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3.歩み寄れない二人
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翌日もルシアン殿下は朝食を終えると離宮から出ていった。
わたくしは後を追いかけようかと思ったけれど、王宮にはあまり詳しくはない。広い王宮で迷ってしまってはいけないし、ルシアン殿下から離宮の敷地内から出ないように言われていたので、仕方なく留守番をしていた。
午前中は本を読んで過ごし、午後は刺繍をした。
淑女の嗜みとしてわたくしは刺繍や編み物がある程度できる。ルシアン殿下のハンカチに刺繍をしながら、ルシアン殿下に初めて会ったときのことを思い出した。
噴水の水でびしょ濡れになってしまったわたくしのために、ルシアン殿下はハンカチを貸してくれた。ハンカチ程度でどうにかなる濡れ方ではなかったのだが、わたくしはありがたく借りて、それをお返しするときに自分で刺繍したハンカチも一緒にプレゼントした。
それはわたくしとルシアン殿下の婚約が決まってから初めてのお茶会の日で、ルシアン殿下は小さな体で椅子に座っていた。
「菫の花と、ルシアン殿下のお名前を刺繍させていただきました。まだ練習中なので拙いですが、受け取ってくださると嬉しいです」
「これを、ぼくに?」
「ルシアン殿下のために用意しました」
ハンカチの入っている箱を開けると、ルシアン殿下は白い頬を赤らめて喜んでいた。
そういえば、ルシアン殿下が貸してくれたハンカチには刺繍も模様も入っていなくて、真っ白だった。
「ルシアン殿下は白いハンカチの方がお好きでしたか?」
「いえ……ぼくは、誰もししゅうをしてくれるひとがいないので」
ルシアン殿下は生まれたときにお母上を亡くされている。乳母もいるのだろうが、縫物が得意でないのかもしれない。
「それでは、そちらのハンカチにも、わたくしでよければ刺繍をいたしましょうか?」
「いいのですか?」
「ルシアン殿下はどんな花がお好きですか? 花でなくてもいいです。虫や、星や、月や、太陽でもいいでしょう」
「虫……リュシアねえさまは、虫はおきらいじゃないですか?」
女性はあまり虫を好まないものが多いのは分かっている。わたくしは庭の木で木登りをするくらいおてんばだったし、虫も苦手ではなかった。
「虫も嫌いではありませんよ」
「ぼく、テントウムシがすきです」
「テントウムシ! かわいいですよね」
わたくしが話に乗れば、ルシアン殿下の表情がぱっと明るくなる。
「テントウムシをつかまえて、ゆびをのばすんです。そしたら、いちばん上までのぼってとんでいくのがかわいくて」
「わたくしもやったことがあります。庭師が、テントウムシは害虫を食べてくれる益虫だから、逃がしてあげてくださいと言ったので、手を広げたら、指先から飛んで行きました」
お返しした真っ白なハンカチには、テントウムシの刺繍をしてもう一度返したのを覚えている。
「今もルシアン殿下はテントウムシがお好きでしょうか」
「リュシア殿下?」
「わたくし、ルシアン殿下が変わってしまったと思いたくないのかもしれません」
乳母に気持ちを吐露すると、乳母はわたくしにお茶を入れてくれながら優しく言ってくれる。
「何か理由がおありなのだと思います。それに、ルシアン殿下はまだ十六歳です。女性とのことに興味がおありではないのかもしれません」
ギヨーム殿下のように女性に興味がありすぎるのも困り者だから、年相応にルシアン殿下が純情であることは考えられなくもなかった。まだルシアン殿下は十六歳なのだ。焦ることはないと自分に言い聞かせる。
「ギヨーム殿下の件で、女性と関係を持つことを嫌悪しているのかもしれませんね」
女好きで色狂いのギヨーム殿下は、昨日の夜会で若き伯爵夫人を無理やり連れ出して乱暴を働いたという噂がわたくしの耳にも入ってきていた。さすがに弟の妻で王子妃であるわたくしに手を出してくることはないとは思うのだが、昨日の夜会にはルシアン殿下の言う通り出なかった方がよかったと思っていた。
乱暴をされる伯爵夫人がどれだけ叫んで助けと求めても、誰もギヨーム殿下を止めない。ギヨーム殿下とデュラン殿下は、どちらもまだ立太子していなかったが、抜け殻となった国王陛下の代わりに国政を担っており、誰も止められない存在になってしまっているのだ。
昨日の夜会にルシアン殿下も出席したのだろうか。
ルシアン殿下は成人していないのでアルコールを飲むことはできないが、十五歳で社交界デビューはしているので夜会に出ることはできる。伯爵夫人が乱暴されているときに、ルシアン殿下が見ていて止められなかったのだったら、ルシアン殿下も深く傷付いているだろう。
ルシアン殿下はギヨーム殿下が傷付けた女性の姿を見ているルシアン殿下にとっては、わたくし相手であっても初夜は厳しいものがあったのかもしれない。
ひたすら謝り続けるルシアン殿下に、謝るよりも理由を教えてほしかったが、わたくしはまだ聞く機会を得ていなかった。
夕食の時間にルシアン殿下は戻ってきた。
少しは話ができるかと思ったのに、ルシアン殿下は黙々と夕食を食べて、食べ終わると席を立ってまた出かけようとする。
テーブルマナーは完璧なのに食べるのが早いルシアン殿下に追い付けずに、わたくしが苦戦していると、ルシアン殿下はわたくしの目を見ないで告げた。
「遅くなると思いますので、先に休んでいてください」
「ルシアン殿下!」
「リュシア姉様はゆっくりと召し上がってください」
夕食を共にできると分かっていたから、もう少し歩み寄れるのではないかと思っていた。これでは、ルシアン殿下を無理やりにこの離宮に引き戻して夕食だけ食べさせたに過ぎないではないか。
引き留めようとしてもルシアン殿下は振り返らずに食堂から出ていった。
一人残されたわたくしは、食欲もなくなって、残りの料理は食べずに下げさせた。料理に手をつけなくても使用人たちに下げ渡されるのでもったいなくはないと分かっているのだが、ルシアン殿下と食事ができると弾んでいた気持ちがしぼんでいって、わたくしは落ち込まずにはいられなかった。
「ルシアン殿下はまだ幼いのです。男の子の十六歳など、子どもです」
「そうですよね」
「ゆっくりと打ち解けていけばいいのです。焦らずに」
乳母がわたくしに言ってくれる。
それで何とか気持ちを持ち直して、わたくしはシャワーを浴びてベッドに入った。
ルシアン殿下はギヨーム殿下とデュラン殿下と血が繋がっているのかと思うくらい真面目で正義感のある方だ。わたくしとのお茶会でも、国のことについて憂いているのが分かっていた。
お茶会は基本的にわたくしとルシアン殿下の二人で行われたが、時々両親や兄が加わることもあった。ルシアン殿下は父に真剣に話をしていたことがある。
「このままではこの国は崩壊してしまいます。ぼくはこの国を建て直したいのです」
「ルシアン殿下のお気持ちは分かりますが、ルシアン殿下が成人しなければ立太子の権利は与えられない」
「ぼくが成人した暁には、ぼくを助けてはくれませんか?」
王族であり、公爵という地位で、国の貴族の中では一番の権力を持っている父は、王家にも怯むことはなかった。ルシアン殿下の婚約者だというのに、ギヨーム殿下から何度かわたくしを差し出すように言われていたようだが、それも跳ね除けている。デュラン殿下からの金の無新も跳ね除けている。
父が本気になれば、この国の国王にもなれるのではないかと言われている人物である。
その後ろ盾をルシアン殿下が得たいと思うのは当然だった。
「リュシアはルシアン殿下の婚約者です。ルシアン殿下が成人されて、リュシアと結婚した暁には、わたしはルシアン殿下につきましょう」
「それは本当に心強いです」
国内でも、ギヨーム殿下とデュラン殿下に対する不満は増していくばかりだ。残されたルシアン殿下に期待が寄せられているのも分かっている。
ルシアン殿下はこの国を変えられる。
その支えとなりたい。
わたくしはそのつもりで王子妃教育を熱心に受けていた。
特に語学や外国の歴史はよく学んだ。
いつかはルシアン殿下が国王となって、わたくしが王妃となって、ルシアン殿下を支える日が来ると思っていたのだ。
実際には、ルシアン殿下は成人しないままに結婚させられて、わたくしには謝ってばかりで理由を話してはくれず、コミュニケーションをとれる場もほとんどない。
ルシアン殿下がこの国を救おうとしているのは分かっている。
その力になりたいと思っているのに、何もできていない現状が悔しい。
わたくしは、ルシアン殿下の隣に立つのに相応しくなかったのだろうか。
ルシアン殿下の信頼を得られる関係ではなかったのだろうか。
ただただ、日々が無為に過ぎていくようで、わたくしは焦っていた。
わたくしは後を追いかけようかと思ったけれど、王宮にはあまり詳しくはない。広い王宮で迷ってしまってはいけないし、ルシアン殿下から離宮の敷地内から出ないように言われていたので、仕方なく留守番をしていた。
午前中は本を読んで過ごし、午後は刺繍をした。
淑女の嗜みとしてわたくしは刺繍や編み物がある程度できる。ルシアン殿下のハンカチに刺繍をしながら、ルシアン殿下に初めて会ったときのことを思い出した。
噴水の水でびしょ濡れになってしまったわたくしのために、ルシアン殿下はハンカチを貸してくれた。ハンカチ程度でどうにかなる濡れ方ではなかったのだが、わたくしはありがたく借りて、それをお返しするときに自分で刺繍したハンカチも一緒にプレゼントした。
それはわたくしとルシアン殿下の婚約が決まってから初めてのお茶会の日で、ルシアン殿下は小さな体で椅子に座っていた。
「菫の花と、ルシアン殿下のお名前を刺繍させていただきました。まだ練習中なので拙いですが、受け取ってくださると嬉しいです」
「これを、ぼくに?」
「ルシアン殿下のために用意しました」
ハンカチの入っている箱を開けると、ルシアン殿下は白い頬を赤らめて喜んでいた。
そういえば、ルシアン殿下が貸してくれたハンカチには刺繍も模様も入っていなくて、真っ白だった。
「ルシアン殿下は白いハンカチの方がお好きでしたか?」
「いえ……ぼくは、誰もししゅうをしてくれるひとがいないので」
ルシアン殿下は生まれたときにお母上を亡くされている。乳母もいるのだろうが、縫物が得意でないのかもしれない。
「それでは、そちらのハンカチにも、わたくしでよければ刺繍をいたしましょうか?」
「いいのですか?」
「ルシアン殿下はどんな花がお好きですか? 花でなくてもいいです。虫や、星や、月や、太陽でもいいでしょう」
「虫……リュシアねえさまは、虫はおきらいじゃないですか?」
女性はあまり虫を好まないものが多いのは分かっている。わたくしは庭の木で木登りをするくらいおてんばだったし、虫も苦手ではなかった。
「虫も嫌いではありませんよ」
「ぼく、テントウムシがすきです」
「テントウムシ! かわいいですよね」
わたくしが話に乗れば、ルシアン殿下の表情がぱっと明るくなる。
「テントウムシをつかまえて、ゆびをのばすんです。そしたら、いちばん上までのぼってとんでいくのがかわいくて」
「わたくしもやったことがあります。庭師が、テントウムシは害虫を食べてくれる益虫だから、逃がしてあげてくださいと言ったので、手を広げたら、指先から飛んで行きました」
お返しした真っ白なハンカチには、テントウムシの刺繍をしてもう一度返したのを覚えている。
「今もルシアン殿下はテントウムシがお好きでしょうか」
「リュシア殿下?」
「わたくし、ルシアン殿下が変わってしまったと思いたくないのかもしれません」
乳母に気持ちを吐露すると、乳母はわたくしにお茶を入れてくれながら優しく言ってくれる。
「何か理由がおありなのだと思います。それに、ルシアン殿下はまだ十六歳です。女性とのことに興味がおありではないのかもしれません」
ギヨーム殿下のように女性に興味がありすぎるのも困り者だから、年相応にルシアン殿下が純情であることは考えられなくもなかった。まだルシアン殿下は十六歳なのだ。焦ることはないと自分に言い聞かせる。
「ギヨーム殿下の件で、女性と関係を持つことを嫌悪しているのかもしれませんね」
女好きで色狂いのギヨーム殿下は、昨日の夜会で若き伯爵夫人を無理やり連れ出して乱暴を働いたという噂がわたくしの耳にも入ってきていた。さすがに弟の妻で王子妃であるわたくしに手を出してくることはないとは思うのだが、昨日の夜会にはルシアン殿下の言う通り出なかった方がよかったと思っていた。
乱暴をされる伯爵夫人がどれだけ叫んで助けと求めても、誰もギヨーム殿下を止めない。ギヨーム殿下とデュラン殿下は、どちらもまだ立太子していなかったが、抜け殻となった国王陛下の代わりに国政を担っており、誰も止められない存在になってしまっているのだ。
昨日の夜会にルシアン殿下も出席したのだろうか。
ルシアン殿下は成人していないのでアルコールを飲むことはできないが、十五歳で社交界デビューはしているので夜会に出ることはできる。伯爵夫人が乱暴されているときに、ルシアン殿下が見ていて止められなかったのだったら、ルシアン殿下も深く傷付いているだろう。
ルシアン殿下はギヨーム殿下が傷付けた女性の姿を見ているルシアン殿下にとっては、わたくし相手であっても初夜は厳しいものがあったのかもしれない。
ひたすら謝り続けるルシアン殿下に、謝るよりも理由を教えてほしかったが、わたくしはまだ聞く機会を得ていなかった。
夕食の時間にルシアン殿下は戻ってきた。
少しは話ができるかと思ったのに、ルシアン殿下は黙々と夕食を食べて、食べ終わると席を立ってまた出かけようとする。
テーブルマナーは完璧なのに食べるのが早いルシアン殿下に追い付けずに、わたくしが苦戦していると、ルシアン殿下はわたくしの目を見ないで告げた。
「遅くなると思いますので、先に休んでいてください」
「ルシアン殿下!」
「リュシア姉様はゆっくりと召し上がってください」
夕食を共にできると分かっていたから、もう少し歩み寄れるのではないかと思っていた。これでは、ルシアン殿下を無理やりにこの離宮に引き戻して夕食だけ食べさせたに過ぎないではないか。
引き留めようとしてもルシアン殿下は振り返らずに食堂から出ていった。
一人残されたわたくしは、食欲もなくなって、残りの料理は食べずに下げさせた。料理に手をつけなくても使用人たちに下げ渡されるのでもったいなくはないと分かっているのだが、ルシアン殿下と食事ができると弾んでいた気持ちがしぼんでいって、わたくしは落ち込まずにはいられなかった。
「ルシアン殿下はまだ幼いのです。男の子の十六歳など、子どもです」
「そうですよね」
「ゆっくりと打ち解けていけばいいのです。焦らずに」
乳母がわたくしに言ってくれる。
それで何とか気持ちを持ち直して、わたくしはシャワーを浴びてベッドに入った。
ルシアン殿下はギヨーム殿下とデュラン殿下と血が繋がっているのかと思うくらい真面目で正義感のある方だ。わたくしとのお茶会でも、国のことについて憂いているのが分かっていた。
お茶会は基本的にわたくしとルシアン殿下の二人で行われたが、時々両親や兄が加わることもあった。ルシアン殿下は父に真剣に話をしていたことがある。
「このままではこの国は崩壊してしまいます。ぼくはこの国を建て直したいのです」
「ルシアン殿下のお気持ちは分かりますが、ルシアン殿下が成人しなければ立太子の権利は与えられない」
「ぼくが成人した暁には、ぼくを助けてはくれませんか?」
王族であり、公爵という地位で、国の貴族の中では一番の権力を持っている父は、王家にも怯むことはなかった。ルシアン殿下の婚約者だというのに、ギヨーム殿下から何度かわたくしを差し出すように言われていたようだが、それも跳ね除けている。デュラン殿下からの金の無新も跳ね除けている。
父が本気になれば、この国の国王にもなれるのではないかと言われている人物である。
その後ろ盾をルシアン殿下が得たいと思うのは当然だった。
「リュシアはルシアン殿下の婚約者です。ルシアン殿下が成人されて、リュシアと結婚した暁には、わたしはルシアン殿下につきましょう」
「それは本当に心強いです」
国内でも、ギヨーム殿下とデュラン殿下に対する不満は増していくばかりだ。残されたルシアン殿下に期待が寄せられているのも分かっている。
ルシアン殿下はこの国を変えられる。
その支えとなりたい。
わたくしはそのつもりで王子妃教育を熱心に受けていた。
特に語学や外国の歴史はよく学んだ。
いつかはルシアン殿下が国王となって、わたくしが王妃となって、ルシアン殿下を支える日が来ると思っていたのだ。
実際には、ルシアン殿下は成人しないままに結婚させられて、わたくしには謝ってばかりで理由を話してはくれず、コミュニケーションをとれる場もほとんどない。
ルシアン殿下がこの国を救おうとしているのは分かっている。
その力になりたいと思っているのに、何もできていない現状が悔しい。
わたくしは、ルシアン殿下の隣に立つのに相応しくなかったのだろうか。
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