129 / 180
五章 十六歳の性教育
9.王城の庭で秋桜を
しおりを挟む
王城の庭に秋桜が咲いた。
月に二回王城に行っている僕は、その日に合わせてロヴィーサ嬢を庭の散歩に誘った。
白いワンピースにつば広の白い帽子を被ったロヴィーサ嬢が眩しい。まだ日差しはあるので、僕も麦わらのボーター帽子を被ってスーツを着ていた。
僕が手を差し出すとロヴィーサ嬢が僕の手に手を重ねる。
華奢な指が僕の手に触れて、僕は胸がドキドキした。
色んなことを知って行くにつれて、ロヴィーサ嬢に触れることで意識してしまう面もある。それも含めてロヴィーサ嬢は僕という未熟な男性を受け入れてくれている。
春にチューリップを植えていた場所には、秋桜が群生していた。チューリップは植えたとおりに並んでいるのに、秋桜は絡み合うようにして背が高く伸びていることに驚く。
「背が高いのですね」
「わたくしの背丈くらいありますね」
「色も様々です」
白、ピンク、濃いピンク、紫がかったピンクなど、様々な色がある秋桜は、僕の背丈まではないが、ロヴィーサ嬢の背丈くらいまでは伸びていた。
圧巻の姿に見惚れていると、庭師さんが近付いてくる。
「もしかして、切ってくれるのかな?」
「王子殿下がお望みでしたら、お好きな色をお切りします」
白薔薇のときもだが、庭師さんは僕の気持ちをよく分かっていた。僕が秋桜をここで見るだけでなく持ち帰りたいと思っているのを察してくれたのだ。
「どうしますか、ロヴィーサ嬢」
「せっかくですから、色んな色が混じっている方がいいですね」
「それでは、全種類の色を混ぜて、花束を作ってくれるか?」
「畏まりました」
庭師さんが手際よく秋桜の花を切っていく。白にピンクに濃いピンク、紫がかったピンクなど、色んな色を揃えて整えて花束にしてくれる。
花束は一つだけではなかった。
僕とロヴィーサ嬢の分と、父上とエリアス兄上とユリウス義兄上とエルランド兄上の分の、二つあった。
「先帝殿下のお妃様がお好きだった花と記憶しております。大事に育てて参りました。どうか届けてくださいませ」
「ありがとう。父上も兄上たちも喜ぶと思うよ」
二つの花束を受け取って、僕は庭師さんにお礼を言った。
王城の庭はいつも剪定されて整っているし、庭師さんはこの広い庭をしっかりと管理している。
庭師さんの功績も讃えねばならないと僕は考えていた。
「あの庭師は、エドヴァルド殿下のお母上がこの国に嫁いできたときに、一緒にやって来た魔族なのですよ」
庭の散歩は危険も少ないので少し離れていた爺やが、近寄ってきて僕の耳に囁く。初耳で僕は驚いてしまった。
「あの庭師さんも魔族なのか?」
「そうです。エドヴァルド殿下のお母上が亡くなってからも、この王城に仕えております」
母上は大好きな庭を管理するものまで連れて嫁いできていた。それだけ母上には庭に思い入れがあったのだろう。
「エドヴァルド殿下のお母上は気軽に出かけられる身分ではありませんでした。その分だけ、庭にはよく出て、草花を愛でていたのです」
僕の知らない母上の姿がまた爺やから語られる。それは決して寂しいことではなく、僕にとっては知らない母上を知ることができる嬉しいことだった。
王城の王家のものだけが使える私室に行けば、父上がそわそわした様子で僕に近寄って来た。
「この前伝えた件だが……」
「全てを完全に理解できたわけではありませんが、何となく分かっています」
「そうか……。ロヴィーサ嬢、私の説明が足りていないかもしれない。そのときには、どうかエドを頼む」
「わたくしの方がエド殿下よりも年上です。きっと何とかなると思っております」
父上と二人きりで話した男女の話。
それを僕は完全に理解できているわけではないが、それでもロヴィーサ嬢と一緒ならば大丈夫なのではないかと思える。
「父上とエドは内緒話ですか?」
「この前、二人で話した件ですか?」
エリアス兄上とエルランド兄上は興味津々だが、僕は恥ずかしくて父上とどんなことを話したのか打ち明ける気にはなれなかった。
「とても大事なことを話したのです。父上と僕だけの秘密です」
「エドが私たちに秘密を持つなんて珍しい」
「エドも大人になったんだね」
エリアス兄上とエルランド兄上にしみじみされてしまったが、僕はそういうものではないと思っていた。完全に性的な知識がなかった僕が無知だったのであり、父上はそれを説明させられた被害者なのだ。
もうちょっと幼い頃からマイルドに少しずつ知識を与えて欲しかった。
そう思っても、僕の幼い頃はベッドの中の記憶しかない。ベッドから出られても、すぐに熱を出して倒れていた。
「大人に、なりたいのです」
エルランド兄上は僕が秘密を持ったことで大人になったと言ったが、僕は全然大人ではない。もっと大人になりたいと常に思っていた。
「父上、エリアス兄上、ユリウス義兄上、エルランド兄上、秋桜の花を庭師さんが切ってくれました。爺やに聞いたのですが、あの庭師さんは母上が魔族の国から連れて来ていたのですね」
「そうだったな。長く仕えてくれているから忘れそうになっていた」
「そうなのですか、父上?」
「私も知りませんでした」
庭師さんの素性について父上は知っていたが、エリアス兄上とエルランド兄上は知らないようだ。ユリウス義兄上は秋桜の花束を花瓶に活けている。
「庭師の姿がずっと変わらないのは気になっていました。魔族だったのですね」
花瓶に活けた秋桜の花束をテーブルの上に飾ってユリウス義兄上が呟いている。
「僕と同じ魔族で、母上の過去を知っている庭師さん……庭師さんとも話してみたいです。父上、庭師さんは母上の愛した庭を守り続けてくれています。秋桜も立派に咲かせました。功績を讃える方法がないのでしょうか」
僕が言えば父上は考え込んでいる。
「庭師にとって何が嬉しいのだろう」
「父上から直々にお声掛けして、お礼を言うのはどうでしょう?」
「庭師は給金のためにやっているのではないと思うのです」
悩む父上に、エリアス兄上とエルランド兄上が提案する。
母上が亡くなってからも祖国に戻ることなく、王城の庭を守り続けた庭師さんは、確かに給金を求めているのではない気がする。
「父上が声をかけて、母上の話をしたらいいのではないでしょうか?」
「そうだな。庭を散歩したときに声をかけてみよう」
父上は母上という伴侶を失った。
庭師さんは母上という雇い主を失った。
庭師さんは父上や母上が好きな花を把握していた。それだけ父上や母上に思い入れがあるのだろう。
大事な方を失ったもの同士で話ができたらいいのではないか。
父上も自分の知らない母上の話を聞くことができるかもしれない。
王城での話を終えて、ミエト家に帰るとロヴィーサ嬢は秋桜の花束を花瓶に活けて居間のテーブルの上に飾った。
色とりどりの秋桜が咲き乱れている。
「ロヴィーサ嬢のおかげで秋桜を見ることができました」
「わたくしは提案しただけです。決定したのは先帝陛下や国王陛下ですし、育てたのは庭師さんです」
「あの庭師さんは魔法の力があるのではないでしょうか」
僕が呟けば、お茶の準備をしてくれていた爺やが答える。
「あの庭師には、エドヴァルド殿下と同じ、『緑の指』の能力があります」
「植物を育てる魔法の力だよね」
「そうです。それを認められて、エドヴァルド殿下のお母上がこの国に嫁いできたときに一緒に連れてこられました」
「緑の指」という植物を育てるのに特化した魔法の力がある庭師さんを連れてくるくらい、母上は庭の草花を愛していた。その話が聞けて、僕はますます庭師さんに興味を持っていた。
「あの庭師さんの身分はどれくらいなの?」
「男爵家の三男だった気がします。家を継ぐわけにもいかず、分ける領地もなくて、エドヴァルド殿下のお母上について行く決意をしていた記憶があります」
あの庭師さんは貴族だった。
王城の庭を預けるのだから、素性のしっかりしているものでないといけないことは分かっていたが、貴族とは思わなかった。
「家族はいるのかな?」
「この国に来て結婚して子どももいると聞いていますよ」
「爺や、仲がいいの?」
「それなりに」
爺やは庭師さんとも仲がよかった。
母上が嫁いできたときに一緒に来た仲間として、ずっと交流があったのだろう。
「あんなところに母上を知っているひとがいただなんて考えもしなかった」
「エド殿下のお母上のお話がたくさん聞けそうですね」
「そうだと嬉しいです」
母上が亡くなってからもう十六年以上経つ。
母上のことを知っているひとは貴重な人材だ。
亡き母上のことを僕は知りたかった。
月に二回王城に行っている僕は、その日に合わせてロヴィーサ嬢を庭の散歩に誘った。
白いワンピースにつば広の白い帽子を被ったロヴィーサ嬢が眩しい。まだ日差しはあるので、僕も麦わらのボーター帽子を被ってスーツを着ていた。
僕が手を差し出すとロヴィーサ嬢が僕の手に手を重ねる。
華奢な指が僕の手に触れて、僕は胸がドキドキした。
色んなことを知って行くにつれて、ロヴィーサ嬢に触れることで意識してしまう面もある。それも含めてロヴィーサ嬢は僕という未熟な男性を受け入れてくれている。
春にチューリップを植えていた場所には、秋桜が群生していた。チューリップは植えたとおりに並んでいるのに、秋桜は絡み合うようにして背が高く伸びていることに驚く。
「背が高いのですね」
「わたくしの背丈くらいありますね」
「色も様々です」
白、ピンク、濃いピンク、紫がかったピンクなど、様々な色がある秋桜は、僕の背丈まではないが、ロヴィーサ嬢の背丈くらいまでは伸びていた。
圧巻の姿に見惚れていると、庭師さんが近付いてくる。
「もしかして、切ってくれるのかな?」
「王子殿下がお望みでしたら、お好きな色をお切りします」
白薔薇のときもだが、庭師さんは僕の気持ちをよく分かっていた。僕が秋桜をここで見るだけでなく持ち帰りたいと思っているのを察してくれたのだ。
「どうしますか、ロヴィーサ嬢」
「せっかくですから、色んな色が混じっている方がいいですね」
「それでは、全種類の色を混ぜて、花束を作ってくれるか?」
「畏まりました」
庭師さんが手際よく秋桜の花を切っていく。白にピンクに濃いピンク、紫がかったピンクなど、色んな色を揃えて整えて花束にしてくれる。
花束は一つだけではなかった。
僕とロヴィーサ嬢の分と、父上とエリアス兄上とユリウス義兄上とエルランド兄上の分の、二つあった。
「先帝殿下のお妃様がお好きだった花と記憶しております。大事に育てて参りました。どうか届けてくださいませ」
「ありがとう。父上も兄上たちも喜ぶと思うよ」
二つの花束を受け取って、僕は庭師さんにお礼を言った。
王城の庭はいつも剪定されて整っているし、庭師さんはこの広い庭をしっかりと管理している。
庭師さんの功績も讃えねばならないと僕は考えていた。
「あの庭師は、エドヴァルド殿下のお母上がこの国に嫁いできたときに、一緒にやって来た魔族なのですよ」
庭の散歩は危険も少ないので少し離れていた爺やが、近寄ってきて僕の耳に囁く。初耳で僕は驚いてしまった。
「あの庭師さんも魔族なのか?」
「そうです。エドヴァルド殿下のお母上が亡くなってからも、この王城に仕えております」
母上は大好きな庭を管理するものまで連れて嫁いできていた。それだけ母上には庭に思い入れがあったのだろう。
「エドヴァルド殿下のお母上は気軽に出かけられる身分ではありませんでした。その分だけ、庭にはよく出て、草花を愛でていたのです」
僕の知らない母上の姿がまた爺やから語られる。それは決して寂しいことではなく、僕にとっては知らない母上を知ることができる嬉しいことだった。
王城の王家のものだけが使える私室に行けば、父上がそわそわした様子で僕に近寄って来た。
「この前伝えた件だが……」
「全てを完全に理解できたわけではありませんが、何となく分かっています」
「そうか……。ロヴィーサ嬢、私の説明が足りていないかもしれない。そのときには、どうかエドを頼む」
「わたくしの方がエド殿下よりも年上です。きっと何とかなると思っております」
父上と二人きりで話した男女の話。
それを僕は完全に理解できているわけではないが、それでもロヴィーサ嬢と一緒ならば大丈夫なのではないかと思える。
「父上とエドは内緒話ですか?」
「この前、二人で話した件ですか?」
エリアス兄上とエルランド兄上は興味津々だが、僕は恥ずかしくて父上とどんなことを話したのか打ち明ける気にはなれなかった。
「とても大事なことを話したのです。父上と僕だけの秘密です」
「エドが私たちに秘密を持つなんて珍しい」
「エドも大人になったんだね」
エリアス兄上とエルランド兄上にしみじみされてしまったが、僕はそういうものではないと思っていた。完全に性的な知識がなかった僕が無知だったのであり、父上はそれを説明させられた被害者なのだ。
もうちょっと幼い頃からマイルドに少しずつ知識を与えて欲しかった。
そう思っても、僕の幼い頃はベッドの中の記憶しかない。ベッドから出られても、すぐに熱を出して倒れていた。
「大人に、なりたいのです」
エルランド兄上は僕が秘密を持ったことで大人になったと言ったが、僕は全然大人ではない。もっと大人になりたいと常に思っていた。
「父上、エリアス兄上、ユリウス義兄上、エルランド兄上、秋桜の花を庭師さんが切ってくれました。爺やに聞いたのですが、あの庭師さんは母上が魔族の国から連れて来ていたのですね」
「そうだったな。長く仕えてくれているから忘れそうになっていた」
「そうなのですか、父上?」
「私も知りませんでした」
庭師さんの素性について父上は知っていたが、エリアス兄上とエルランド兄上は知らないようだ。ユリウス義兄上は秋桜の花束を花瓶に活けている。
「庭師の姿がずっと変わらないのは気になっていました。魔族だったのですね」
花瓶に活けた秋桜の花束をテーブルの上に飾ってユリウス義兄上が呟いている。
「僕と同じ魔族で、母上の過去を知っている庭師さん……庭師さんとも話してみたいです。父上、庭師さんは母上の愛した庭を守り続けてくれています。秋桜も立派に咲かせました。功績を讃える方法がないのでしょうか」
僕が言えば父上は考え込んでいる。
「庭師にとって何が嬉しいのだろう」
「父上から直々にお声掛けして、お礼を言うのはどうでしょう?」
「庭師は給金のためにやっているのではないと思うのです」
悩む父上に、エリアス兄上とエルランド兄上が提案する。
母上が亡くなってからも祖国に戻ることなく、王城の庭を守り続けた庭師さんは、確かに給金を求めているのではない気がする。
「父上が声をかけて、母上の話をしたらいいのではないでしょうか?」
「そうだな。庭を散歩したときに声をかけてみよう」
父上は母上という伴侶を失った。
庭師さんは母上という雇い主を失った。
庭師さんは父上や母上が好きな花を把握していた。それだけ父上や母上に思い入れがあるのだろう。
大事な方を失ったもの同士で話ができたらいいのではないか。
父上も自分の知らない母上の話を聞くことができるかもしれない。
王城での話を終えて、ミエト家に帰るとロヴィーサ嬢は秋桜の花束を花瓶に活けて居間のテーブルの上に飾った。
色とりどりの秋桜が咲き乱れている。
「ロヴィーサ嬢のおかげで秋桜を見ることができました」
「わたくしは提案しただけです。決定したのは先帝陛下や国王陛下ですし、育てたのは庭師さんです」
「あの庭師さんは魔法の力があるのではないでしょうか」
僕が呟けば、お茶の準備をしてくれていた爺やが答える。
「あの庭師には、エドヴァルド殿下と同じ、『緑の指』の能力があります」
「植物を育てる魔法の力だよね」
「そうです。それを認められて、エドヴァルド殿下のお母上がこの国に嫁いできたときに一緒に連れてこられました」
「緑の指」という植物を育てるのに特化した魔法の力がある庭師さんを連れてくるくらい、母上は庭の草花を愛していた。その話が聞けて、僕はますます庭師さんに興味を持っていた。
「あの庭師さんの身分はどれくらいなの?」
「男爵家の三男だった気がします。家を継ぐわけにもいかず、分ける領地もなくて、エドヴァルド殿下のお母上について行く決意をしていた記憶があります」
あの庭師さんは貴族だった。
王城の庭を預けるのだから、素性のしっかりしているものでないといけないことは分かっていたが、貴族とは思わなかった。
「家族はいるのかな?」
「この国に来て結婚して子どももいると聞いていますよ」
「爺や、仲がいいの?」
「それなりに」
爺やは庭師さんとも仲がよかった。
母上が嫁いできたときに一緒に来た仲間として、ずっと交流があったのだろう。
「あんなところに母上を知っているひとがいただなんて考えもしなかった」
「エド殿下のお母上のお話がたくさん聞けそうですね」
「そうだと嬉しいです」
母上が亡くなってからもう十六年以上経つ。
母上のことを知っているひとは貴重な人材だ。
亡き母上のことを僕は知りたかった。
1
あなたにおすすめの小説
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
[完結]7回も人生やってたら無双になるって
紅月
恋愛
「またですか」
アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。
驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。
だけど今回は違う。
強力な仲間が居る。
アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる