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Ⅴ.この想い、天まで届け
51.天が見守る約束
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狼泉と話せた夢を見てから、そのような夢を見ることがなくなった。あの花のかんむりが、悠里と狼泉を繋いでくれていて、力を使い果たしてしまったのかもしれない。
長い間、悠里の心を支えてくれていた夢を見られなくなったのは、思っていた以上に心を不安定にした。でも、夢の中で狼泉と交わした約束があるから、今はそれを信じて縋るだけだ。
「……こんなにたくさんあるんだから、狼泉の夢を見させてくれてもいいんじゃない?」
山の一画を黄色い絨毯のように花が埋め尽くす。魔獣がせっせと種をまいているのを横目に、手折った花を空に掲げた。青空に黄色がよく映える。
そろそろ冬が過ぎ去ろうとしている。狼泉と約束した春までもうすぐだ。時間が経つにつれて、悠里の心に不安と期待が増してきた。
狼泉と夢で繋がったのがただの妄想でしかなくて、ずっと帰ってこなかったらどうしようと、心が沈む。一方でもうすぐ狼泉に会えるのだとソワソワする。最近の悠里の心は乱高下を繰り返し、少し疲れてきてしまった。
「狼泉……」
震える声で呟く。狼泉と話せた安堵感で、目覚めた後まで泣き続けた日から、涙は封印した。それはある種の願かけで、次に涙をこぼせるのは、狼泉と再会したときだと決めている。
だから、どれほど目頭が熱くなろうと、黄色が歪んで見えようとも、絶対に涙は流さないのだ。
「きゅう~」
闇兎が悠里の膝に手を掛けて、くわえていた花を落とす。悠里の脚の上は、闇兎や他の魔獣たちが持ってきた花で黄色く染められていた。これを家に飾るにも、相当たくさんの花瓶が必要そうだ。
「……ふふっ、ありがとう。たくさんあるし、また花かんむりを作ろうかな」
「きゅう!」
嬉しそうな闇兎を見て、心が落ち着く。花を手に取り、丁寧に編んでいく悠里の手元を、闇兎が熱心に見つめているのが微笑ましかった。
「――できた。前より、綺麗にできたと思わない?」
「きゅきゅー」
頷いてソワソワと期待する眼差しで見上げてくる闇兎に、花かんむりを載せた。
「あ……」
「きゅ? ……きゅう!」
大きすぎてしまったのか、花かんむりが闇兎の頭を通して肩のところで引っかかる。『失敗したなぁ』と苦笑して、外そうと手を伸ばした悠里とは違い、闇兎がご機嫌な様子で鳴いた。
「え、そのままでいいの?」
「きゅきゅぅ」
首輪のような花かんむりを、闇兎は他の魔獣に見せびらかす。魔獣たちは大人な対応で、『よかったねー』という感じに受け流しているが、闇兎は満足げだ。闇兎が喜んでくれているならそれでいいと、悠里は微笑んで見守る。
こんな時、白珠がいれば呆れた感じで窘めるのかもしれないが、今日は朝に会ったきり、姿を見ていない。友達の魔獣と遊んだり、狩りをしたりしているのだろう。
「……狼泉のために、また作ろうかな」
闇兎が離れていって暇になった悠里は、まだたくさんある花を拾い上げて編み始める。
あの夢が現実ならば、狼泉にあげた花かんむりはなくなってしまっているだろう。だから、再会した時に、また花かんむりを贈りたいと思った。
一輪一輪丁寧に、狼泉への想いを込めて編む。作り上げた時には日が沈みそうになるほど時間を掛けて作った花かんむりは、会心の出来と自賛してしまいそうなくらいの美しさだった。
「きゅー」
いつの間にか戻ってきていた闇兎が『そろそろ帰ろうよ』と鳴く。狼泉用の花かんむりを見ても、前とは違いあまり気にした様子がなかった。悠里が狼泉を想う気持ちを認めて、狼泉に優しくしようと思ってくれたのかもしれない。
「……そうだね、帰ろっか」
花かんむりを壊さないよう大切に抱えて立ち上がる。その時ちょうど、背後で枯れ葉を踏みしめるような足音がした。
「白珠? ……っ!?」
足音の主に予想をつけながら振り返った悠里は、目を見開いて固まった。呼吸まで止めて凝視する先には、白珠の姿。そして、白珠に騎乗する人の姿がはっきりと見えた。
唇が震える。こぼれる声は言葉にならない。一瞬で目から熱いものが溢れた。
「――悠里」
夢で見た姿。落ち着いた低い声。悠里を捉えて細められた青い瞳。
ずっとずっと待ち望んでいた、愛する人の帰還だ。嘘ではないかと疑う心が、喜びにかき消される。
必死に手を伸ばすと、駆け寄ってきた狼泉に痛いほどの力で抱きしめられた。しっかりと厚みのある身体が悠里を包み込む。夢でも得られなかった幸福感が、悠里を満たした。
震える手で背中にしがみつき、ポロポロと涙をこぼしながら狼泉を見上げる。
「ろう、せん、っ」
「悠里。俺は約束通り、戻ってきた」
「うんっ、うんっ……信じて、たっ!」
狼泉の唇が涙を吸い取る。その温もりが愛おしくて、さらに涙が溢れた。狼泉が少し困ったように微笑んでいるから、申し訳ないし止めたいと思うのだが、どうにも制御できそうにない。
「悠里……」
「っ……ん……」
唇が重なる。あやすような優しい口づけが、ふわりふわりと悠里の心を慰撫する。
暫くして涙が落ち着くと、青い瞳と目が合った。
「……これからは、ずっと一緒だ」
「うんっ、約束、だよ」
微笑み合う。幸せでたまらなかった。
そこで手に持っていた花かんむりを思い出し、狼泉に見せる。
「これ、は……」
「花かんむり。また、約束の証にしよう」
「……あぁ、俺と悠里を繋ぐもの、だな」
泣くように笑う狼泉が少し離れて頭を下げる。そこに花かんむりを載せると、不思議なほど心が満たされた。狼泉も嬉しそうにはにかむような笑みを浮かべている。
「――悠里は俺だけの神獣で、唯一無二の大切なパートナーだ」
「ふふっ。そうだね。狼泉は僕の大切なパートナーだよ」
花かんむりを指先でちょんとつつき、微笑む。視線が絡み、自然と唇が重なった。貪るような口づけを交わしながら、悠里は幸せでたまらない思いで、目を伏せて一筋の涙をこぼす。
『あなたは僕の唯一の人。この命絶えるその時まで、愛し続けよう。これからは、何があっても、ずっと一緒にいられますように――』
悠里の願いが天に届いたように、藍色に変わりゆく空に星が瞬いた。
長い間、悠里の心を支えてくれていた夢を見られなくなったのは、思っていた以上に心を不安定にした。でも、夢の中で狼泉と交わした約束があるから、今はそれを信じて縋るだけだ。
「……こんなにたくさんあるんだから、狼泉の夢を見させてくれてもいいんじゃない?」
山の一画を黄色い絨毯のように花が埋め尽くす。魔獣がせっせと種をまいているのを横目に、手折った花を空に掲げた。青空に黄色がよく映える。
そろそろ冬が過ぎ去ろうとしている。狼泉と約束した春までもうすぐだ。時間が経つにつれて、悠里の心に不安と期待が増してきた。
狼泉と夢で繋がったのがただの妄想でしかなくて、ずっと帰ってこなかったらどうしようと、心が沈む。一方でもうすぐ狼泉に会えるのだとソワソワする。最近の悠里の心は乱高下を繰り返し、少し疲れてきてしまった。
「狼泉……」
震える声で呟く。狼泉と話せた安堵感で、目覚めた後まで泣き続けた日から、涙は封印した。それはある種の願かけで、次に涙をこぼせるのは、狼泉と再会したときだと決めている。
だから、どれほど目頭が熱くなろうと、黄色が歪んで見えようとも、絶対に涙は流さないのだ。
「きゅう~」
闇兎が悠里の膝に手を掛けて、くわえていた花を落とす。悠里の脚の上は、闇兎や他の魔獣たちが持ってきた花で黄色く染められていた。これを家に飾るにも、相当たくさんの花瓶が必要そうだ。
「……ふふっ、ありがとう。たくさんあるし、また花かんむりを作ろうかな」
「きゅう!」
嬉しそうな闇兎を見て、心が落ち着く。花を手に取り、丁寧に編んでいく悠里の手元を、闇兎が熱心に見つめているのが微笑ましかった。
「――できた。前より、綺麗にできたと思わない?」
「きゅきゅー」
頷いてソワソワと期待する眼差しで見上げてくる闇兎に、花かんむりを載せた。
「あ……」
「きゅ? ……きゅう!」
大きすぎてしまったのか、花かんむりが闇兎の頭を通して肩のところで引っかかる。『失敗したなぁ』と苦笑して、外そうと手を伸ばした悠里とは違い、闇兎がご機嫌な様子で鳴いた。
「え、そのままでいいの?」
「きゅきゅぅ」
首輪のような花かんむりを、闇兎は他の魔獣に見せびらかす。魔獣たちは大人な対応で、『よかったねー』という感じに受け流しているが、闇兎は満足げだ。闇兎が喜んでくれているならそれでいいと、悠里は微笑んで見守る。
こんな時、白珠がいれば呆れた感じで窘めるのかもしれないが、今日は朝に会ったきり、姿を見ていない。友達の魔獣と遊んだり、狩りをしたりしているのだろう。
「……狼泉のために、また作ろうかな」
闇兎が離れていって暇になった悠里は、まだたくさんある花を拾い上げて編み始める。
あの夢が現実ならば、狼泉にあげた花かんむりはなくなってしまっているだろう。だから、再会した時に、また花かんむりを贈りたいと思った。
一輪一輪丁寧に、狼泉への想いを込めて編む。作り上げた時には日が沈みそうになるほど時間を掛けて作った花かんむりは、会心の出来と自賛してしまいそうなくらいの美しさだった。
「きゅー」
いつの間にか戻ってきていた闇兎が『そろそろ帰ろうよ』と鳴く。狼泉用の花かんむりを見ても、前とは違いあまり気にした様子がなかった。悠里が狼泉を想う気持ちを認めて、狼泉に優しくしようと思ってくれたのかもしれない。
「……そうだね、帰ろっか」
花かんむりを壊さないよう大切に抱えて立ち上がる。その時ちょうど、背後で枯れ葉を踏みしめるような足音がした。
「白珠? ……っ!?」
足音の主に予想をつけながら振り返った悠里は、目を見開いて固まった。呼吸まで止めて凝視する先には、白珠の姿。そして、白珠に騎乗する人の姿がはっきりと見えた。
唇が震える。こぼれる声は言葉にならない。一瞬で目から熱いものが溢れた。
「――悠里」
夢で見た姿。落ち着いた低い声。悠里を捉えて細められた青い瞳。
ずっとずっと待ち望んでいた、愛する人の帰還だ。嘘ではないかと疑う心が、喜びにかき消される。
必死に手を伸ばすと、駆け寄ってきた狼泉に痛いほどの力で抱きしめられた。しっかりと厚みのある身体が悠里を包み込む。夢でも得られなかった幸福感が、悠里を満たした。
震える手で背中にしがみつき、ポロポロと涙をこぼしながら狼泉を見上げる。
「ろう、せん、っ」
「悠里。俺は約束通り、戻ってきた」
「うんっ、うんっ……信じて、たっ!」
狼泉の唇が涙を吸い取る。その温もりが愛おしくて、さらに涙が溢れた。狼泉が少し困ったように微笑んでいるから、申し訳ないし止めたいと思うのだが、どうにも制御できそうにない。
「悠里……」
「っ……ん……」
唇が重なる。あやすような優しい口づけが、ふわりふわりと悠里の心を慰撫する。
暫くして涙が落ち着くと、青い瞳と目が合った。
「……これからは、ずっと一緒だ」
「うんっ、約束、だよ」
微笑み合う。幸せでたまらなかった。
そこで手に持っていた花かんむりを思い出し、狼泉に見せる。
「これ、は……」
「花かんむり。また、約束の証にしよう」
「……あぁ、俺と悠里を繋ぐもの、だな」
泣くように笑う狼泉が少し離れて頭を下げる。そこに花かんむりを載せると、不思議なほど心が満たされた。狼泉も嬉しそうにはにかむような笑みを浮かべている。
「――悠里は俺だけの神獣で、唯一無二の大切なパートナーだ」
「ふふっ。そうだね。狼泉は僕の大切なパートナーだよ」
花かんむりを指先でちょんとつつき、微笑む。視線が絡み、自然と唇が重なった。貪るような口づけを交わしながら、悠里は幸せでたまらない思いで、目を伏せて一筋の涙をこぼす。
『あなたは僕の唯一の人。この命絶えるその時まで、愛し続けよう。これからは、何があっても、ずっと一緒にいられますように――』
悠里の願いが天に届いたように、藍色に変わりゆく空に星が瞬いた。
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