君は僕の運命、僕を殺す定め

秋月真鳥

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後日談 (攻め視点)

4.改めての初夜

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 三日後に届いた包みをアルトゥロはフリーダに見られないように自分の部屋に持って行った。アルトゥロの部屋はミヒャエルの部屋の隣りに用意されている。夜はミヒャエルの部屋で一緒に眠るのだが、日中はルイーゼがいて、乳母がいて、フリーダもいるために、アルトゥロは別の部屋を宛がわれていた。
 離れの屋敷で暮らせと言われないだけましなのだが、貴族の嫡子の夫の扱いとは所詮このようなものなのだ。ミヒャエルの父のゲオルグも歓迎されていたとは言えなかった。そのせいでフリーダの誘いに乗って体の関係を持って、ルイーゼに追い出されるようなことになったのだろうが、それもまたゲオルグの意志の弱さゆえなので仕方がない。
 待ち望んだ避妊具が届いたのでアルトゥロはその日はずっとそわそわと落ち着かなかった。ミヒャエルもいつ頃に避妊具が届くか分かっていただろうから、今夜はアルトゥロに身体を許してくれるだろう。
 前にミヒャエルを抱いてから一年以上、アルトゥロはようやくミヒャエルを名実ともに手に入れることができる機会が来ていた。
 バスルームでシャワーを浴びてミヒャエルの部屋に行くと、ミヒャエルもシャワーを浴び終わっていて、ベッドに腰かけて本を読んでいた。隣りに腰かけると、ミヒャエルが本に栞を挟む。

「本が好きなのか?」
「大学で僕は文学部に通っていたんだ。死ぬまでの間に文学に触れておきたいと思ってね」
「知らなかった」

 好きなもの、嫌いなもの、苦手なもの、怖いもの、アルトゥロはミヒャエルのことを何も知らない。

「ミヒャエルは何が好きなんだ、本以外で」
「魚は好きかな。最近は叔母上が僕の料理によく出してくれる」
「嫌いなものは?」
「水分の少ない料理は苦手だな。それとハーブの香りは苦手だ」

 聞いてみると知らなかったことが分かる。

「アルトゥロは?」
「俺は食べ物の好き嫌いはないよ。ドライフルーツは好んで食べないかな」
「ドライフルーツとナッツの入った焼き菓子は好きだ」
「焼き菓子なら、なんとか食べられなくもないな。まぁ、甘いものはそれほど好んで食べないけど」
「甘いものがそれほど好きじゃないのか? 僕は大好きだよ」

 話しているうちにミヒャエルのことが理解でいるようでアルトゥロは嬉しくなる。同じ敷地内に十九年も一緒に暮らしていながら、アルトゥロはミヒャエルのことを知らな過ぎた。それはミヒャエルが全てを諦めたような目で、自己主張をしてくるタイプではなかったからだろう。
 英雄譚の内容に関してだけは拘りが強かったが、それ以外でミヒャエルが強く自己主張するのをアルトゥロは見たことがない。
 ベッドサイドのテーブルにミヒャエルが本を置くのを確認してから、アルトゥロはミヒャエルの頬に手を添えた。目を閉じるミヒャエルの唇に唇を重ねる。口を開けさせて舌を絡めていると、ミヒャエルがアルトゥロの胸を押して来た。

「君、どうして僕の口の中を舐めるんだ?」
「これはキスなんだよ。ディープキス」
「え? そうなのか? すごく息苦しくてつらいんだけど」

 甘く口付けているつもりのアルトゥロに対して、ミヒャエルが考えていたのが「口の中を舐められている」で、すごく息苦しいだったなど、アルトゥロは驚いてしまう。ディープキスも知らないくらいにミヒャエルは純粋だった。

「鼻で息をするんだよ。唇が離れた隙に息をしてもいいし」
「そうなのか」

 納得したのかもう一度目を閉じたミヒャエルにアルトゥロが口付ける。舌を絡めて、ミヒャエルの舌を口腔内に招いて、柔く噛んで吸うと、ミヒャエルの体がびくびくと震える。
 今日は無理をさせないと誓っているが、艶やかに濡れた唇で息を荒くしているミヒャエルを見ると、本能のままに襲い掛かりたい気持ちになる。凶暴な気持ちを抑えて、ミヒャエルのパジャマを丁寧に脱がして裸にする。アルトゥロもパジャマを脱ぎ捨てて、下着も脱いで裸になると、ミヒャエルの視線がアルトゥロの下半身に向いている気がする。

「ミヒャエル、傷付けないようにしたいんだ。すぐには入れられない」
「すぐに入れるだって? 冗談じゃない。そもそも、そんな大きなもの、僕の体に……いや、入ったけど……」
「大丈夫だ、優しくする」

 ミヒャエルの身体をベッドに押し倒すと、ミヒャエルは抵抗しない。シーツの上に倒れたミヒャエルの脚の間に身体を入れると、ミヒャエルがベッドサイドのテーブルを指差した。

「一番上の引き出しにローションが入ってる。舐めるようなことはしないで欲しい」

 舐めて溶かして拓いていってもよかったのに、ミヒャエルはきっちりとローションを用意していた。引き出しを開けると、中に個包装のローションのパックが入っている。破って手の平にローションを垂らすと、ミヒャエルの双丘に手をかけて後孔を露わにした。
 ローションで濡れた指で周囲をマッサージするようにぐにぐにと揉んで、滑りが行き渡ったところで指を差し込むと、きゅっと狭く締め付けてくる。一度アルトゥロを受け入れた場所だが、一年も使っていないと初めてのときと同じようになってしまうのかもしれない。
 ぐちぐちと指を差し込んで解しながら開いていくと、中の一点を指先が押したときにミヒャエルの腰が跳ねた。

「ひゃっ!? そ、そこ、へんっ!」
「感じるんだな?」

 ぐりぐりとそこを責めながら指の数を増やしていくと、ミヒャエルがベッドの上で身を捩じらせる。

「そこばっかり、だめぇっ! ひぃっ!」
「ミヒャエルを気持ちよくさせたいんだ」
「やぁっ! あぁっ!」

 とくりとミヒャエルの中心から白濁が零れるのを見て、アルトゥロはミヒャエルが甘く達したことを察した。指の数を増やしていくと、ミヒャエルが泣き声になる。

「もう、むりぃ! はいらないぃ!」
「まだもう少し解さないと、ミヒャエルのここが切れてしまう」
「やぁっ! むり……あぁっ! ひぁっ!」

 とろとろと白濁を零し続けるミヒャエルは達し続けているのかもしれない。ミヒャエルの中を探る指が四本になったところで、アルトゥロは指を引き抜いた。不本意だが部屋から持ってきた避妊具のパッケージを開けて、コンドームを取り出す。ローションで滑っている手ではなかなか開けられずに苦戦して、アルトゥロは歯でコンドームの包みを食い破った。
 コンドームを装着している間も、ミヒャエルはベッドの上で脱力している。中心はもう白濁を吐き出していなかったが、達した後の余韻に浸っているのだろう。

「入れるぞ?」
「んっ……あぁっ! まだ、イったばかり……」
「俺は一度も出してないんだ。もう限界だ」

 嫌がって腰を捻るミヒャエルの細い腰をがっしりと掴んで、アルトゥロは中心を奥に宛がった。かなりきついが、切れるようなことはなく、じりじりとミヒャエルの中に入っていく。

「あっ! あぁっ! おおきいっ!? ひぁっ!?」
「ここか?」
「あぁっ!? だめぇっ!?」

 入れている途中に悦い場所を先端が掠めたようで、内壁が蠢くように収縮する。締め付けられて達しそうになったが何とか耐えて、アルトゥロはぐりぐりとミヒャエルの悦い場所を刺激する。

「だめっ! やぁっ! あぁぁっ!」

 抵抗してはいるがミヒャエルのものはまた芯を持って来て勃ち上がっている。そこを扱きながら悦い場所を突くと、短い喘ぎ声をミヒャエルが断片的に上げだす。
 浅い位置で一度達して抜いてコンドームを取り換える作業は面倒だったが、ミヒャエルが感じているのは分かったので、アルトゥロは行為を続行した。
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