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本編
1.青葉の国の王子
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塔の窓から見下ろした風景は、オリーブの農園に、葡萄の農園、青々と萌える若葉の茂る、美しい春だった。風に揺れる木々の葉擦れが、聞こえてきそうな気がする。
生まれてから15年、ほとんどの時間を塔の中に閉じ込められて来たルカは、眼下に広がる手を伸ばせば届きそうな農園にすら、行ったことがない。
この国の第一王子として産まれたルカの人生は、始まりこそは華々しかった。正妻の王妃には長らく女の子しか生まれず、跡継ぎを望まれて、ルカの母は妾の妃として王の元へやって来た。順調に妊娠し、産まれたルカが男の子だったあの瞬間が、ルカの母の人生の絶頂期だった。二年後に、正妻の王妃に男の子が生まれた。
その日から、ルカは正妻に亡き者にされぬように、母と一緒に塔に閉じ込められていた。
10の年に母も亡くなり、一人になったルカを訪ねて来た父は、酷く苦悩した表情でルカに告げた。
「お前に国を継がせることはない」
それならば自分は何のために産まれて来たのか。
正妻の妃は自分の息子を王位後継者とするために奔走している。
癖のある金髪に緑の目のルカは、美しいと絶賛された母に似た、少女のような容貌をしていた。
「私をどこかへやるおつもりですか?」
「それは、お前がアルファかオメガか、どちらかによる」
優秀な頭脳を持って、男女共にオメガや女性を孕ませる能力を持つアルファ。美しい容姿とアルファを誘う発情期で、男女共に子どもを孕むことができて、アルファかオメガを産むことができるオメガ。
王族で、アルファの父とオメガの母の間に生まれたのだから、ルカが平凡なベータである可能性はほぼなかった。
第二の性と言われる、それが分かれば、ルカはこの塔から出される。出された先が同じような牢獄に近い場所であるというのは、もう諦めていた。
発育が悪くて小柄で愛らしい美少女のような姿のせいか、ルカは14歳を過ぎても精通が来なかったし、発情期も来なかった。これではアルファかオメガかも分からない。
しびれを切らした父が、外見からルカをオメガと断じたのは、15歳のときだった。
「お前にお似合いの場所に行かせてやる。愛されるように努力しろ。そうすれば、お前も幸せになれる」
あれは父なりの思いやりだったのか。
母が着ていた豪奢な布をドレスのように巻いて身に纏い、頭に薄く透ける布を被って、ルカは遠い異国に、母の遺品の布だけ持たされて、旅立ったのだった。
野営しながらも数日馬車に揺られて、ついた先は、日差しの強い乾いた風の吹く国だった。地下水路が張り巡らされているのだろう、遠くまで地表にまばらに草の生える道があって、そこが農地まで繋がっている。馬車の窓から覗き見た農地は豊かで、麦は分かったが、その他にも見たことのない植物が植えてある。
「あれは、なに?」
窓から顔を出そうとしたルカを制して、御者が答える。
「ひよこ豆や、瓜ですよ。スイカもありますね」
乾燥地帯に育つそれらは、ルカにはあまり馴染みのないものばかりだった。
戦ばかりだったその国は、幼い王が即位して、用水路などの灌漑事業に力を入れ、平和で豊かな国になったため、彼は賢王として崇め奉られている。地下資源も豊かだというから、金銀財宝につられて、ルカの父はルカをここにやることに決めたのかもしれない。
王のための後宮があるというこの国で、そこに入れば二度と出ることはできないだろう。
寵愛を受けられるとも思わないルカは、後宮でも塔でも、場所が変わっただけで、何も変わりはしないのだと諦めていた。
美しい青いタイルで飾られた城に連れて行かれて、初めの部屋で巻いていた布を取られて、裸を検分される。武器を隠し持っていないか、荷物も全部広げられた。
ルカの国では、美しい大きな布を体に巻き付けて、ブローチで留めて身に着ける。ブローチの尖った針が危険だと、持ってきたブローチは全て取り上げられて、ルカは布を巻きなおした。ブローチを使わない方法もあったので良かったが、母が父から贈られた美しいブローチとはもう再開することはないだろうと、持ち出されるそれを諦めの目で見送った。
宛がわれた部屋は、小さな庭があって、隣りの部屋とは塀で区切られていた。
「庭にはお好きな花や植物をお植えになって良いそうです。王は初めて来たものには、その夜に会いに来られます。湯浴みをして、準備をしておかれるように」
それまでは自由にしていいと言われて、ルカは拍子抜けしてしまった。広くはない庭だが、お日様の光に当たることもできるし、屋根がある場所にベンチも置いてあって、風が吹けば心地よく過ごせそうだ。逃亡防止用の外に向いた塀は高いが、隣りとの境界の塀はそれほど高くもなく、圧迫感もない。
部屋は豪奢な広い寝台に、涼し気な籐を編んだソファとテーブルのセット、お手洗いに風呂場もあった。
飲み物や食べ物は、侍従に声をかければいい。
水しか出ない塔の狭いシャワー室で、冬は震えていたことを思えば、汗ばむ暑さはあるが、風が吹けば涼しいここは、かなり環境が良かった。
飲み物を頼めば、素焼きの壺で、表面から水分が気化するのを使って冷やされたレモン水が運ばれて来た。冷たいそれに一息ついて、寝台に横になると、慣れない野営でほとんど眠れていなかった分の眠気が襲って来る。
どうせ夜には王と会わなければいけない。他にも美姫や美しいオメガを侍らせているのだろうから、ルカ程度が気に入って抱かれる可能性は低かったが、そうなったら、眠るどころではなくなる。抱かれたことも、抱いたこともないが、王が優しくしてくれるとは限らないのだ。
眠ってしまえと目を閉じていると、甘い香りが鼻孔を擽った気がした。どこかのオメガが発情期なのだろうか。それならば、王はルカに形式上の挨拶だけして、そちらに行ってしまうだろう。
眠りに落ちながら、ルカはぼんやりと考えていた。
目が覚めると夕刻で、ルカの部屋に夕食が準備される。これを食べて王の来訪に備えよということのようだ。
暖かな豆のスープと固焼きのパンに、瑞々しい赤い果肉のスイカ。簡素だが食欲のわく品目に、ルカのお腹が鳴った。物心ついたときには塔にいて、冷たい食事しか与えられてこなかった。
木匙を手に取って固焼きのパンをスープに浸しながら食べ、最後にスイカに齧り付く。じゅわっと広がる果汁に、ルカは巻いている布にそれを滴らせないように焦った。果実など食べたことがないので、慣れていないのだ。
食べ終わると、湯浴みをする。
どこまで洗えば良いのか分からないが、それを教えてくれるものもいない。後孔も周辺は洗っておいたが、中にまで指を入れる勇気はなかった。発情期も精通も来ていないルカは、そこが濡れたことがない。そこで王を受け入れるということも、知識では理解しているが、実際には想像もつかなかった。
新しい美しい布を身体に巻いて、薄布を被って待っていると、「王のおなりです」と侍従が告げて来た。
床に膝を付いて頭を垂れて待っていると、白い長衣にズボン姿の人物がやってきた。純粋な白い布はこの国ではなかなか織ることのできない、希少なものだ。
「顔を上げよ」
冷淡かと想像していたが、低く深みのある声が響いて、ルカは顔を上げた。手を取られて、立たされ、ソファに座らされる。
「あのように畏まることはない。慣例だから顔を見にきただけだ」
滑らかな褐色の肌に癖のある黒い髪と穏やかな黒い目。賢王と呼ばれる彼は、堂々とした長身と鍛え上げられた見事な体躯に、凛々しい眉、彫りの深い顔立ちの美丈夫だった。
年は22歳だと聞いている。
「ルカと申します」
「ルカか。この部屋と庭は好きにしていい。猫と小鳥ならば、飼っても構わない。ここでの暮らしは自由にするがいい」
隣りに座って話をするかと思えば、立ったままそれだけ告げて、王は部屋から出て行く。お気に召さなかったのだと安堵しながらも、胸に僅かな寂しさが残った。
どこからか瑞々しい果実のような甘い香りが漂ってきている。
王が立ち去る背中を見送っていると、廊下に何か光るものが落ちたのに気付いた。戸の前で待っていた王の側仕えも、廊下で王の前に頭を下げている侍従も気付いていない。
音もなく部屋を抜け出して、廊下に出て光るものが落ちたあたりに行けば、王のつけていた月の形の金の耳飾りが片方、転がっていた。
「これ……」
届けなければいけないが、王に声をかけていいものか。
迷っているうちに王は廊下の一番奥の部屋に入ってしまう。あの部屋の妃が王のお気に入りなのだろうか。
侍従に預けようと部屋の前まで来たところで、全身が総毛立つような感覚に襲われた。
甘い。
物凄く甘い香りがルカを誘って来る。
どうしてこの部屋には、王を守るために戸に立つ側仕えもいないのだろう。
ぞくぞくとしながら、ルカが本能に逆らえず部屋の戸を押すと、僅かに隙間ができた。そこに耳飾りを押し込んで、逃げてしまえば良かったのだ。
漏れ出る甘い香りが、ルカの正常な思考をかき乱す。
はぁっと熱い吐息を漏らすルカと同じく、部屋の寝台の上にいる王は、こちらに背を向けたまま、ぐちぐちと濡れた音を響かせている。誰かと交わっているのだと目を背けようとしても、強い香りに誘われて、ルカは王の痴態に釘付けになっていた。
ずっぽりと後孔に咥えさせているのは、王自身の指ではないのか。
驚きに指で摘まんでいた耳飾りが落ちて、床の上で金属音を立てた。
振り向いた王の目は、薄暗がりにも関わらず、欲望に濡れているのがありありと分かった。
生まれてから15年、ほとんどの時間を塔の中に閉じ込められて来たルカは、眼下に広がる手を伸ばせば届きそうな農園にすら、行ったことがない。
この国の第一王子として産まれたルカの人生は、始まりこそは華々しかった。正妻の王妃には長らく女の子しか生まれず、跡継ぎを望まれて、ルカの母は妾の妃として王の元へやって来た。順調に妊娠し、産まれたルカが男の子だったあの瞬間が、ルカの母の人生の絶頂期だった。二年後に、正妻の王妃に男の子が生まれた。
その日から、ルカは正妻に亡き者にされぬように、母と一緒に塔に閉じ込められていた。
10の年に母も亡くなり、一人になったルカを訪ねて来た父は、酷く苦悩した表情でルカに告げた。
「お前に国を継がせることはない」
それならば自分は何のために産まれて来たのか。
正妻の妃は自分の息子を王位後継者とするために奔走している。
癖のある金髪に緑の目のルカは、美しいと絶賛された母に似た、少女のような容貌をしていた。
「私をどこかへやるおつもりですか?」
「それは、お前がアルファかオメガか、どちらかによる」
優秀な頭脳を持って、男女共にオメガや女性を孕ませる能力を持つアルファ。美しい容姿とアルファを誘う発情期で、男女共に子どもを孕むことができて、アルファかオメガを産むことができるオメガ。
王族で、アルファの父とオメガの母の間に生まれたのだから、ルカが平凡なベータである可能性はほぼなかった。
第二の性と言われる、それが分かれば、ルカはこの塔から出される。出された先が同じような牢獄に近い場所であるというのは、もう諦めていた。
発育が悪くて小柄で愛らしい美少女のような姿のせいか、ルカは14歳を過ぎても精通が来なかったし、発情期も来なかった。これではアルファかオメガかも分からない。
しびれを切らした父が、外見からルカをオメガと断じたのは、15歳のときだった。
「お前にお似合いの場所に行かせてやる。愛されるように努力しろ。そうすれば、お前も幸せになれる」
あれは父なりの思いやりだったのか。
母が着ていた豪奢な布をドレスのように巻いて身に纏い、頭に薄く透ける布を被って、ルカは遠い異国に、母の遺品の布だけ持たされて、旅立ったのだった。
野営しながらも数日馬車に揺られて、ついた先は、日差しの強い乾いた風の吹く国だった。地下水路が張り巡らされているのだろう、遠くまで地表にまばらに草の生える道があって、そこが農地まで繋がっている。馬車の窓から覗き見た農地は豊かで、麦は分かったが、その他にも見たことのない植物が植えてある。
「あれは、なに?」
窓から顔を出そうとしたルカを制して、御者が答える。
「ひよこ豆や、瓜ですよ。スイカもありますね」
乾燥地帯に育つそれらは、ルカにはあまり馴染みのないものばかりだった。
戦ばかりだったその国は、幼い王が即位して、用水路などの灌漑事業に力を入れ、平和で豊かな国になったため、彼は賢王として崇め奉られている。地下資源も豊かだというから、金銀財宝につられて、ルカの父はルカをここにやることに決めたのかもしれない。
王のための後宮があるというこの国で、そこに入れば二度と出ることはできないだろう。
寵愛を受けられるとも思わないルカは、後宮でも塔でも、場所が変わっただけで、何も変わりはしないのだと諦めていた。
美しい青いタイルで飾られた城に連れて行かれて、初めの部屋で巻いていた布を取られて、裸を検分される。武器を隠し持っていないか、荷物も全部広げられた。
ルカの国では、美しい大きな布を体に巻き付けて、ブローチで留めて身に着ける。ブローチの尖った針が危険だと、持ってきたブローチは全て取り上げられて、ルカは布を巻きなおした。ブローチを使わない方法もあったので良かったが、母が父から贈られた美しいブローチとはもう再開することはないだろうと、持ち出されるそれを諦めの目で見送った。
宛がわれた部屋は、小さな庭があって、隣りの部屋とは塀で区切られていた。
「庭にはお好きな花や植物をお植えになって良いそうです。王は初めて来たものには、その夜に会いに来られます。湯浴みをして、準備をしておかれるように」
それまでは自由にしていいと言われて、ルカは拍子抜けしてしまった。広くはない庭だが、お日様の光に当たることもできるし、屋根がある場所にベンチも置いてあって、風が吹けば心地よく過ごせそうだ。逃亡防止用の外に向いた塀は高いが、隣りとの境界の塀はそれほど高くもなく、圧迫感もない。
部屋は豪奢な広い寝台に、涼し気な籐を編んだソファとテーブルのセット、お手洗いに風呂場もあった。
飲み物や食べ物は、侍従に声をかければいい。
水しか出ない塔の狭いシャワー室で、冬は震えていたことを思えば、汗ばむ暑さはあるが、風が吹けば涼しいここは、かなり環境が良かった。
飲み物を頼めば、素焼きの壺で、表面から水分が気化するのを使って冷やされたレモン水が運ばれて来た。冷たいそれに一息ついて、寝台に横になると、慣れない野営でほとんど眠れていなかった分の眠気が襲って来る。
どうせ夜には王と会わなければいけない。他にも美姫や美しいオメガを侍らせているのだろうから、ルカ程度が気に入って抱かれる可能性は低かったが、そうなったら、眠るどころではなくなる。抱かれたことも、抱いたこともないが、王が優しくしてくれるとは限らないのだ。
眠ってしまえと目を閉じていると、甘い香りが鼻孔を擽った気がした。どこかのオメガが発情期なのだろうか。それならば、王はルカに形式上の挨拶だけして、そちらに行ってしまうだろう。
眠りに落ちながら、ルカはぼんやりと考えていた。
目が覚めると夕刻で、ルカの部屋に夕食が準備される。これを食べて王の来訪に備えよということのようだ。
暖かな豆のスープと固焼きのパンに、瑞々しい赤い果肉のスイカ。簡素だが食欲のわく品目に、ルカのお腹が鳴った。物心ついたときには塔にいて、冷たい食事しか与えられてこなかった。
木匙を手に取って固焼きのパンをスープに浸しながら食べ、最後にスイカに齧り付く。じゅわっと広がる果汁に、ルカは巻いている布にそれを滴らせないように焦った。果実など食べたことがないので、慣れていないのだ。
食べ終わると、湯浴みをする。
どこまで洗えば良いのか分からないが、それを教えてくれるものもいない。後孔も周辺は洗っておいたが、中にまで指を入れる勇気はなかった。発情期も精通も来ていないルカは、そこが濡れたことがない。そこで王を受け入れるということも、知識では理解しているが、実際には想像もつかなかった。
新しい美しい布を身体に巻いて、薄布を被って待っていると、「王のおなりです」と侍従が告げて来た。
床に膝を付いて頭を垂れて待っていると、白い長衣にズボン姿の人物がやってきた。純粋な白い布はこの国ではなかなか織ることのできない、希少なものだ。
「顔を上げよ」
冷淡かと想像していたが、低く深みのある声が響いて、ルカは顔を上げた。手を取られて、立たされ、ソファに座らされる。
「あのように畏まることはない。慣例だから顔を見にきただけだ」
滑らかな褐色の肌に癖のある黒い髪と穏やかな黒い目。賢王と呼ばれる彼は、堂々とした長身と鍛え上げられた見事な体躯に、凛々しい眉、彫りの深い顔立ちの美丈夫だった。
年は22歳だと聞いている。
「ルカと申します」
「ルカか。この部屋と庭は好きにしていい。猫と小鳥ならば、飼っても構わない。ここでの暮らしは自由にするがいい」
隣りに座って話をするかと思えば、立ったままそれだけ告げて、王は部屋から出て行く。お気に召さなかったのだと安堵しながらも、胸に僅かな寂しさが残った。
どこからか瑞々しい果実のような甘い香りが漂ってきている。
王が立ち去る背中を見送っていると、廊下に何か光るものが落ちたのに気付いた。戸の前で待っていた王の側仕えも、廊下で王の前に頭を下げている侍従も気付いていない。
音もなく部屋を抜け出して、廊下に出て光るものが落ちたあたりに行けば、王のつけていた月の形の金の耳飾りが片方、転がっていた。
「これ……」
届けなければいけないが、王に声をかけていいものか。
迷っているうちに王は廊下の一番奥の部屋に入ってしまう。あの部屋の妃が王のお気に入りなのだろうか。
侍従に預けようと部屋の前まで来たところで、全身が総毛立つような感覚に襲われた。
甘い。
物凄く甘い香りがルカを誘って来る。
どうしてこの部屋には、王を守るために戸に立つ側仕えもいないのだろう。
ぞくぞくとしながら、ルカが本能に逆らえず部屋の戸を押すと、僅かに隙間ができた。そこに耳飾りを押し込んで、逃げてしまえば良かったのだ。
漏れ出る甘い香りが、ルカの正常な思考をかき乱す。
はぁっと熱い吐息を漏らすルカと同じく、部屋の寝台の上にいる王は、こちらに背を向けたまま、ぐちぐちと濡れた音を響かせている。誰かと交わっているのだと目を背けようとしても、強い香りに誘われて、ルカは王の痴態に釘付けになっていた。
ずっぽりと後孔に咥えさせているのは、王自身の指ではないのか。
驚きに指で摘まんでいた耳飾りが落ちて、床の上で金属音を立てた。
振り向いた王の目は、薄暗がりにも関わらず、欲望に濡れているのがありありと分かった。
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