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第5部 天然女子高生のための真そーかつ
第135話 原始共産主義
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東京都千代田区にある私立マルクス高等学校は(後略)
『マルクス中高の教育の素晴らしさはよく分かりましたの。そうですの、どうせならこの学校にポ○ポトを召喚して原始共産主義を実現しますの! 全生徒の学費を無料にした分だけ手数料を貰えばパチスロに行き放題で』
『魔神ちゃん、やっぱりお仕置きが必要のようね』
『げえっまりね!! ひぃー許し』ギュリリリリリリリリリ
「へえー、若干スプラッターですけどよくできてるじゃないですか。アニメ化に先行して高校生が実写化っていうのも面白いですし」
「そうなんだよ。これも作者のトヤマ先生がうちのOBだからできたことで、版権料を驚くほど格安にしてくれたんだ」
「魔神ちゃんの衣装はちょっと恥ずかしかったけど、私も結構楽しかったわ。収録は全部終わったけどまた着てみたいぐらい」
ある日の放課後、視聴覚室の前を通りかかった私は教頭の琴名枯之助先生に誘われて新たに制作されたマルクス中高の宣伝映像を見ていた。
この宣伝映像は来春からテレビアニメ化が予定されている人気コミック『魔神ちゃんドロップアウト』のキャラクターがマルクス中高を見学しに行くという設定で作られた実写ドラマで、原作者のトヤマ先生がこの中高の出身者であることからタイアップの話が持ち上がったのだった。
歴史人物を現代日本に召喚することで毎回騒動を引き起こす主人公の魔神ちゃんは2年生の金原真希先輩が、ヒロイン的存在の中園まりねは同じく2年生の堀江有紀先輩が演じ、最後は魔神ちゃんが過酷なお仕置きをされて終わる点も原作を踏まえているらしかった。
「ちょっと待つざます! このような宣伝映像はPTA会長として許せないざます!!」
「うわあ、また出た!!」
思わず本音を叫んでしまったが、視聴覚室の入り口から入ってきたのはマルクス高校のPTA会長にして平塚鳴海先輩のお母さんである平塚瞳さんだった。
「私が2週間海外旅行に行っている間に勝手に話が進んでいたようですが、この映像の原作漫画の内容は健全なる学校の宣伝には不適切ざます! 主人公の女の子は上半身裸で外を歩き回っていて、こんなハレンチな漫画を原作にするというのならPTAの会費から補助金は出せないざます!!」
「ちょっと待ってくださいよ、魔神ちゃんは人間ではなく異世界からやって来た魔神族の女の子ですし、この実写ドラマではちゃんとベージュの肌襦袢を着ているのですよ。宣伝映像は既に完成してトヤマ先生にもデータを送っていますし、その時点で版権料を踏み倒すなど寸借詐欺のようなものではないですか。PTAにはどうかご理解を頂きたく……」
「会長である私は事前に話を聞いていなかったのですから詐欺も何もないざます! 寸借詐欺などと仰るなら教頭先生のお給料から版権料を支払えばいいざます!!」
瞳さんは上半身裸で長髪を垂らして胸を隠しているという魔神ちゃんのキャラクターデザインに怒り心頭らしく、全年齢作品なので別にいいのではと思ったものの版権料はPTAの会費から支払うと決まっていたそうなのでこれは面倒だと思った。
その時……
「どうもお疲れ様です。PTA会長さんのお話には確かに一理ありますから、仰った問題点に対応できるよう追加でシナリオを考えてみました。いかがでしょう、この内容でもう1本実写ドラマを制作して頂けませんか?」
「トヤマ先生! 分かりました、版権料は私が自腹を切ってでも必ずお支払いしますが、PTAの皆さんを説得できるよう宣伝映像をもう1本制作させて頂きます。金原さん、付き合って貰えるかな?」
「もちろんです! 魔神ちゃんの衣装をもう1回着られるなんて最高です!」
わざわざ学校まで来てくれていた原作者のトヤマ先生はその場で紙に書き下ろしたらしいシナリオを教頭先生に手渡し、PTAが会費を支出するかどうかは追加で制作された宣伝映像を見た上で判断されることになった。
そして宣伝映像は完成し……
『そういえば私が上半身裸なのはよくよく考えるとハレンチかも知れませんの。ここはジャン=ジャック・ルソーを召喚して意見を聞きますの』
『そもそも自然状態にあって人は平等で争いのない理想的な暮らしをしていたのであって、文明が生み出されたことで人は闘争的な環境に苦しまざるを得なくなったのである。ゆえに人は自然に帰るべきであり、それはすなわち化石人類に等しい生活に戻るということなのである』
『これこそ原始共産主義の真の姿ですの! ルソーの教えに基づいて明日からこの中高の制服を全裸にしますの!!』
『魔神ちゃん、今からあなたの皮を剥いで服にするわね』
『げえっまりね!! ひぃー許し』ギョルルルルルルルルル
「原始共産主義をルソーの思想から紐解くシナリオは興味深いざます! これならこの中高の宣伝映像として適切ざます!!」
「そう言って頂けて嬉しいです。高校時代に習った社会契約説を思い出して書きました」
翌週改めて行われた上映会で瞳さんはPTA会費からの版権料の支出を認め、結果に満足しているトヤマ先生に私は途中からこの学校の宣伝が関係なくなっているのではと思った。
(続く)
『マルクス中高の教育の素晴らしさはよく分かりましたの。そうですの、どうせならこの学校にポ○ポトを召喚して原始共産主義を実現しますの! 全生徒の学費を無料にした分だけ手数料を貰えばパチスロに行き放題で』
『魔神ちゃん、やっぱりお仕置きが必要のようね』
『げえっまりね!! ひぃー許し』ギュリリリリリリリリリ
「へえー、若干スプラッターですけどよくできてるじゃないですか。アニメ化に先行して高校生が実写化っていうのも面白いですし」
「そうなんだよ。これも作者のトヤマ先生がうちのOBだからできたことで、版権料を驚くほど格安にしてくれたんだ」
「魔神ちゃんの衣装はちょっと恥ずかしかったけど、私も結構楽しかったわ。収録は全部終わったけどまた着てみたいぐらい」
ある日の放課後、視聴覚室の前を通りかかった私は教頭の琴名枯之助先生に誘われて新たに制作されたマルクス中高の宣伝映像を見ていた。
この宣伝映像は来春からテレビアニメ化が予定されている人気コミック『魔神ちゃんドロップアウト』のキャラクターがマルクス中高を見学しに行くという設定で作られた実写ドラマで、原作者のトヤマ先生がこの中高の出身者であることからタイアップの話が持ち上がったのだった。
歴史人物を現代日本に召喚することで毎回騒動を引き起こす主人公の魔神ちゃんは2年生の金原真希先輩が、ヒロイン的存在の中園まりねは同じく2年生の堀江有紀先輩が演じ、最後は魔神ちゃんが過酷なお仕置きをされて終わる点も原作を踏まえているらしかった。
「ちょっと待つざます! このような宣伝映像はPTA会長として許せないざます!!」
「うわあ、また出た!!」
思わず本音を叫んでしまったが、視聴覚室の入り口から入ってきたのはマルクス高校のPTA会長にして平塚鳴海先輩のお母さんである平塚瞳さんだった。
「私が2週間海外旅行に行っている間に勝手に話が進んでいたようですが、この映像の原作漫画の内容は健全なる学校の宣伝には不適切ざます! 主人公の女の子は上半身裸で外を歩き回っていて、こんなハレンチな漫画を原作にするというのならPTAの会費から補助金は出せないざます!!」
「ちょっと待ってくださいよ、魔神ちゃんは人間ではなく異世界からやって来た魔神族の女の子ですし、この実写ドラマではちゃんとベージュの肌襦袢を着ているのですよ。宣伝映像は既に完成してトヤマ先生にもデータを送っていますし、その時点で版権料を踏み倒すなど寸借詐欺のようなものではないですか。PTAにはどうかご理解を頂きたく……」
「会長である私は事前に話を聞いていなかったのですから詐欺も何もないざます! 寸借詐欺などと仰るなら教頭先生のお給料から版権料を支払えばいいざます!!」
瞳さんは上半身裸で長髪を垂らして胸を隠しているという魔神ちゃんのキャラクターデザインに怒り心頭らしく、全年齢作品なので別にいいのではと思ったものの版権料はPTAの会費から支払うと決まっていたそうなのでこれは面倒だと思った。
その時……
「どうもお疲れ様です。PTA会長さんのお話には確かに一理ありますから、仰った問題点に対応できるよう追加でシナリオを考えてみました。いかがでしょう、この内容でもう1本実写ドラマを制作して頂けませんか?」
「トヤマ先生! 分かりました、版権料は私が自腹を切ってでも必ずお支払いしますが、PTAの皆さんを説得できるよう宣伝映像をもう1本制作させて頂きます。金原さん、付き合って貰えるかな?」
「もちろんです! 魔神ちゃんの衣装をもう1回着られるなんて最高です!」
わざわざ学校まで来てくれていた原作者のトヤマ先生はその場で紙に書き下ろしたらしいシナリオを教頭先生に手渡し、PTAが会費を支出するかどうかは追加で制作された宣伝映像を見た上で判断されることになった。
そして宣伝映像は完成し……
『そういえば私が上半身裸なのはよくよく考えるとハレンチかも知れませんの。ここはジャン=ジャック・ルソーを召喚して意見を聞きますの』
『そもそも自然状態にあって人は平等で争いのない理想的な暮らしをしていたのであって、文明が生み出されたことで人は闘争的な環境に苦しまざるを得なくなったのである。ゆえに人は自然に帰るべきであり、それはすなわち化石人類に等しい生活に戻るということなのである』
『これこそ原始共産主義の真の姿ですの! ルソーの教えに基づいて明日からこの中高の制服を全裸にしますの!!』
『魔神ちゃん、今からあなたの皮を剥いで服にするわね』
『げえっまりね!! ひぃー許し』ギョルルルルルルルルル
「原始共産主義をルソーの思想から紐解くシナリオは興味深いざます! これならこの中高の宣伝映像として適切ざます!!」
「そう言って頂けて嬉しいです。高校時代に習った社会契約説を思い出して書きました」
翌週改めて行われた上映会で瞳さんはPTA会費からの版権料の支出を認め、結果に満足しているトヤマ先生に私は途中からこの学校の宣伝が関係なくなっているのではと思った。
(続く)
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