オーバーウェルミング

日向木陰

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プロローグ

プロローグ4

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リゲルとミーティアの体は限界をとうに超えていた。
自分の命の終わりを自覚してしまっていた。
最上位種族の魔力を体に取り込み実力以上の力で戦闘を続けた結果体内に相当なダメージを受けてしまっていた。

リゲルとミーティアは自分の最後を感じ取っていた。
身体は重く、回復魔法を使おうとすると全身に激しい痛みが走る。


「くっ。」
リゲルは思わず苦しい表情をしてしまう。

この夫婦はこれからだったのだ。これから、新たな命を家族に迎え、時には喧嘩をしながら円満な家庭を気づいていく予定だった。

しかし、その夢もまもなく叶わなくなる。
だが、一つだけこの世界に行きた証を残す方法がある。
自分たちの子供の命まで奪うつもりは毛頭ない。

横を見るとミーティアが察したようにこちらに笑顔を向けてきた。


リゲルとミーティアはその場で抱き合った。



あれからどれくらいだっただろうか、時間を忘れ、ただ自分達の子供を守るため必死になっていた。
リゲルは限界だったが回復魔法をミーティアにかけ続けた。

そして

「オギャー」
実際あれから半日ほど経っていた。
いつ、命尽きるかもわからないこの状況で二人は、無事自分達の子の顔を見ることができた。
元気な男の子だ。

ミーティアの目には涙が、

リゲルはミーティアを支えるように横に並んでいる。

そして二人は子供の命を守れたことに安堵し、赤ん坊を真ん中に寝かし地面に寝転んだ。

「生まれてきてくれてありがとう。」
ミーティアが赤ん坊に話かけた。

「そして、ごめん。」
今度はリゲルが赤ん坊に謝った。

これからの成長を見守れないこと
叱ることができないことを謝った。

この後の事は心配していない。
おそらく王家、特にミーティアの父がこの場に駆けつけてこの子の面倒を見てくれるだろうから。 

そして最後にリゲルとミーティアは互いの笑顔を脳裏に焼き付けそして赤ん坊の顔に目をやり、微笑みながらゆっくり瞼を閉じようとした。


「待て、お主ら、諦めるのか、」

二人は目を開けると声の主はそこに立っていた。

「お主らは、儂を助けてくれた。人間なんぞに借りなどわ作らん主義だ。」

重たい瞼を力一杯あげるとそこには、神族の主神この世界の創造主がいた。


二人は、目を白黒させる。
あんだけ重かった瞼を何度もパチパチと。

「しかし、お前さんらの体を元に戻すには幾分時間がかかる。最上位種族の魔力を体内に取り込んだのじゃから。お前さんらの子供が生きとるのが不思議じゃわい。」

神族ジェフはそういうと二人に魔法をかけようとする。

「待て待て待て、何をする気だ。」

「お前さんらを一度天界に連れていかねばならぬからのぉ。」

「て、天界?」

「左様じゃ、そうしないとお前さんらを治療できないからな。」


「待て待て待て、まだ心の準備が、」

「そうよ。そんな急に言われても。」

「運命とは常に突然じゃ。それにあんたらこのままここにいても死ぬぞ。」

「「うっ、」」
二人は痛いところを突かれてしまう。

「あっ、そうじゃ、それと天界に連れていくのは二人だけ、つまりこの子は連れていけんのじゃ。」

なんでも赤ん坊の体では、天界に漂う魔力に耐えれないらしい。

「その子は、ここに置いていけ、」

「そ、そんな。」
ミーティアがたじろいでしまう。

「ミーティア心配いらないさ、俺らの子だ。絶対に大丈夫だ。」
リゲルはミーティアを落ち着かせようとした。

「で、でも」

「たとえ、なんかあってもお前の親父がなんとかしてくれるさぁ。」

「そうね。家族を信じるわ。」

ここでリゲルは、あることに気づく。
「そういや、まだ名前決めてなかったな。」
「そういえば、そうね。」

何にしようか考えるため、上を見上げると綺麗な星空が広がっていた。

「ソア。」
リゲルがそう口にすると

「いいわね。すごく素敵だと思うわ。」

「いいか、お前の名前は、ソア。
グランシャリオ・ソアだ。」

赤ん坊はソアと名付けられた。


ここで奥の方から声が聞こえてきた。
「おいおい、話を聞いてりゃ置いてけぼりか?」

「うるさい。もうどうでもいいじゃない?今日の事は私の一生の恥だわ。」


「それよりこっちはもうちょい暴れたっていいんだぜ。」

「黙れ悪魔が、今日の争いはお前さんも不本意であろう。ここはひとまず引け」
ジェフは悪魔族そいつに言った。

「ふっ、わかってるよ。」

「龍ももう帰れ。」
ジェフは龍族にも行った

「我は気の向くままに動くのみお前でも我の行動を指図する事は出来ないが今日はひとまず変えるとしよう。」
龍族は背を向けて一番にその場を後にした。

「では、人間よ、我々もそろそろいくぞ。」
「そうだな。本当にくたばる前にさっさと行こう。」
「縁起でもない事言うな。」

リゲルとミーティアは最後に赤ん坊に別れを告げた。
「ソア。しばらくお前とはお別れだ。大きく成長するんだぞ。」
「ソア。側にいることができなくてごめんなさい。でもあなたの事を心から愛しているわ。」

二人が言い終えると、その場に光が輝き始め、赤ん坊以外誰もいなくなった。

それからすぐに人間の小隊のような物がこの島に上陸し現場の状況に騒然としながらも赤ん坊を保護してその近くにあった置き手紙も回収した。

こうして、孤島カルデアで行われた争いは終息を迎えた。
のちに、この出来事は、至高の憤怒と呼ばれ、語り継がれるのだった。


そして、神族、龍族、天使族、悪魔族、精霊族の5大皇種は、決して触れてはならないという意味を込めてコロラドアイトと呼ばれるようになる。

ここまでが二人の英雄伝およびこの話の主人公、グランシャリオ・ソアの誕生秘話だ。
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