オタクだったはずなのに

桜花

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転校生と仲良くなりたい

第8話

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午前中の授業を終え、昼休みになった。

2日目から1日ってしんどいわ…。
今日くらい午前中でいいやん…。
そんな私の言葉は聞き入れてもらえず、無慈悲に今日から1日。

さて…杏ちゃんとお昼食べに行かな。
お昼は基本的に自由だ。
グループで食べてもよし…もちろん、ぼっち飯も少なからずいる。
友達いてよかったわ…ほんまに。

オタクだから理解されないことが多いんやけど、杏ちゃんはその辺理解してくれるから好きなんよね。
…まぁ最近は…推しを恋に置き換えられてへんかな…と思うこともあるんやけど…。

そんなことを考えながら、杏ちゃんの席に行く。
「花ちゃん~。食べよ~!」
「食べる食べる!」
待ちに待ったお昼ご飯やから、めっちゃ嬉しい。
杏ちゃんと雑談しながら食べるお弁当は最高やねん。

ご飯も一通り食べ終わり、残りの昼休みも雑談に費やそうと思った時、急に私たちの方に近づいてくる人がいた。
「あの、藤咲さん少しよろしいですか?」

この爽やかイケメンボイスはなんや!?
と思い振り返ると…
ま、ま、ま、まさかの…!!
翼k…じゃない!聖くん…!
「な、な、なに…!?なんか用なん?」
ガンを飛ばす私。
杏ちゃんがこちらをじとーっとみてくる。
…ちゃ…ちゃうねん…平静を装ったらついぶらっきらぼうになってしもうただけやねん…。
あと別に恋愛的にテンパってるわけじゃないから…!!

必死で挽回しようとするが、時すでにお寿司。
間違えた、遅し。
つまんねえって?しらんがな!
パニクり過ぎて、変なキャラになってしもたんや!

「…咲さん…藤咲さん?あの…聞いてますか?」
はっ…。
テンパりすぎて別の世界に行ってたわ…。
落ち着こう深呼吸。
すーはーすーはー。
おっけ、話を聞かな。

「ごめん聞いてへんかった!なんやて?」
「藤咲さん、学級委員ですよね?僕も学級委員なんですが、仕事があるので一緒にやっていただけないかと…。」

……??ガッキュウイイン?
「…えっと…?…ごめん。なんの話ですか…?なった覚えがないんです…けれど…。」
頭の中にはてなしかない私。

でも杏ちゃんは思い出したかのように、はっとした顔をした。
え…待って杏ちゃん…なんか忘れてたやんな…その感じ…?

その時、昼休みが終わるチャイムが鳴った。
「えっと…鳴ってしまったのもありますし、とりあえず香月こうづきさんに聞いておいて貰えますか?本当は昨日のうちに話しておくという段取りが取られていたはずなのですが…。では、仕事はまた明日しましょう。」
そう言って離れていく、聖くん。
杏ちゃんもそそくさと次の授業の準備をしている。

…え…いや…待ってくれへん!?
学級委員って何やねん!?
とりあえず、誰か説明して!
いや頼れる人は杏ちゃんしか居ないんやけど…!

聖くんが推しに似てるとか言ってるどころやない!
学級委員なんか嫌やああああ!!
私は…普通のオタクなだけなのに…。

そう言っていても、無慈悲になる授業開始のチャイム。
私はとりあえず諦めて、授業に集中するのだった。
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