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続×3.雪豹くんとにぎやかな家族
4-51.番でのんびり
久しぶりに早めに執務を終えられて、アークと二人で就寝前のひとときを穏やかに過ごす。
話題は今日の休憩時間に知らされた、雪豹族の守護のことだ。
「まさかブレスラウがルミシャンスを尊重するのが、ルミシャンス伝いに守護されているのを悟っていたからだったとはな……」
「ある意味、生存本能なのかな」
述懐するアークの声を聞きながら、スノウも首を傾げながらもブレスラウの言葉を思い出す。
ルミシャンスの説明で、雪豹族たちから贈られた魔法が子どもたちに受け継がれていることが分かった。それを誰よりも理解していたのはブレスラウだったことには驚いたけれど。
ブレスラウは生まれた時から、ルミシャンスを通して自分を守る力が渦巻いていることに気づいていたらしい。そしてそれが雪豹族の愛情と称されるものであることも。
魔族一強い種族と言われても、幼い竜族はまだ弱い。そう自覚しているから、強く見せようと精神を張り詰めさせているものなのだ。
だがブレスラウは、雪豹族の守護によって、自分が害される可能性が万に一つもないと悟っていた。それ故に、普通の竜族の子どもよりも精神的なゆとりがあった。
おそらくそれが、普通の竜族よりも愛情やいたわりといった感情を育てられる余裕へと繋がったのだろう。
特にルミシャンスへの愛情が強くなったのは、守護の力の源に最も近い存在だったから。スノウが愛情を向けられているのも同じ理由だろう。
「竜族の守護も与えているんだが」
「うーん……竜族はスパルタだからねぇ」
なんとなく納得がいかなそうに眉を寄せているアークを横目に眺め、スノウはクスクスと笑う。
確かにアークも守護のための魔法をかけてくれたけれど、それは最低限生き抜けるようにという程度だ。
竜族から見たら過保護とも言える雪豹族が子に与える守護とは、段違いの弱さだろう。
ブレスラウが竜族の守護に気づかなくてもしかたない。
「まぁ、謎は幾分か解明できたな」
「そうだね。また今度お墓参りをするときに、みんなに『ありがとう』って言わないと」
雪豹族の里を思い出す。
いつかルミシャンスにあの場所を見せてあげたい。もう雪豹たちはいないけれど、いつまでもスノウにとって大切な場所だから。
微笑みながらアークの胸元に頭を寄りかからせると、ちゅっと耳にキスされた。くすぐったい。
笑いながらもぞもぞと動いたら、ぎゅっと抱きしめられた。耳を軽く噛まれて舌で内側を舐められるとゾクゾクする。
雪豹族の耳は敏感なのだから、あまりいじらないでほしいのだけれど。
アークにそう訴えたところで止まってくれる気がしないから、腕から逃れて、アークの膝の上に寝転がる。
真上に見えるアークの夕陽色の目が、きょとんと丸まった後に、柔らかに細められた。
そこに愛情が滲むのを見るのが好きだ。まるでおひさまに包まれているような、温かな気分になるから。
「今夜は膝枕がいいのか?」
「アークがいたずらするから」
「いたずらじゃない。愛情表現だ」
シレッとした顔で言うものだ。絶対、揶揄いも含んでいたくせに。
スノウがぷくっと頬を膨らませて見せると、アークが楽しそうに頬を緩める。指先でつんつんと頬をつつかれて、スノウも笑ってしまいそうになった。
こうしてじゃれあう時間も幸せで癒やされる。
仕事の忙しさは一段落したし、子どもたちはつきっきりで世話をするほど幼くない。久しぶりにアークとのんびりと過ごせている気がした。
「……ねぇ、アーク」
「どうした?」
「する?」
何を、とは言わなくても伝わるだろう。
手を伸ばしてアークの頬を指先で撫でたら、一瞬丸くなった瞳にギラッと光が宿ったのが分かった。
穏やかで愛情深い眼差しが好きだ。でも、スノウを心から愛し求めていることが伝わってくる野性味のある雰囲気もいい。
アークのすべてを愛しているのだから、スノウに与えてくれるものならなんだって好きだけれど。
「スノウから誘ってくるのは珍しいな」
「そうかな? 結構してる気もするけど」
「毎日でもいいぞ」
「それはちょっと……」
いつの間にかアークに抱き上げられていた。高くなった視点を楽しみながら寝室まで連れて行かれる。
初めの頃を考えると、随分と慣れたなぁと思うけれど、胸の高鳴りは昔と変わらない。アークへの愛は薄れることなく、むしろ強まっていくばかりなのだから。
「スノウが頑張るなら、次の子たちを考えてもいいが」
「え、ほんと?」
唐突に放たれた懐柔の言葉に、スノウは目を丸くした。アークは冗談を言っているような雰囲気ではない。
「ブレスラウやルミシャンスを見て、大丈夫な気がしてきた」
「それは嬉しい。じゃあ、次の発情期に——」
「最短で二人が大人になってからだな」
スノウの提案は言い切る前に却下された。
やっぱり、アークが子どもをあまり歓迎していないのは変わっていない気がする。
ちょっぴりむくれてしまった。でも、スノウもブレスラウとルミシャンスにしっかり向かい合って子育てしたいという気持ちがあったから、アークに文句は言わない。
次の子は二人が大人になってから。
どんな子が生まれるのかなぁ、と考えるだけで、スノウは幸せな気分になった。
話題は今日の休憩時間に知らされた、雪豹族の守護のことだ。
「まさかブレスラウがルミシャンスを尊重するのが、ルミシャンス伝いに守護されているのを悟っていたからだったとはな……」
「ある意味、生存本能なのかな」
述懐するアークの声を聞きながら、スノウも首を傾げながらもブレスラウの言葉を思い出す。
ルミシャンスの説明で、雪豹族たちから贈られた魔法が子どもたちに受け継がれていることが分かった。それを誰よりも理解していたのはブレスラウだったことには驚いたけれど。
ブレスラウは生まれた時から、ルミシャンスを通して自分を守る力が渦巻いていることに気づいていたらしい。そしてそれが雪豹族の愛情と称されるものであることも。
魔族一強い種族と言われても、幼い竜族はまだ弱い。そう自覚しているから、強く見せようと精神を張り詰めさせているものなのだ。
だがブレスラウは、雪豹族の守護によって、自分が害される可能性が万に一つもないと悟っていた。それ故に、普通の竜族の子どもよりも精神的なゆとりがあった。
おそらくそれが、普通の竜族よりも愛情やいたわりといった感情を育てられる余裕へと繋がったのだろう。
特にルミシャンスへの愛情が強くなったのは、守護の力の源に最も近い存在だったから。スノウが愛情を向けられているのも同じ理由だろう。
「竜族の守護も与えているんだが」
「うーん……竜族はスパルタだからねぇ」
なんとなく納得がいかなそうに眉を寄せているアークを横目に眺め、スノウはクスクスと笑う。
確かにアークも守護のための魔法をかけてくれたけれど、それは最低限生き抜けるようにという程度だ。
竜族から見たら過保護とも言える雪豹族が子に与える守護とは、段違いの弱さだろう。
ブレスラウが竜族の守護に気づかなくてもしかたない。
「まぁ、謎は幾分か解明できたな」
「そうだね。また今度お墓参りをするときに、みんなに『ありがとう』って言わないと」
雪豹族の里を思い出す。
いつかルミシャンスにあの場所を見せてあげたい。もう雪豹たちはいないけれど、いつまでもスノウにとって大切な場所だから。
微笑みながらアークの胸元に頭を寄りかからせると、ちゅっと耳にキスされた。くすぐったい。
笑いながらもぞもぞと動いたら、ぎゅっと抱きしめられた。耳を軽く噛まれて舌で内側を舐められるとゾクゾクする。
雪豹族の耳は敏感なのだから、あまりいじらないでほしいのだけれど。
アークにそう訴えたところで止まってくれる気がしないから、腕から逃れて、アークの膝の上に寝転がる。
真上に見えるアークの夕陽色の目が、きょとんと丸まった後に、柔らかに細められた。
そこに愛情が滲むのを見るのが好きだ。まるでおひさまに包まれているような、温かな気分になるから。
「今夜は膝枕がいいのか?」
「アークがいたずらするから」
「いたずらじゃない。愛情表現だ」
シレッとした顔で言うものだ。絶対、揶揄いも含んでいたくせに。
スノウがぷくっと頬を膨らませて見せると、アークが楽しそうに頬を緩める。指先でつんつんと頬をつつかれて、スノウも笑ってしまいそうになった。
こうしてじゃれあう時間も幸せで癒やされる。
仕事の忙しさは一段落したし、子どもたちはつきっきりで世話をするほど幼くない。久しぶりにアークとのんびりと過ごせている気がした。
「……ねぇ、アーク」
「どうした?」
「する?」
何を、とは言わなくても伝わるだろう。
手を伸ばしてアークの頬を指先で撫でたら、一瞬丸くなった瞳にギラッと光が宿ったのが分かった。
穏やかで愛情深い眼差しが好きだ。でも、スノウを心から愛し求めていることが伝わってくる野性味のある雰囲気もいい。
アークのすべてを愛しているのだから、スノウに与えてくれるものならなんだって好きだけれど。
「スノウから誘ってくるのは珍しいな」
「そうかな? 結構してる気もするけど」
「毎日でもいいぞ」
「それはちょっと……」
いつの間にかアークに抱き上げられていた。高くなった視点を楽しみながら寝室まで連れて行かれる。
初めの頃を考えると、随分と慣れたなぁと思うけれど、胸の高鳴りは昔と変わらない。アークへの愛は薄れることなく、むしろ強まっていくばかりなのだから。
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「え、ほんと?」
唐突に放たれた懐柔の言葉に、スノウは目を丸くした。アークは冗談を言っているような雰囲気ではない。
「ブレスラウやルミシャンスを見て、大丈夫な気がしてきた」
「それは嬉しい。じゃあ、次の発情期に——」
「最短で二人が大人になってからだな」
スノウの提案は言い切る前に却下された。
やっぱり、アークが子どもをあまり歓迎していないのは変わっていない気がする。
ちょっぴりむくれてしまった。でも、スノウもブレスラウとルミシャンスにしっかり向かい合って子育てしたいという気持ちがあったから、アークに文句は言わない。
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