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十一章 ネイルアートとフィンガーブレスレット
32.運動会の参加競技
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朝食を終えるとエクムント様は辺境伯領に帰り、わたくしとクリスタちゃんは王都の学園の寮に戻った。
王都の学園の寮には、レーニちゃんも同じころに戻ってきていて、寮の前に停まった馬車がリリエンタール家のものだったので、わたくしとクリスタちゃんはレーニちゃんが降りてくるのを待っていた。
荷物を持って馬車から降りてきて、寮の門を潜ったレーニちゃんはすぐにわたくしとクリスタちゃんに気付いた。
「エリザベート嬢とクリスタ嬢も今寮に着いたのですね」
「そうなのです。昼食はご一緒しませんか? クリスタもいいですよね」
「もちろんです。ご一緒したいです」
「嬉しいですわ。わたくし、荷物を置いたら食堂に参ります」
門の前で約束をしてわたくしとクリスタちゃんは同じ部屋に、レーニちゃんはレーニちゃんの部屋に一度向かった。
荷物を置いて、上着も脱いでクローゼットにかけると、クリスタちゃんは髪の毛を編み直していた。移動中に乱れたところを美しくしておきたかったのだろう。わたくしもハーフアップにしている長い黒髪をブラシで梳いて整えた。
食堂に行くとちょうど昼食時だったので、ミリヤムちゃんもオリヴァー殿も食堂に来ていた。
ペオーニエ寮のテーブルに招くと、一緒に昼食を取ってくれる。
「長い夏休みでしたね」
「夏休みの後、エクムント様のお誕生日、ユリアーナ殿下のお誕生日、わたくしのお誕生日があるので、どうしても学園に戻るのが遅くなってしまいますわ」
「わたくしは、先に授業を受けておりました」
「ミリヤム嬢、いなかった間のノートを見せてください」
「はい。オリヴァー様もおられなかったので、お二人で使ってください」
お願いするわたくしに、ミリヤムちゃんは快く返事をしてくれた。
クリスタちゃんとレーニちゃんはノートを借りる相手を考えているようだった。
昼食が終わるとそのまま食堂でミリヤムちゃんのノートを見せてもらって、わたくしとオリヴァー殿は授業の準備をしておいた。
お茶会や昼食会や晩餐会に出るのも貴族として大事な嗜みなので、学園ではその期間は休んでいいことになっている。今日までは特別に休みになっているので、わたくしとオリヴァー殿はミリヤムちゃんのノートを写して、クリスタちゃんとレーニちゃんは同級生からノートを借りて写して午後を過ごした。
夏休みが終わると、学園は運動会に向けて取り組みが始まる。
それぞれ競技を選んで参加するのだ。
お茶会の時間になって、サンルームに集まっての話題はそのことだった。
ハインリヒ殿下とノルベルト殿下もお茶会には参加している。今日まで休みのはずだが、明日からの授業のためにノートを写しに学園に来ていたのだろう。
「今年もお姉様は乗馬で参加されますか?」
「わたくしは乗馬で参加するつもりです」
「わたくしは、大縄跳びで参加しますわ。レーニ嬢も一緒です」
「わたくしもクリスタ嬢と大縄跳びで参加します」
去年と同じく、わたくしは乗馬で参加するつもりだったし、クリスタちゃんとレーニちゃんは大縄跳びで参加するようだった。
「今年はリレーに挑戦してみたいと思います」
「オリヴァー殿、私と競争ですね」
「ハインリヒ殿下、お互いに力を尽くしましょう」
去年は大縄跳びだったオリヴァー殿は今年はリレーで参加するようだ。ハインリヒ殿下は毎年リレーで参加しているので、オリヴァー殿と競うことになる。どちらが勝つのか、わたくしは楽しみでしかない。
「わたくしは今年も大縄跳びにしようかと思っています」
「ミリヤム嬢、それでは、違う寮同士ですがお互いに頑張りましょうね」
「はい!」
ミリヤムちゃんは今年も大縄跳びで参加するようだ。クリスタちゃんとレーニちゃんと競う形になるけれど、それはそれとしてどちらともを応援したいわたくしだった。
「わたくしは、走り幅跳びで参加したいと思います」
リーゼロッテ嬢は走り幅跳びで参加する予定のようだ。
これでほとんどのお茶会参加者の参加競技が決まった。
問題はノルベルト殿下である。
ノルベルト殿下は一年生のときからノエル殿下とダンスで参加していた。
ノルベルト殿下が一年生のにはノエル殿下は三年生だった。
ダンスというのは相手がいなければ成立しない競技なのだ。ダンスの中には一人で踊るものもあるのだが、学園で習うダンスというのはいわゆる社交ダンスで、男性と女性のペアで踊ることを前提としている。
ノルベルト殿下は今年はノエル殿下が卒業してしまっているので、ダンスのお相手がいないのだ。
他のお相手を探すという選択肢がないわけではないが、ダンスはパートナー同士の信頼関係も大事になってくる。
ノルベルト殿下はノエル殿下だけをパートナーにしてきたので、今更それを変えるというのは難しいだろう。
ノルベルト殿下が悩んでいるのに、わたくしもハインリヒ殿下も声をかけられずにいた。
ノエル殿下がいないのにノルベルト殿下にダンスを勧められるはずもない。
「僕は、何の競技で参加しようか迷っていたけれど、今年は乗馬で参加しようかと思っています」
考えた末にノルベルト殿下が結論を出せてわたくしたちは心底ほっとした。
乗馬は男子の部と女子の部があるので、わたくしは女子の部で、ノルベルト殿下が男子の部で参加することになる。
「ノルベルト兄上は乗馬がお好きでしたからね」
「僕は馬が好きなんだ。とても優しい目をしているからね」
乗馬が得意だからではなく、乗馬が好きだからという理由で競技を選んだノルベルト殿下。ノルベルト殿下が納得して選べる競技があったことにみんな安心していた。
「ダンスにノルベルト兄上とノエル殿下が参加されないとなると、ペオーニエ寮はダンスでは勝てないかもしれませんね」
「他の参加者が頑張るんじゃないかな?」
「ノルベルト兄上とノエル殿下のダンスにはかないませんよ」
ハインリヒ殿下の言うとおりだった。
ノルベルト殿下とノエル殿下のダンスはとても素晴らしかった。毎年ノルベルト殿下とノエル殿下のダンスは審査員を魅了し、高い点数を出していた。それがなくなるとなると、ペオーニエ寮はダンスの競技では勝てないかもしれない。
「そうなると、リーリエ寮にも勝ち目が出てくるかもしれませんね」
「意外とローゼン寮も善戦するかもしれません」
二年連続で負けているリーリエ寮のオリヴァー殿とローゼン寮のミリヤムちゃんは期待をしているようだ。
「ペオーニエ寮は他の競技もありますから、負けませんよ」
「頑張りましょうね、レーニ嬢」
「今年も特訓しましょうね、クリスタ嬢」
クリスタちゃんとレーニちゃんが言い合っているのをわたくしは微笑ましく見守る。
運動会といってもお祭りのようなものなのでどの寮が勝っても盛り上がる。けれど、やはり自分の所属する寮が勝つのはうれしいものだ。
運動会当日まで、クリスタちゃんとレーニちゃんは授業の後に残って校庭で大縄跳びの特訓を始めた。
オリヴァー殿とハインリヒ殿下は、校庭で走る練習をしている。
お茶会の時間がいつもよりも遅くなるのは仕方のないことだった。
わたくしは練習をするクリスタちゃんとレーニちゃんを応援に行った。
ペオーニエ寮の生徒が練習しているので、リーリエ寮の生徒とローゼン寮の生徒も、練習している。
ローゼン寮の生徒の中にはミリヤムちゃんがいた。
「回し手は力のある男子生徒にしましょう」
「全員で声を掛け合って、心を一つにしましょう」
クリスタちゃんとレーニちゃんがペオーニエ寮の生徒たちに言っている。
「クリスタ、レーニ嬢、頑張ってください!」
声をかけると、クリスタちゃんもレーニちゃんも手を振って応えてくれた。
王都の学園の寮には、レーニちゃんも同じころに戻ってきていて、寮の前に停まった馬車がリリエンタール家のものだったので、わたくしとクリスタちゃんはレーニちゃんが降りてくるのを待っていた。
荷物を持って馬車から降りてきて、寮の門を潜ったレーニちゃんはすぐにわたくしとクリスタちゃんに気付いた。
「エリザベート嬢とクリスタ嬢も今寮に着いたのですね」
「そうなのです。昼食はご一緒しませんか? クリスタもいいですよね」
「もちろんです。ご一緒したいです」
「嬉しいですわ。わたくし、荷物を置いたら食堂に参ります」
門の前で約束をしてわたくしとクリスタちゃんは同じ部屋に、レーニちゃんはレーニちゃんの部屋に一度向かった。
荷物を置いて、上着も脱いでクローゼットにかけると、クリスタちゃんは髪の毛を編み直していた。移動中に乱れたところを美しくしておきたかったのだろう。わたくしもハーフアップにしている長い黒髪をブラシで梳いて整えた。
食堂に行くとちょうど昼食時だったので、ミリヤムちゃんもオリヴァー殿も食堂に来ていた。
ペオーニエ寮のテーブルに招くと、一緒に昼食を取ってくれる。
「長い夏休みでしたね」
「夏休みの後、エクムント様のお誕生日、ユリアーナ殿下のお誕生日、わたくしのお誕生日があるので、どうしても学園に戻るのが遅くなってしまいますわ」
「わたくしは、先に授業を受けておりました」
「ミリヤム嬢、いなかった間のノートを見せてください」
「はい。オリヴァー様もおられなかったので、お二人で使ってください」
お願いするわたくしに、ミリヤムちゃんは快く返事をしてくれた。
クリスタちゃんとレーニちゃんはノートを借りる相手を考えているようだった。
昼食が終わるとそのまま食堂でミリヤムちゃんのノートを見せてもらって、わたくしとオリヴァー殿は授業の準備をしておいた。
お茶会や昼食会や晩餐会に出るのも貴族として大事な嗜みなので、学園ではその期間は休んでいいことになっている。今日までは特別に休みになっているので、わたくしとオリヴァー殿はミリヤムちゃんのノートを写して、クリスタちゃんとレーニちゃんは同級生からノートを借りて写して午後を過ごした。
夏休みが終わると、学園は運動会に向けて取り組みが始まる。
それぞれ競技を選んで参加するのだ。
お茶会の時間になって、サンルームに集まっての話題はそのことだった。
ハインリヒ殿下とノルベルト殿下もお茶会には参加している。今日まで休みのはずだが、明日からの授業のためにノートを写しに学園に来ていたのだろう。
「今年もお姉様は乗馬で参加されますか?」
「わたくしは乗馬で参加するつもりです」
「わたくしは、大縄跳びで参加しますわ。レーニ嬢も一緒です」
「わたくしもクリスタ嬢と大縄跳びで参加します」
去年と同じく、わたくしは乗馬で参加するつもりだったし、クリスタちゃんとレーニちゃんは大縄跳びで参加するようだった。
「今年はリレーに挑戦してみたいと思います」
「オリヴァー殿、私と競争ですね」
「ハインリヒ殿下、お互いに力を尽くしましょう」
去年は大縄跳びだったオリヴァー殿は今年はリレーで参加するようだ。ハインリヒ殿下は毎年リレーで参加しているので、オリヴァー殿と競うことになる。どちらが勝つのか、わたくしは楽しみでしかない。
「わたくしは今年も大縄跳びにしようかと思っています」
「ミリヤム嬢、それでは、違う寮同士ですがお互いに頑張りましょうね」
「はい!」
ミリヤムちゃんは今年も大縄跳びで参加するようだ。クリスタちゃんとレーニちゃんと競う形になるけれど、それはそれとしてどちらともを応援したいわたくしだった。
「わたくしは、走り幅跳びで参加したいと思います」
リーゼロッテ嬢は走り幅跳びで参加する予定のようだ。
これでほとんどのお茶会参加者の参加競技が決まった。
問題はノルベルト殿下である。
ノルベルト殿下は一年生のときからノエル殿下とダンスで参加していた。
ノルベルト殿下が一年生のにはノエル殿下は三年生だった。
ダンスというのは相手がいなければ成立しない競技なのだ。ダンスの中には一人で踊るものもあるのだが、学園で習うダンスというのはいわゆる社交ダンスで、男性と女性のペアで踊ることを前提としている。
ノルベルト殿下は今年はノエル殿下が卒業してしまっているので、ダンスのお相手がいないのだ。
他のお相手を探すという選択肢がないわけではないが、ダンスはパートナー同士の信頼関係も大事になってくる。
ノルベルト殿下はノエル殿下だけをパートナーにしてきたので、今更それを変えるというのは難しいだろう。
ノルベルト殿下が悩んでいるのに、わたくしもハインリヒ殿下も声をかけられずにいた。
ノエル殿下がいないのにノルベルト殿下にダンスを勧められるはずもない。
「僕は、何の競技で参加しようか迷っていたけれど、今年は乗馬で参加しようかと思っています」
考えた末にノルベルト殿下が結論を出せてわたくしたちは心底ほっとした。
乗馬は男子の部と女子の部があるので、わたくしは女子の部で、ノルベルト殿下が男子の部で参加することになる。
「ノルベルト兄上は乗馬がお好きでしたからね」
「僕は馬が好きなんだ。とても優しい目をしているからね」
乗馬が得意だからではなく、乗馬が好きだからという理由で競技を選んだノルベルト殿下。ノルベルト殿下が納得して選べる競技があったことにみんな安心していた。
「ダンスにノルベルト兄上とノエル殿下が参加されないとなると、ペオーニエ寮はダンスでは勝てないかもしれませんね」
「他の参加者が頑張るんじゃないかな?」
「ノルベルト兄上とノエル殿下のダンスにはかないませんよ」
ハインリヒ殿下の言うとおりだった。
ノルベルト殿下とノエル殿下のダンスはとても素晴らしかった。毎年ノルベルト殿下とノエル殿下のダンスは審査員を魅了し、高い点数を出していた。それがなくなるとなると、ペオーニエ寮はダンスの競技では勝てないかもしれない。
「そうなると、リーリエ寮にも勝ち目が出てくるかもしれませんね」
「意外とローゼン寮も善戦するかもしれません」
二年連続で負けているリーリエ寮のオリヴァー殿とローゼン寮のミリヤムちゃんは期待をしているようだ。
「ペオーニエ寮は他の競技もありますから、負けませんよ」
「頑張りましょうね、レーニ嬢」
「今年も特訓しましょうね、クリスタ嬢」
クリスタちゃんとレーニちゃんが言い合っているのをわたくしは微笑ましく見守る。
運動会といってもお祭りのようなものなのでどの寮が勝っても盛り上がる。けれど、やはり自分の所属する寮が勝つのはうれしいものだ。
運動会当日まで、クリスタちゃんとレーニちゃんは授業の後に残って校庭で大縄跳びの特訓を始めた。
オリヴァー殿とハインリヒ殿下は、校庭で走る練習をしている。
お茶会の時間がいつもよりも遅くなるのは仕方のないことだった。
わたくしは練習をするクリスタちゃんとレーニちゃんを応援に行った。
ペオーニエ寮の生徒が練習しているので、リーリエ寮の生徒とローゼン寮の生徒も、練習している。
ローゼン寮の生徒の中にはミリヤムちゃんがいた。
「回し手は力のある男子生徒にしましょう」
「全員で声を掛け合って、心を一つにしましょう」
クリスタちゃんとレーニちゃんがペオーニエ寮の生徒たちに言っている。
「クリスタ、レーニ嬢、頑張ってください!」
声をかけると、クリスタちゃんもレーニちゃんも手を振って応えてくれた。
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