11 / 23
運命を決めるのは自分
恋人は王子様 9
しおりを挟む
乳児のときに拐われて、戸籍からなにもかもデタラメだった海直は、容貌と名前からアジア系であるだろうと予測されるくらいで、本当の親と結び付ける情報は皆無に近かった。
宇野海直として13年生きてきた海直にとっては、その名前も、生年月日も全てでっち上げられたものだということが、俄かには受け入れ難かった。
「本物の両親が何者であろうとも、海直は私の運命で、私が育ててきた。渡せというなら、叩き潰してくれる!」
「落ち着いて、クラレンス。犯罪歴もない善良なご両親で、弟さんも大事に育ててるっていうのよ。海直ちゃんはまだ未成年だし、日本から拐われたと分かったら、国際問題として、返さなければいけないの」
激怒しているクラレンスの声と、それを諭すヘイミッシュの声が、どこか遠くに聞こえる。日本に返されてしまうと言われても、物心付いたときにはクラレンスと一緒にいて、イギリスで育ったのだから、海直にはそれが無理やり連れて行かれるような気持ちしかなかった。
「海直くんも心の整理が付かないと思うけど、僕も子どもがいるから分かるけど、拐われてどこに行ったか分からない子どもを探し続けて13年も頑張るのは、ものすごく大変だし、愛情がなくてはできないことだよ」
「愛情なら、私にだってある。海直を11年育てた私の愛情はどうなるんだ」
冷静に説明するスコットの言葉も、クラレンスの怒りも、海直にはよく分かった。
アスター家に帰ってヘイミッシュとスコットを迎えての交渉は、長引きそうだった。
テーブルの上の海直のものとされる書類には、全く知らない名前と生年月日が載っている。生まれた年は同じだが、誕生日がひと月ほど離れていた。
「戸井美冬(とい みふゆ)……これが、僕の名前」
「海直は海直だ。私の海直にはなにも変わりはない」
細い体を逞しい腕でぎゅっと抱き締められて、海直は解決策を必死に考える。両親は海直を迎えにくるために、イギリスにやってくるという。
乳児の頃に拐われて人身売買にかけられた子どもが、異国にいて、それを本国の両親が返還するように求めた場合に、返さなければ、恐らくは国際問題になってしまうのだろう。そんな醜聞に地位も名誉もあるクラレンスを巻き込みたくはない。
しかし、イギリスを離れて仕舞えば、クラレンスとの距離は遠くなり、結婚できるかどうかも分からない。それに、海直には舞踏団でのダンスや歌の仕事もあった。日本でそれを続けられるかどうか分からないし、今までの実績全てを捨ててイギリスから離れることは考えられなかった。
そのことを説明しても、ヘイミッシュとスコットの表情は難しいままである。
「あなたが未成年なのが問題なのよね」
守られる立場である未成年の海直は、国際的にも両親との関係が守られるべきであると判断される。
「後三年すれば、結婚できるのに」
運命なのだから。
今すぐにでも結婚をしたい。
そんな雰囲気のクラレンスに、海直はじっくりと考えて答えを出したかった。
「ミチカは私の弟よ。どこにもやらないで」
アンジェラに手を握られて、海直はその日はヘイミッシュとスコットに帰ってもらった。
「兄さま、ミチカはうちの子よね?」
「誰が奪いにきても渡す気は無い。弁護士に連絡する」
国際的な親権争いの準備を始めようとするクラレンスは、どこまでも本気だった。血気盛んなクラレンスを止めて、海直がイギリスにいられるようにする方法。
「本当に、僕の両親が善良なひとたちだったら……」
幼いときに遠くに行ってしまった海直が死んでいるかもしれないという可能性があることは分かっていながらも、探し続けてくれた、愛情深いひとたちならば、分かり合える方法があるかもしれない。
「次の公演を、僕の両親に観に来てもらうことができますか?」
クラレンスを通して、ヘイミッシュとスコットからその願いは両親に伝えられた。
次回公演は「アニー」というミュージカルをアレンジしたもので、孤児の少女が、政治活動のために孤児を引き取るアピールをした計算高い冷徹な政治家と、心を通わせて本当の家族になっていく物語だった。海直が孤児の少女を演出で変えた少年役で、クラレンスが政治家の役だった。
最初は利益のためだけに一緒にいる政治家は、やがて孤児の少年の姿に心を許していく。しかし、少年の両親を名乗る相手が現れて、少年を連れて行こうとする。
その両親は偽物で、政治家を追い落とそうとする策略だったのだが、政治家は見事少年を助け出し、養子にすることを決める。
ミュージカル舞台が終わってカーテンコールで挨拶をして、楽屋に戻った海直は、クラレンスと手を繋いで、見にきてくれていた両親という男女に会った。
母親の方が海直とよく似ている気がする。
「美冬……」
「ごめんなさい、僕、海直って呼ばれてて、ずっと海直として生きてきたんです」
涙ぐんで近寄ってくる母親に、海直はきっぱりと言った。
「見てくださって分かったと思います。僕は、ここでダンスと歌をしていて、将来はミュージカルを中心とした舞台役者になりたいと思っています。それに、僕にはクラレンスという婚約者と、アンジェラという姉がいます」
本当に善良で自分を愛してくれるひとならば、舞台の上で海直がどれだけ生き生きしていたか、クラレンスとどれだけ信頼し合っているかを分かってくれるような気がしたのだ。
「素晴らしい舞台だったよ」
「立派に育って誇らしいわ」
涙目で言ってくれる両親の手を、海直はそっと握って、その目を覗き込んだ。
「あなたの目がすごく珍しいから、見えているかどうか、今後異常が出ないかどうか、大病院で診てもらったの」
そのときにその目の希少さに気付いた医師が、人身売買のブローカーに情報を流して、海直は攫われたのだという。警察に届けて血眼になって探したが、そのときには海直はもう海外に売られていた。
「ずっと探していたんだよ。その目が付いたまままた会えるとは、正直思っていなかった」
希少な目はとっくの昔に抉り取られてコレクションされて、酷い姿でいるのではないかと心配していたという両親。
「弟もいるのよ。春香(はるか)って言って、あなたの二つ年下なの」
話してくれる内容は優しいもので、海直を本当に思ってくれているのだとよく分かる。
「僕のことを愛してくれているなら、僕がイギリスにいることを許してください。僕にとっては物心ついたときからいる場所で、故郷です。愛するひとのいる場所です。それで……僕、すごく活躍します。世界的に有名になります。僕も会いに行くし、僕に会いに来てください」
イギリスのみならず、日本でも公演ができるように有名になる。そうすれば、両親や弟とも会えるようになるし、クラレンスとも離れずに済む。
両親の愛情を計るような真似をしている自覚はあった。愛しているならば、生きる場所を自分で決めさせて欲しいと願うのは、ずっと海直と一緒に暮らしたかったであろう両親にとっては酷なことだと分かっている。
それでも、海直にはクラレンスの手を離して日本に行くという選択はなかった。
「13歳だからもっと子どもかと思ってたらしっかりしているのね」
「あなたが私たちを両親だと思ってくれるなら、それだけで構わないよ」
本当に彼らが善良だと、海直が思い知った瞬間だった。
海直を今まで通りイギリスのアスター家で暮らすこと、イギリスの国籍を持たせること、全てに両親は納得して了承してくれた。
「クレア……良かった、僕、クレアと一緒にいられます」
全ての手続きが終わった後で、ホッとしてぼろりと大粒の涙を零した海直の顎を掬って、クラレンスが口付けをする。親愛のそれとは違う恋人のそれに、海直は真っ赤になって固まってしまった。
「あの男が来たときに、危ない真似をしないでと海直は私を止めてくれたけど、暴走しそうになる私を止めて、冷静に判断をしてくれる」
私の存在には海直が必要だと言われて、海直はぎゅっとクラレンスに抱き着いた。
宇野海直として13年生きてきた海直にとっては、その名前も、生年月日も全てでっち上げられたものだということが、俄かには受け入れ難かった。
「本物の両親が何者であろうとも、海直は私の運命で、私が育ててきた。渡せというなら、叩き潰してくれる!」
「落ち着いて、クラレンス。犯罪歴もない善良なご両親で、弟さんも大事に育ててるっていうのよ。海直ちゃんはまだ未成年だし、日本から拐われたと分かったら、国際問題として、返さなければいけないの」
激怒しているクラレンスの声と、それを諭すヘイミッシュの声が、どこか遠くに聞こえる。日本に返されてしまうと言われても、物心付いたときにはクラレンスと一緒にいて、イギリスで育ったのだから、海直にはそれが無理やり連れて行かれるような気持ちしかなかった。
「海直くんも心の整理が付かないと思うけど、僕も子どもがいるから分かるけど、拐われてどこに行ったか分からない子どもを探し続けて13年も頑張るのは、ものすごく大変だし、愛情がなくてはできないことだよ」
「愛情なら、私にだってある。海直を11年育てた私の愛情はどうなるんだ」
冷静に説明するスコットの言葉も、クラレンスの怒りも、海直にはよく分かった。
アスター家に帰ってヘイミッシュとスコットを迎えての交渉は、長引きそうだった。
テーブルの上の海直のものとされる書類には、全く知らない名前と生年月日が載っている。生まれた年は同じだが、誕生日がひと月ほど離れていた。
「戸井美冬(とい みふゆ)……これが、僕の名前」
「海直は海直だ。私の海直にはなにも変わりはない」
細い体を逞しい腕でぎゅっと抱き締められて、海直は解決策を必死に考える。両親は海直を迎えにくるために、イギリスにやってくるという。
乳児の頃に拐われて人身売買にかけられた子どもが、異国にいて、それを本国の両親が返還するように求めた場合に、返さなければ、恐らくは国際問題になってしまうのだろう。そんな醜聞に地位も名誉もあるクラレンスを巻き込みたくはない。
しかし、イギリスを離れて仕舞えば、クラレンスとの距離は遠くなり、結婚できるかどうかも分からない。それに、海直には舞踏団でのダンスや歌の仕事もあった。日本でそれを続けられるかどうか分からないし、今までの実績全てを捨ててイギリスから離れることは考えられなかった。
そのことを説明しても、ヘイミッシュとスコットの表情は難しいままである。
「あなたが未成年なのが問題なのよね」
守られる立場である未成年の海直は、国際的にも両親との関係が守られるべきであると判断される。
「後三年すれば、結婚できるのに」
運命なのだから。
今すぐにでも結婚をしたい。
そんな雰囲気のクラレンスに、海直はじっくりと考えて答えを出したかった。
「ミチカは私の弟よ。どこにもやらないで」
アンジェラに手を握られて、海直はその日はヘイミッシュとスコットに帰ってもらった。
「兄さま、ミチカはうちの子よね?」
「誰が奪いにきても渡す気は無い。弁護士に連絡する」
国際的な親権争いの準備を始めようとするクラレンスは、どこまでも本気だった。血気盛んなクラレンスを止めて、海直がイギリスにいられるようにする方法。
「本当に、僕の両親が善良なひとたちだったら……」
幼いときに遠くに行ってしまった海直が死んでいるかもしれないという可能性があることは分かっていながらも、探し続けてくれた、愛情深いひとたちならば、分かり合える方法があるかもしれない。
「次の公演を、僕の両親に観に来てもらうことができますか?」
クラレンスを通して、ヘイミッシュとスコットからその願いは両親に伝えられた。
次回公演は「アニー」というミュージカルをアレンジしたもので、孤児の少女が、政治活動のために孤児を引き取るアピールをした計算高い冷徹な政治家と、心を通わせて本当の家族になっていく物語だった。海直が孤児の少女を演出で変えた少年役で、クラレンスが政治家の役だった。
最初は利益のためだけに一緒にいる政治家は、やがて孤児の少年の姿に心を許していく。しかし、少年の両親を名乗る相手が現れて、少年を連れて行こうとする。
その両親は偽物で、政治家を追い落とそうとする策略だったのだが、政治家は見事少年を助け出し、養子にすることを決める。
ミュージカル舞台が終わってカーテンコールで挨拶をして、楽屋に戻った海直は、クラレンスと手を繋いで、見にきてくれていた両親という男女に会った。
母親の方が海直とよく似ている気がする。
「美冬……」
「ごめんなさい、僕、海直って呼ばれてて、ずっと海直として生きてきたんです」
涙ぐんで近寄ってくる母親に、海直はきっぱりと言った。
「見てくださって分かったと思います。僕は、ここでダンスと歌をしていて、将来はミュージカルを中心とした舞台役者になりたいと思っています。それに、僕にはクラレンスという婚約者と、アンジェラという姉がいます」
本当に善良で自分を愛してくれるひとならば、舞台の上で海直がどれだけ生き生きしていたか、クラレンスとどれだけ信頼し合っているかを分かってくれるような気がしたのだ。
「素晴らしい舞台だったよ」
「立派に育って誇らしいわ」
涙目で言ってくれる両親の手を、海直はそっと握って、その目を覗き込んだ。
「あなたの目がすごく珍しいから、見えているかどうか、今後異常が出ないかどうか、大病院で診てもらったの」
そのときにその目の希少さに気付いた医師が、人身売買のブローカーに情報を流して、海直は攫われたのだという。警察に届けて血眼になって探したが、そのときには海直はもう海外に売られていた。
「ずっと探していたんだよ。その目が付いたまままた会えるとは、正直思っていなかった」
希少な目はとっくの昔に抉り取られてコレクションされて、酷い姿でいるのではないかと心配していたという両親。
「弟もいるのよ。春香(はるか)って言って、あなたの二つ年下なの」
話してくれる内容は優しいもので、海直を本当に思ってくれているのだとよく分かる。
「僕のことを愛してくれているなら、僕がイギリスにいることを許してください。僕にとっては物心ついたときからいる場所で、故郷です。愛するひとのいる場所です。それで……僕、すごく活躍します。世界的に有名になります。僕も会いに行くし、僕に会いに来てください」
イギリスのみならず、日本でも公演ができるように有名になる。そうすれば、両親や弟とも会えるようになるし、クラレンスとも離れずに済む。
両親の愛情を計るような真似をしている自覚はあった。愛しているならば、生きる場所を自分で決めさせて欲しいと願うのは、ずっと海直と一緒に暮らしたかったであろう両親にとっては酷なことだと分かっている。
それでも、海直にはクラレンスの手を離して日本に行くという選択はなかった。
「13歳だからもっと子どもかと思ってたらしっかりしているのね」
「あなたが私たちを両親だと思ってくれるなら、それだけで構わないよ」
本当に彼らが善良だと、海直が思い知った瞬間だった。
海直を今まで通りイギリスのアスター家で暮らすこと、イギリスの国籍を持たせること、全てに両親は納得して了承してくれた。
「クレア……良かった、僕、クレアと一緒にいられます」
全ての手続きが終わった後で、ホッとしてぼろりと大粒の涙を零した海直の顎を掬って、クラレンスが口付けをする。親愛のそれとは違う恋人のそれに、海直は真っ赤になって固まってしまった。
「あの男が来たときに、危ない真似をしないでと海直は私を止めてくれたけど、暴走しそうになる私を止めて、冷静に判断をしてくれる」
私の存在には海直が必要だと言われて、海直はぎゅっとクラレンスに抱き着いた。
0
あなたにおすすめの小説
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
金の野獣と薔薇の番
むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。
彼は事故により7歳より以前の記憶がない。
高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。
オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。
ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。
彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。
その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。
来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。
皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……?
4/20 本編開始。
『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。
(『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。)
※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。
【至高のオメガとガラスの靴】
↓
【金の野獣と薔薇の番】←今ココ
↓
【魔法使いと眠れるオメガ】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる