2 / 2
第1章 星は巡りて、瞬く始まり
出逢い
しおりを挟む
私は何も持っていなかった。
訂正。
スピカと言う名前を持っていた。
でも、それしか持っていなかった。
十数年の時をイケニエとして祭壇に監禁され、白い光の部屋で時間を浪費している。
それも今日で終わる。
イケニエは命の光で何千、何万という人を救う代償に自由と命を失う。
私の命は残り僅か。
あと少しで解放される。
「助けて!」
「・・・くない」
「まだ死にたくない!」
「何のために生まれたかすらわからない! 何にが生きているのかわからない! このまま死ぬなら、生まれて来なければ良かった!」
私は希望の巫女。人々に光と奇跡を捧げる為だけに存在する。
「私にも希望が欲しい!」
その瞬間、部屋が崩壊した。
何も無い闇に覆い尽くされ、周囲に気味の悪い何かの息遣いがいくつも感じられる。
「い、いやああああああ」
こんな終わり方は嫌だ。神様なんていない。こんな世界、滅びて仕舞えばいいのに。
闇の中で蠢くなにかが迫って来た。
これで終わるなら、呪ってやる。
全てを諦めて目を閉じた。
「悪いが俺が先約だ。失せろよ有象無象。第七創世禁呪『熾天使』」
目を開けるとボロボロの黒いローブを身に纏い、黒い瞳と黒い髪の少年が六つの魔法陣をその手に発動させながら何かを防いでいた。
「あなたは?」
その言葉に少年は反応せず、闇を睨みつけていた。
「今は少し気分がいい。見逃してやろう」
今度は無数の牙が全方向から迫る。
「はあ、所詮は意思なき獣か」
少年は手を払う動作をしただけで周囲が焔の世界へと変貌する。
闇は焔に照らされ、状況が鮮明に見えた。
夥しい黒い異形の化け物が焔に焼かれて消えて行く。
「助けてくれたのですか?」
「俺は希望を与えに来た。お前の生には救いがなさすぎた。だから、これからは俺が応えよう。お前の従者となる許可が欲しい」
「私には何も無いよ?」
「俺には希望しかない。何もない方が都合がいい」
「後悔しても知らないよ?」
「俺が後悔する事はない。何故なら、君にたどり着けた事が俺にとってどれほどの救いであった事か」
「じゃあ、私に希望をください」
「仰せのままに」
焔の世界は消え、魔法陣によって固定された空間から世界を見下ろしていた。
「これが世界だ。それでは旅をしよう。この世界に希望を見出すための旅を」
「ええ。お願いします」
私は彼という希望と出逢った。
訂正。
スピカと言う名前を持っていた。
でも、それしか持っていなかった。
十数年の時をイケニエとして祭壇に監禁され、白い光の部屋で時間を浪費している。
それも今日で終わる。
イケニエは命の光で何千、何万という人を救う代償に自由と命を失う。
私の命は残り僅か。
あと少しで解放される。
「助けて!」
「・・・くない」
「まだ死にたくない!」
「何のために生まれたかすらわからない! 何にが生きているのかわからない! このまま死ぬなら、生まれて来なければ良かった!」
私は希望の巫女。人々に光と奇跡を捧げる為だけに存在する。
「私にも希望が欲しい!」
その瞬間、部屋が崩壊した。
何も無い闇に覆い尽くされ、周囲に気味の悪い何かの息遣いがいくつも感じられる。
「い、いやああああああ」
こんな終わり方は嫌だ。神様なんていない。こんな世界、滅びて仕舞えばいいのに。
闇の中で蠢くなにかが迫って来た。
これで終わるなら、呪ってやる。
全てを諦めて目を閉じた。
「悪いが俺が先約だ。失せろよ有象無象。第七創世禁呪『熾天使』」
目を開けるとボロボロの黒いローブを身に纏い、黒い瞳と黒い髪の少年が六つの魔法陣をその手に発動させながら何かを防いでいた。
「あなたは?」
その言葉に少年は反応せず、闇を睨みつけていた。
「今は少し気分がいい。見逃してやろう」
今度は無数の牙が全方向から迫る。
「はあ、所詮は意思なき獣か」
少年は手を払う動作をしただけで周囲が焔の世界へと変貌する。
闇は焔に照らされ、状況が鮮明に見えた。
夥しい黒い異形の化け物が焔に焼かれて消えて行く。
「助けてくれたのですか?」
「俺は希望を与えに来た。お前の生には救いがなさすぎた。だから、これからは俺が応えよう。お前の従者となる許可が欲しい」
「私には何も無いよ?」
「俺には希望しかない。何もない方が都合がいい」
「後悔しても知らないよ?」
「俺が後悔する事はない。何故なら、君にたどり着けた事が俺にとってどれほどの救いであった事か」
「じゃあ、私に希望をください」
「仰せのままに」
焔の世界は消え、魔法陣によって固定された空間から世界を見下ろしていた。
「これが世界だ。それでは旅をしよう。この世界に希望を見出すための旅を」
「ええ。お願いします」
私は彼という希望と出逢った。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる