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プロローグ
しおりを挟む砂埃が舞う。
辺りには生物の気配すらない…
あるのはただ、物言わぬ死体のみ。
ここは戦場。魔力の残滓と、硝煙の臭い漂う地獄。…だった。あぁ、それも過去のこと。今はただの荒野だ。
「アレシア中将!此度の戦、中将のご尽力があってこその勝利です!」
「…あー、お疲れ様。」
「お声をかけて頂き光栄です!」
誰かもわからない男に褒められても嬉しくないっていうか…どうせなら美少女に褒められてみたいもんだ。せっかく日本から転生したのに、周りには男、男、男!
むさくるしいったらありゃしない!
「次、もし戦があったとしても中将が居れば安心ですね!」
買い被り過ぎだ。と、言ってやりたかったが、返答をするのも億劫になったため軽く手を挙げて返す。
日本では考えられないことだな、戦争を起こる前提で話している。そんな事をしたら、警察にでも捕まるか?やったことないから分からないがな。
にしても、どうして俺はこうも戦闘にばかり駆り出されるんだ。俺はそこまで戦いたいわけじゃないんだけどなぁ、全く、誰だよ“狂戦士”なんて二つ名付けたの、俺は戦闘狂じゃない!
「おお、アレシア君、探したよ。」
突如、後ろから声がかけられた。
振り向くと、そこには大将がいる、何でこんなところに居るんだ?
…それにしても、気配に全く気づかなかった気が緩んでるな、今一回死んでいた。
「…大将、どうされました?」
「ああ、なに、少しばかり話があってね。国に戻ったら、私の部屋に来てくれ。要件はそれだけだよ、ではな。」
「は、はぁ、了解しました。」
俺に何の用かと身構えたが…ここはテンプレ通りに昇進か?ついに万年中将の俺も大将になれるってことか…!万年とは言っても、まだ二年程度しかこの地位にいないがな。
さて、帰るとするか。
「ゲートオープン。」
その言葉と共に、空間に一筋の亀裂が走る。
それを手で広げ、中に入る。
亀裂の向こう側は自室だ。なんせ、これは俺が構築した魔術だからな。制御も思い通りだ。
こうして、俺は自室に戻った。
土埃に塗れている今、俺はただ風呂に入りたい。
♢♢♢
「王国軍中将、アレシア・シェイド。ただ今参りました。」
大将の部屋をノックして、そう伝える。これが王国でのルールとなる。…日本でも当たり前のルールだがな。
「あぁ、入れ。」
「失礼します。」
大将の部屋に入る。なんとも言えない緊張感が心臓の鼓動を早くしているのが分かる。
ちゃっちゃと昇進して戻りたい。
「さて、早速本題に入るのだが…アレシア君。君には軍人をやめてもらおうと思う。」
「…」
いけない、突然の事過ぎるのと、あまりに突飛な事過ぎて言葉が出ない。昇進は?俺の昇進はどこに行ったの?
「意味がわからない、と言った顔だね。まぁ無理もない。だが安心して欲しい、別の場所で、今まで通り働いてもらうだけだから。」
いきなり無職って事態は避けられた訳か…ならいいや、金が貰えて、飯が食えればとりあえず生きていける。
「そ、それで…どこに?」
「あぁ、少し待て。今書類を…あった。
……王国軍中将、アレシア・シェイド。貴官はエルシュ魔法学園へ転籍となる…
とどのつまり、教師だ。」
軍人関係ねぇ!と、全力で叫んでやりたかったが、そういうわけにもいかない。
今どきの軍人には魔法技能が必須なのだ。
もちろん近接戦闘も必要だが…そう考えると、割と適任かもしれない。
理解と納得は別物だがな。上司から言われたから仕方ない…
「……承りました。今まで、ありがとうございました。」
「あぁ、あちらでの活躍、期待しているよ。詳しいことは追って連絡する。」
さて、誰にも何も教えたことのない俺が、
生徒に何を教えろというのか…うっ、胃が痛い。
部屋に戻って準備するか、
手ぶらで行くわけにもいかないし。
俺は大将の部屋を後にした。
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