お隣さんは妖怪くん！

00-私の好きな人！

やっとのことで６時間目が終わり、帰りのホームルームの時間。

今日は待ちに待った、席替えの日。

狙うは好きな人の隣。

まずは男子が最初にクジを引く。

誰がどの番号を引いたか、ちゃんと確認をするの。

黒板にはまだ番号が書かれているだけ。名前は乗らない。

「じゃあ、次、女子～」

男子用から女子用のクジが入った箱に代わり、わらわらと女子が集まる。私もその中の一人。

そういえば、パンダって３回言いながら引くといいんだって？

パンダ、パンダ、パンダ。

ゆっくり、二つ折りの紙を開く。

「10番……」

窓から3列目、一番後ろの席。

女子が引き終わってから、男子は自分の荷物を持って移動し始めている。

私も急いで移動する。

ドキドキ。

私の隣の席の人は、もう移動終わっていたみたい。

「お、アキさん？」

ぴゃっ、とドキドキが増す。

切れ長の三白眼に、色気のある薄い口角の上がった唇。無意識にか、垂れ下がった眉。

「やー、はは、隣だね」

「あはは、にやけてる、そんなに嬉しいんだ？」

「全然っ！？」

またドキドキが増す。

顔が真っ赤に火照る。

言わずもがな、わかるとは思うけど。

私の隣の席は、好きな人だ。

「よろしく、アキさん？」

「よろしく、クロくん」

私、宵月よいづき　朱威あけいは、この時山田やまだ　八雲やぐも、通称クロくん(誕生日が9月6日)の秘密を知るとは、思ってもいなかった。