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高校時代
禍を転じて福と為す④
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さすがハイエナと貶すべきか、抜け目がないと褒めるべきか。
とにかくその嫌な予感は見事に的中した。
「先輩! 可愛い後輩が帰ってきましたよ!」
ラティはドアを開けるなり、はつらつとした声で復帰宣言をした。俺は、よく恥ずかしげもなくそんなこと言えるなと思いながら、辺りを見回す。
机や椅子は勿論のこと、本が詰め込まれた本棚やソファー、立ち鏡。他にも至る所に角材や化粧道具、CDプレーヤーや、何が入っているかよくわからない大きな段ボールまで。
演劇部の部室は、ありとあらゆる物で溢れていた。
「ラティ! もう学校に来て大丈夫なのかっ?」
「はい、明日からは通常通り参加します!」
「そうかそうか……で、そちらの方は……あぁあ!?」
ラティと話していた男子部員が、俺を見て大声を出した。その声に、作業していた他の部員たちが、一斉に顔を上げ、俺を見て固まった。
「皆知ってると思うけど、こいつは、リアン・シルヴェッド。見学希望者だ!」
「……どうも」
小さく会釈すると、部室に何人もの悲鳴が反響した。
「嘘でしょ?!」
「本物!?」
「ラティ、やるじゃないか! どうやって彼を説得したんだ?!」
「先輩、気が早い。まだ、ただの見学ですから!」
まだ? 入部する気はさらさら無いが?
ラティを睨むと、俺の視線に気づいた彼は、こちらを見つめて、挑発するように鼻で笑った。ほんの一瞬、彼を蹴りたくなったが、同時にその小憎たらしさがなんだか面白く感じた。
「んじゃ、俺、補習あるんで、また終わったら来ます!」
「おう、いってらー!」
「リアンはオレら任せてくれ~!」
「じゃあ、リアン。またあとでな!」
ラティは俺の肩を叩き、親指を立てて、そそくさと部室を後にした。
その後、俺は仕方なく二時間も、部員たちの演技論に付き合った。
とにかくその嫌な予感は見事に的中した。
「先輩! 可愛い後輩が帰ってきましたよ!」
ラティはドアを開けるなり、はつらつとした声で復帰宣言をした。俺は、よく恥ずかしげもなくそんなこと言えるなと思いながら、辺りを見回す。
机や椅子は勿論のこと、本が詰め込まれた本棚やソファー、立ち鏡。他にも至る所に角材や化粧道具、CDプレーヤーや、何が入っているかよくわからない大きな段ボールまで。
演劇部の部室は、ありとあらゆる物で溢れていた。
「ラティ! もう学校に来て大丈夫なのかっ?」
「はい、明日からは通常通り参加します!」
「そうかそうか……で、そちらの方は……あぁあ!?」
ラティと話していた男子部員が、俺を見て大声を出した。その声に、作業していた他の部員たちが、一斉に顔を上げ、俺を見て固まった。
「皆知ってると思うけど、こいつは、リアン・シルヴェッド。見学希望者だ!」
「……どうも」
小さく会釈すると、部室に何人もの悲鳴が反響した。
「嘘でしょ?!」
「本物!?」
「ラティ、やるじゃないか! どうやって彼を説得したんだ?!」
「先輩、気が早い。まだ、ただの見学ですから!」
まだ? 入部する気はさらさら無いが?
ラティを睨むと、俺の視線に気づいた彼は、こちらを見つめて、挑発するように鼻で笑った。ほんの一瞬、彼を蹴りたくなったが、同時にその小憎たらしさがなんだか面白く感じた。
「んじゃ、俺、補習あるんで、また終わったら来ます!」
「おう、いってらー!」
「リアンはオレら任せてくれ~!」
「じゃあ、リアン。またあとでな!」
ラティは俺の肩を叩き、親指を立てて、そそくさと部室を後にした。
その後、俺は仕方なく二時間も、部員たちの演技論に付き合った。
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