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29.やり直しの初夜
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王宮には国王陛下と王妃の夫婦の寝室があるのだが、わたくしとルシアン様はまだそこを使ったことがなかった。
国王陛下の部屋にも王妃の部屋にも、それぞれ寝室があるのだ。
結婚式が終わってから、着替えて夕食を食べて、わたくしはシャワーを浴びて丁寧に体を清めた。離宮からついてきてくれていた乳母がわたくしの髪と体に香油を塗り込んでくれた。
「リュシア殿下、本当にお美しい」
「ルシアン様はわたくしにそう思ってくれるでしょうか?」
「はい。間違いなくそう思ってくださるでしょう」
乳母と話しながらパジャマに着替える。白い清楚なパジャマは手触りのよい生地で作られていて、着るとわたくしの体の線を隠してくれる。
乳母に見送られ、夫婦の寝室に向かうとき、わたくしの胸は高鳴っていた。
初めての結婚式のときには、夫婦の寝室にも入ることはなかった。離宮にも夫婦の寝室があったが、そこが使われたことは一度もない。
今日が初めてルシアン様と夜を共にする日なのである。
寝室に入ってすぐに気付いたのは、花瓶に白薔薇が飾られていることだった。
ルシアン様は幼いころから、わたくしとの公爵家での月一回のお茶会のときには、花を自ら切って持ってきてくれていた。
先に寝室に来ていて、ソファに座っているルシアン様の隣にわたくしも腰かける。
「ルシアン様、あの花は、もしかして……」
「今朝、リュシアのために庭で切ってきました。国王になってぼくにできることはたくさんになったけれど、王子時代にぼくにできたことは、庭の花を切ってリュシアに届けることくらいでした。あのころを思い出して、用意しました」
「ありがとうございます。とても嬉しいです」
花瓶に飾られた大輪の白薔薇を見つめていると、緊張していたわたくしの心が解れてくる。
わたくしはずっとルシアン様に聞きたくて聞けなかったことを口にした。
「話したくないのならば答えなくていいのですが、わたくしと出会ったときにわたくしが助けた子猫はどうなりましたか?」
猫は寿命が長いと聞くが、短いものは十年も経たずに死んでしまう。わたくしはルシアン様の子猫が悲しいことになってルシアン様が思い出したくないのではないかと思って、これまで聞けなかった。
「あの猫は、乳母が王宮を出ていくときに、連れて行きました」
「そうだったのですか」
ルシアン様の乳母も、ギヨーム殿下の手によって乱暴されて、王宮を出たと聞いている。そのときにルシアン様は乳母に猫を託したのだろうか。
「乳母が襲われた後、あの猫もぼくが飼っていたら、ギヨーム兄上やデュラン兄上の手で酷い目に遭わされるかもしれないと思ったのです。乳母が里下がりを申し出たときに、連れて行ってくれるように頼みました」
「そうだったのですね」
「本当はずっと一緒に暮らしておきたかった。でも、ぼくには猫を守るだけの力がありませんでした」
悲しそうな顔になるルシアン様に、わたくしは提案する。
「王宮で猫を飼いませんか?」
「リュシアと一緒に猫を飼うのですか?」
「はい。できればあの猫の子どもや孫だったらいいのですが」
「乳母に連絡をしてみます。あの猫の子どもや孫がいないかどうか」
乳母がいなくなって、猫まで手放さなくてはいけなくなって、ルシアン様はとても寂しかっただろう。その寂しさをこれからは埋めていくことができる。
猫も飼って、乳母にもできることならば戻ってきてもらうように手配して、ルシアン様が失った年月を埋められるようにしたい。
わたくしはそう願っていた。
会話が途切れたところで、ルシアン様がわたくしに手を差し出す。わたくしはルシアン様の大きな手に自分の小さな手を重ねた。
ルシアン様に導かれるようにベッドに行く。
ベッドに腰かけて、ルシアン様はわたくしの髪を撫でた。
デュラン殿下の前で自分で切った髪。肩を超すくらいまで伸びていたが、まだまだ切られる前の長さには到達していない。
髪を切ったことを後悔してはいないが、デュラン殿下への怒りがないわけではない。
それもルシアン殿下の大きな手で何度も労わるように髪を撫でられて、心が穏やかになってくる。
「ぼくのリュシア……ぼくのために髪を切ってしまって……」
「髪はまた伸びます」
「短い髪のリュシアも大好きです。髪を切ることを強要されても決して屈しなかったリュシアの強さを愛しく思います」
つむじに口付けられて、わたくしは目を閉じる。
ルシアン殿下の唇は髪からわたくしの額に降り、瞼を辿り、頬に触れ、わたくしの唇に到達する。髪を撫でられながら優しく口付けされて、わたくしはうっとりとルシアン様の腕に身を委ねた。
――リュシア姉様、ごめんなさい。ぼくはリュシア姉様を愛することはできません。
初めての結婚式の夜に、ルシアン様の口から発せられた言葉。
あのときはわたくしはショックを受けて、ルシアン様の愛を疑ってしまった。
けれど今なら分かる。
ルシアン様は成人するまではわたくしに触れたくないと思っていたし、兄君たちを断罪するまではわたくしが安心して王宮内で暮らすことはできないので、苦渋の決断をしてわたくしを拒んだのだ。
今のルシアン様はわたくしを求めている。
わたくしもルシアン様に求められて、幸福で、ルシアン様を受け入れたいと思っている。
「リュシア、愛しています」
「わたくしも愛しています、ルシアン様」
ルシアン様の手が、確かな熱を持ってわたくしの肌に触れた。
それをわたくしは心臓が痛くなるくらい脈打つのを感じながら受け入れた。
翌朝、目覚めたわたくしのために、ルシアン様は朝食を持って来てくれた。
ルシアン様と二人並んでベッドで食べる朝食は、少しお行儀が悪かったかもしれないけれど、胸を満たす幸福感があった。
わたくしはルシアン様に愛されて、ルシアン様はわたくしを愛してくださった。
その証が、体に残る気だるさに繋がってはいたが、それもそれほど苦ではなかった。
「リュシアは休んでいてください。ぼくはどうしても片付けなければいけない執務だけして、終わったら戻ってきます」
「わたくし、平気です」
「いえ、リュシアは休んでいてください」
平気だとどれだけ主張しても、ルシアン様はわたくしがベッドから出ることを許してはくれなかった。
わたくしは朝食後ベッドで過ごしていたが、やはり疲れていたのか、少し眠ってしまった。
目を覚ますと、ベッドサイドに椅子を持ってきていたルシアン様が、本を読んでいるのが見えた。わたくしが身を起こすと、ルシアン様が本を閉じる。
「リュシア、体は平気ですか?」
「はい。もうすっかり」
「昼食は、食堂で食べられますか?」
「はい。参ります」
一度わたくしの部屋に戻って、わたくしは身支度を整えて食堂に行った。食堂でルシアン様と二人で昼食を食べると、ルシアン様がわたくしの部屋まで送ってくれたので、わたくしはルシアン様を部屋にお招きしてソファに横並びに座ってお話をすることにした。
「今朝の執務が終わってから、乳母に手紙を書きました。猫の件と、ギヨーム兄上がいなくなったのでできれば戻ってきてほしいという旨をしたためました」
「いいお返事が来るといいですね」
貴族や王族の子どもにとって乳母の存在は特別だ。
生まれてすぐにお母君を失っているルシアン殿下にとっては特にそうだろう。
わたくしも王宮に嫁いで来るときに、乳母を一緒に連れてきた。乳母はわたくしの母のような存在だった。
ルシアン殿下の乳母が戻ってきてくれるように。
わたくしは手紙の返事を期待して待っていた。
国王陛下の部屋にも王妃の部屋にも、それぞれ寝室があるのだ。
結婚式が終わってから、着替えて夕食を食べて、わたくしはシャワーを浴びて丁寧に体を清めた。離宮からついてきてくれていた乳母がわたくしの髪と体に香油を塗り込んでくれた。
「リュシア殿下、本当にお美しい」
「ルシアン様はわたくしにそう思ってくれるでしょうか?」
「はい。間違いなくそう思ってくださるでしょう」
乳母と話しながらパジャマに着替える。白い清楚なパジャマは手触りのよい生地で作られていて、着るとわたくしの体の線を隠してくれる。
乳母に見送られ、夫婦の寝室に向かうとき、わたくしの胸は高鳴っていた。
初めての結婚式のときには、夫婦の寝室にも入ることはなかった。離宮にも夫婦の寝室があったが、そこが使われたことは一度もない。
今日が初めてルシアン様と夜を共にする日なのである。
寝室に入ってすぐに気付いたのは、花瓶に白薔薇が飾られていることだった。
ルシアン様は幼いころから、わたくしとの公爵家での月一回のお茶会のときには、花を自ら切って持ってきてくれていた。
先に寝室に来ていて、ソファに座っているルシアン様の隣にわたくしも腰かける。
「ルシアン様、あの花は、もしかして……」
「今朝、リュシアのために庭で切ってきました。国王になってぼくにできることはたくさんになったけれど、王子時代にぼくにできたことは、庭の花を切ってリュシアに届けることくらいでした。あのころを思い出して、用意しました」
「ありがとうございます。とても嬉しいです」
花瓶に飾られた大輪の白薔薇を見つめていると、緊張していたわたくしの心が解れてくる。
わたくしはずっとルシアン様に聞きたくて聞けなかったことを口にした。
「話したくないのならば答えなくていいのですが、わたくしと出会ったときにわたくしが助けた子猫はどうなりましたか?」
猫は寿命が長いと聞くが、短いものは十年も経たずに死んでしまう。わたくしはルシアン様の子猫が悲しいことになってルシアン様が思い出したくないのではないかと思って、これまで聞けなかった。
「あの猫は、乳母が王宮を出ていくときに、連れて行きました」
「そうだったのですか」
ルシアン様の乳母も、ギヨーム殿下の手によって乱暴されて、王宮を出たと聞いている。そのときにルシアン様は乳母に猫を託したのだろうか。
「乳母が襲われた後、あの猫もぼくが飼っていたら、ギヨーム兄上やデュラン兄上の手で酷い目に遭わされるかもしれないと思ったのです。乳母が里下がりを申し出たときに、連れて行ってくれるように頼みました」
「そうだったのですね」
「本当はずっと一緒に暮らしておきたかった。でも、ぼくには猫を守るだけの力がありませんでした」
悲しそうな顔になるルシアン様に、わたくしは提案する。
「王宮で猫を飼いませんか?」
「リュシアと一緒に猫を飼うのですか?」
「はい。できればあの猫の子どもや孫だったらいいのですが」
「乳母に連絡をしてみます。あの猫の子どもや孫がいないかどうか」
乳母がいなくなって、猫まで手放さなくてはいけなくなって、ルシアン様はとても寂しかっただろう。その寂しさをこれからは埋めていくことができる。
猫も飼って、乳母にもできることならば戻ってきてもらうように手配して、ルシアン様が失った年月を埋められるようにしたい。
わたくしはそう願っていた。
会話が途切れたところで、ルシアン様がわたくしに手を差し出す。わたくしはルシアン様の大きな手に自分の小さな手を重ねた。
ルシアン様に導かれるようにベッドに行く。
ベッドに腰かけて、ルシアン様はわたくしの髪を撫でた。
デュラン殿下の前で自分で切った髪。肩を超すくらいまで伸びていたが、まだまだ切られる前の長さには到達していない。
髪を切ったことを後悔してはいないが、デュラン殿下への怒りがないわけではない。
それもルシアン殿下の大きな手で何度も労わるように髪を撫でられて、心が穏やかになってくる。
「ぼくのリュシア……ぼくのために髪を切ってしまって……」
「髪はまた伸びます」
「短い髪のリュシアも大好きです。髪を切ることを強要されても決して屈しなかったリュシアの強さを愛しく思います」
つむじに口付けられて、わたくしは目を閉じる。
ルシアン殿下の唇は髪からわたくしの額に降り、瞼を辿り、頬に触れ、わたくしの唇に到達する。髪を撫でられながら優しく口付けされて、わたくしはうっとりとルシアン様の腕に身を委ねた。
――リュシア姉様、ごめんなさい。ぼくはリュシア姉様を愛することはできません。
初めての結婚式の夜に、ルシアン様の口から発せられた言葉。
あのときはわたくしはショックを受けて、ルシアン様の愛を疑ってしまった。
けれど今なら分かる。
ルシアン様は成人するまではわたくしに触れたくないと思っていたし、兄君たちを断罪するまではわたくしが安心して王宮内で暮らすことはできないので、苦渋の決断をしてわたくしを拒んだのだ。
今のルシアン様はわたくしを求めている。
わたくしもルシアン様に求められて、幸福で、ルシアン様を受け入れたいと思っている。
「リュシア、愛しています」
「わたくしも愛しています、ルシアン様」
ルシアン様の手が、確かな熱を持ってわたくしの肌に触れた。
それをわたくしは心臓が痛くなるくらい脈打つのを感じながら受け入れた。
翌朝、目覚めたわたくしのために、ルシアン様は朝食を持って来てくれた。
ルシアン様と二人並んでベッドで食べる朝食は、少しお行儀が悪かったかもしれないけれど、胸を満たす幸福感があった。
わたくしはルシアン様に愛されて、ルシアン様はわたくしを愛してくださった。
その証が、体に残る気だるさに繋がってはいたが、それもそれほど苦ではなかった。
「リュシアは休んでいてください。ぼくはどうしても片付けなければいけない執務だけして、終わったら戻ってきます」
「わたくし、平気です」
「いえ、リュシアは休んでいてください」
平気だとどれだけ主張しても、ルシアン様はわたくしがベッドから出ることを許してはくれなかった。
わたくしは朝食後ベッドで過ごしていたが、やはり疲れていたのか、少し眠ってしまった。
目を覚ますと、ベッドサイドに椅子を持ってきていたルシアン様が、本を読んでいるのが見えた。わたくしが身を起こすと、ルシアン様が本を閉じる。
「リュシア、体は平気ですか?」
「はい。もうすっかり」
「昼食は、食堂で食べられますか?」
「はい。参ります」
一度わたくしの部屋に戻って、わたくしは身支度を整えて食堂に行った。食堂でルシアン様と二人で昼食を食べると、ルシアン様がわたくしの部屋まで送ってくれたので、わたくしはルシアン様を部屋にお招きしてソファに横並びに座ってお話をすることにした。
「今朝の執務が終わってから、乳母に手紙を書きました。猫の件と、ギヨーム兄上がいなくなったのでできれば戻ってきてほしいという旨をしたためました」
「いいお返事が来るといいですね」
貴族や王族の子どもにとって乳母の存在は特別だ。
生まれてすぐにお母君を失っているルシアン殿下にとっては特にそうだろう。
わたくしも王宮に嫁いで来るときに、乳母を一緒に連れてきた。乳母はわたくしの母のような存在だった。
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