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志信視点
2.時吉志信が過ちを犯した夜
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玄関で靴を脱いで丁寧に由貴が靴を揃えて上がって来る。所作の美しさに見惚れていると、ドンッと壁に押し付けられた。何をされているのか分からない志信に、由貴が背伸びをして唇を重ねて来る。
口付け。
運命の相手とのセックスはそのひと以外を求められなくなるくらいに悦いと言われているが、口付けすらこんなに甘いのかと志信は戦慄する。逃げようともがいても舌を絡められて頭の芯が痺れるような快感に、上手く動けない。
「なん、で……」
「こんなに隙だらけなんて思わなかった。可愛い」
最初から由貴はこうするつもりだったのだ。抵抗しなくてはいけない。豊かには他の相手がいるのだから。
理性としては分かっているが、志信の身体は由貴を求めていた。このひとこそが自分の運命だと告げていた。
ムスリムの父親は運命の相手は四人いると言ったらしい。由貴も志信の父親と同じように運命の相手が何人もいるタイプなのか。
たった一人のひとに愛されて、愛し返す。そんな唯一無二の関係を望んでいた。それが手に入れられないと分かっていたから、恋愛も結婚も諦めて来た。
それなのに、目の前に現れた美しい由貴に志信はいとも容易く陥落しそうになっていた。
「志信さん、僕のことずっと目で誘ってたでしょ? 僕も一目で志信さんのことが運命だって分かった」
「でも……」
「僕に抱かれたくない?」
はっきりと由貴は志信を抱くと宣言した。
今まで誘ってきた女性も男性も、志信に抱かれたい方で、志信は自分がそっちだと口に出せないままに断っていた。志信のような筋骨隆々とした長身で彫りの深い顔の褐色肌の男を抱きたいと思う男はいないのだと信じ込んでいた。
誰にも抱かれたことがなく、抱かれることを夢見て焦がれていた時期はとっくに終わって、既に枯れたと思っていたのに、由貴の囁きに身体が疼いて止められない。
彼を受け入れられるのならば、これが背徳であっても構わないなどと考えてしまう。
「だめ……です」
「僕は紳士だから、無理やりになんてしないよ。志信さんが抱かれたくないんだったら仕方がないね」
ごめんなさい。
あっさりと引き下がろうとする由貴に、誰も受け入れたことのない志信の後ろが疼いて仕方がない。
「あ……」
「車のエンジン、嘘ついてごめんなさい。帰ります」
「帰らないで」
引き留めてしまった時点で、志信は泥沼の中に足を踏み入れていた。
「抱いて、ください……」
例え一夜の夢でも、自分が運命だと思った相手に抱かれたい。恋愛がしたいとか、結婚がしたいとか高望みはしない。結婚前の自由を満喫した後で当然のように由貴は本来の相手の元に戻るのだろう。
それでも構わないから、一晩だけでも由貴のものになりたかった。
「寝室でしよう? そっちの方がきつくないでしょう」
促されるままに寝室に由貴を連れて行った後で志信は自分が避妊具もローションも持っていないことに気付く。恋愛に縁のなかった志信の寝室は綺麗に片付いているが、性的なものは一切ない。
シーツの上に押し倒されて志信はこくりと喉を鳴らした。由貴が志信に覆いかぶさりながら、スーツのネクタイに指を入れて解くのが分かる。ジャケットを脱がされて、スラックスも引き抜かれて、下着も脱がされる。体格は志信の方が良いのだから志信の協力がなければ脱がされないわけで、これは完全なる合意の上での行為だと見せつけられるような気分だった。
ゆっくりと由貴も脱いでいく。露わになる肌の白さに眼が眩む思いでいると、ボタンだけ外されたシャツの隙間に由貴が手を差し入れて来た。胸を揉まれて、乳首を摘ままれると、びりびりと電撃が走るように快感が生まれる。
「ひっ! あぁっ!」
「さらさらの手触りの良い肌。ものすごく綺麗だ」
「きれい……? うぁっ!?」
首筋に噛み付かれて高い声が出てしまう。念入りに吸い上げる、首筋、鎖骨、胸元に鬱血の痕が残っても肌の色が濃いので目立たないのが幸いだった。じわじわと由貴の唇が下がっていく。勃ち上がって雫を零している中心にキスをされると、志信は腰を跳ね上げてしまった。
「ひんっ!?」
「もしかして、志信さん、初めて?」
「……ごめん」
慣れていないことに気付かれてしまった。
この状態ならばまだ歯止めが利く。勃ち上がった中心も自分で処理すればいい。遊びの相手として由貴が志信を不合格と判断したならそれに従おうと身を固くした志信の後孔に由貴の形のいい綺麗な指が触れた。
「初めてだったら濡れないか……何も持ってないんだよね」
「へいき、だから……」
「痛い思いさせたいわけじゃないから。大丈夫、全部僕のでしてあげる」
何を言われているのか分からないままで志信は由貴に脚を抱えられていた。受け入れるような体勢で後孔が露わになっているのが恥ずかしい。必死に両腕で顔を隠す志信に構わずに由貴は志信の双丘の狭間に自分の中心を挟んだ。
「あっ!? ひぁっ!?」
「んっ……一度、出すから、待って」
「あぁっ!?」
先走りで滑る中心で双丘の間を擦られるのは、切っ先が時折後孔を掠めてじれったくて堪らない。しばらく腰を動かしていた由貴の中心から白濁が迸って、志信の双丘を濡らした。
息を整えながら由貴が白濁を指で掬って志信の後孔に指を挿し入れる。白濁をローション代わりにするつもりだろうが、その時点で由貴の精を塗り込められているという事実にぞくぞくと胎が期待して疼く。
初めてなのに快感しかなくて、丁寧に解されている間も志信は焦らされているようで涙が止まらなかった。
「もうっ、きてぇ!」
「まだ、これだけじゃ僕のは入らない。痛い思いさせたくないんだ」
「あぁっ! もうっ!」
奥に与えられる刺激に張り詰めた中心からとろとろと白濁が零れる。散々に焦らされた後で由貴が入って来たときには、志信はもう完全に乱れていた。
「後ろからの方が最初は楽だから、いい子でお尻を上げてね」
「んぅっ! もう、おねがい……」
「おねだりして、可愛いんだから」
好きだよ。
甘い囁きが偽りのものであっても、志信はもうどうでも良かった。自分を置いて祖国に帰った母親の面影を追いかけて来た日本で、憧れていた運命の相手に抱かれている。
それが偽りの運命であったとしても、この一夜を一生の思い出にして生きて行けばいい。
「あぁぁ!」
「くっ……きつい……」
「ひっ、ひぁっ……ユキさん……」
「志信さんの中、きつくて気持ちいいよ?」
優しく抱いてくれる由貴に志信はただ溺れた。
後ろから責めて来る由貴に、志信は上半身を保つこともできずに尻だけを高く上げてひたすら啼かされた。何度も中で吐き出される白濁に、避妊が頭を過ったのは最初だけだった。後はもう全て快楽に流された。
逆流して泡立つほど中に注がれて、引き抜かれたときには志信は一抹の寂しさを感じた。これで二人の関係は終わったと感じた。
「シャワー、浴びるでしょう?」
「あ、ごじゆうに、どうぞ」
「そうじゃなくて、志信さんが一人で浴びられる?」
「え?」
勝手にシャワーを浴びて由貴は帰って行くのだとばかり思っていたから、型を貸してもらってシャワーを浴びるのを手伝ってもらったときには、恋人のようだと胸がときめいた。ときめいた分だけ、身体の奥が冷えて行くような感覚が同時にあったのだが。
後孔に放った白濁を念入りに掻き出してシャワーで流すのも、結婚するのに志信が妊娠して何か言って来れば面倒なことになるからだろうと思いつつも、由貴の優しさに何度「行かないで」という言葉が喉をついて出そうになったことか。
シーツを取り換えたベッドに倒れ込んで志信は目を閉じると、もう体力的に限界だった。目を開けたときには由貴はいない。
分かっていても名残を惜しむだけの気力は志信にはなかった。
口付け。
運命の相手とのセックスはそのひと以外を求められなくなるくらいに悦いと言われているが、口付けすらこんなに甘いのかと志信は戦慄する。逃げようともがいても舌を絡められて頭の芯が痺れるような快感に、上手く動けない。
「なん、で……」
「こんなに隙だらけなんて思わなかった。可愛い」
最初から由貴はこうするつもりだったのだ。抵抗しなくてはいけない。豊かには他の相手がいるのだから。
理性としては分かっているが、志信の身体は由貴を求めていた。このひとこそが自分の運命だと告げていた。
ムスリムの父親は運命の相手は四人いると言ったらしい。由貴も志信の父親と同じように運命の相手が何人もいるタイプなのか。
たった一人のひとに愛されて、愛し返す。そんな唯一無二の関係を望んでいた。それが手に入れられないと分かっていたから、恋愛も結婚も諦めて来た。
それなのに、目の前に現れた美しい由貴に志信はいとも容易く陥落しそうになっていた。
「志信さん、僕のことずっと目で誘ってたでしょ? 僕も一目で志信さんのことが運命だって分かった」
「でも……」
「僕に抱かれたくない?」
はっきりと由貴は志信を抱くと宣言した。
今まで誘ってきた女性も男性も、志信に抱かれたい方で、志信は自分がそっちだと口に出せないままに断っていた。志信のような筋骨隆々とした長身で彫りの深い顔の褐色肌の男を抱きたいと思う男はいないのだと信じ込んでいた。
誰にも抱かれたことがなく、抱かれることを夢見て焦がれていた時期はとっくに終わって、既に枯れたと思っていたのに、由貴の囁きに身体が疼いて止められない。
彼を受け入れられるのならば、これが背徳であっても構わないなどと考えてしまう。
「だめ……です」
「僕は紳士だから、無理やりになんてしないよ。志信さんが抱かれたくないんだったら仕方がないね」
ごめんなさい。
あっさりと引き下がろうとする由貴に、誰も受け入れたことのない志信の後ろが疼いて仕方がない。
「あ……」
「車のエンジン、嘘ついてごめんなさい。帰ります」
「帰らないで」
引き留めてしまった時点で、志信は泥沼の中に足を踏み入れていた。
「抱いて、ください……」
例え一夜の夢でも、自分が運命だと思った相手に抱かれたい。恋愛がしたいとか、結婚がしたいとか高望みはしない。結婚前の自由を満喫した後で当然のように由貴は本来の相手の元に戻るのだろう。
それでも構わないから、一晩だけでも由貴のものになりたかった。
「寝室でしよう? そっちの方がきつくないでしょう」
促されるままに寝室に由貴を連れて行った後で志信は自分が避妊具もローションも持っていないことに気付く。恋愛に縁のなかった志信の寝室は綺麗に片付いているが、性的なものは一切ない。
シーツの上に押し倒されて志信はこくりと喉を鳴らした。由貴が志信に覆いかぶさりながら、スーツのネクタイに指を入れて解くのが分かる。ジャケットを脱がされて、スラックスも引き抜かれて、下着も脱がされる。体格は志信の方が良いのだから志信の協力がなければ脱がされないわけで、これは完全なる合意の上での行為だと見せつけられるような気分だった。
ゆっくりと由貴も脱いでいく。露わになる肌の白さに眼が眩む思いでいると、ボタンだけ外されたシャツの隙間に由貴が手を差し入れて来た。胸を揉まれて、乳首を摘ままれると、びりびりと電撃が走るように快感が生まれる。
「ひっ! あぁっ!」
「さらさらの手触りの良い肌。ものすごく綺麗だ」
「きれい……? うぁっ!?」
首筋に噛み付かれて高い声が出てしまう。念入りに吸い上げる、首筋、鎖骨、胸元に鬱血の痕が残っても肌の色が濃いので目立たないのが幸いだった。じわじわと由貴の唇が下がっていく。勃ち上がって雫を零している中心にキスをされると、志信は腰を跳ね上げてしまった。
「ひんっ!?」
「もしかして、志信さん、初めて?」
「……ごめん」
慣れていないことに気付かれてしまった。
この状態ならばまだ歯止めが利く。勃ち上がった中心も自分で処理すればいい。遊びの相手として由貴が志信を不合格と判断したならそれに従おうと身を固くした志信の後孔に由貴の形のいい綺麗な指が触れた。
「初めてだったら濡れないか……何も持ってないんだよね」
「へいき、だから……」
「痛い思いさせたいわけじゃないから。大丈夫、全部僕のでしてあげる」
何を言われているのか分からないままで志信は由貴に脚を抱えられていた。受け入れるような体勢で後孔が露わになっているのが恥ずかしい。必死に両腕で顔を隠す志信に構わずに由貴は志信の双丘の狭間に自分の中心を挟んだ。
「あっ!? ひぁっ!?」
「んっ……一度、出すから、待って」
「あぁっ!?」
先走りで滑る中心で双丘の間を擦られるのは、切っ先が時折後孔を掠めてじれったくて堪らない。しばらく腰を動かしていた由貴の中心から白濁が迸って、志信の双丘を濡らした。
息を整えながら由貴が白濁を指で掬って志信の後孔に指を挿し入れる。白濁をローション代わりにするつもりだろうが、その時点で由貴の精を塗り込められているという事実にぞくぞくと胎が期待して疼く。
初めてなのに快感しかなくて、丁寧に解されている間も志信は焦らされているようで涙が止まらなかった。
「もうっ、きてぇ!」
「まだ、これだけじゃ僕のは入らない。痛い思いさせたくないんだ」
「あぁっ! もうっ!」
奥に与えられる刺激に張り詰めた中心からとろとろと白濁が零れる。散々に焦らされた後で由貴が入って来たときには、志信はもう完全に乱れていた。
「後ろからの方が最初は楽だから、いい子でお尻を上げてね」
「んぅっ! もう、おねがい……」
「おねだりして、可愛いんだから」
好きだよ。
甘い囁きが偽りのものであっても、志信はもうどうでも良かった。自分を置いて祖国に帰った母親の面影を追いかけて来た日本で、憧れていた運命の相手に抱かれている。
それが偽りの運命であったとしても、この一夜を一生の思い出にして生きて行けばいい。
「あぁぁ!」
「くっ……きつい……」
「ひっ、ひぁっ……ユキさん……」
「志信さんの中、きつくて気持ちいいよ?」
優しく抱いてくれる由貴に志信はただ溺れた。
後ろから責めて来る由貴に、志信は上半身を保つこともできずに尻だけを高く上げてひたすら啼かされた。何度も中で吐き出される白濁に、避妊が頭を過ったのは最初だけだった。後はもう全て快楽に流された。
逆流して泡立つほど中に注がれて、引き抜かれたときには志信は一抹の寂しさを感じた。これで二人の関係は終わったと感じた。
「シャワー、浴びるでしょう?」
「あ、ごじゆうに、どうぞ」
「そうじゃなくて、志信さんが一人で浴びられる?」
「え?」
勝手にシャワーを浴びて由貴は帰って行くのだとばかり思っていたから、型を貸してもらってシャワーを浴びるのを手伝ってもらったときには、恋人のようだと胸がときめいた。ときめいた分だけ、身体の奥が冷えて行くような感覚が同時にあったのだが。
後孔に放った白濁を念入りに掻き出してシャワーで流すのも、結婚するのに志信が妊娠して何か言って来れば面倒なことになるからだろうと思いつつも、由貴の優しさに何度「行かないで」という言葉が喉をついて出そうになったことか。
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