークに精神的ダメージを与えたらしい。
親が子と時間を持とうとするのは良いことだ。そう思って、スノウはにこにこと微笑みながら頷いた。
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