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第6部 天然女子高生のための重そーかつ
第155話 エルサゲート
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東京都千代田区にある私立マルクス高等学校は今時珍しい革新系の学校で、在学生には(後略)
「まなおねえちゃん、このまえヌコヌコどうがでおもしろいどうがをみつけたんだよ! エニグマンがてきにつかまるやつ!!」
「へえー、そんなに面白いの? 私もこの前エニグマンの映画見たけど」
ある日曜日の昼、お母さんに頼まれてお隣さんにお届け物をしに行った私は6歳児の村田蓮くんにタブレット端末の画面を見せられた。
蓮くんはヌコヌコ動画で巨大変身ヒーロー特撮番組「エニグマン」のいわゆるMAD動画を見つけたらしく、私もついこの前初代のリメイク版映画である『シン・エニグマン』を見たのでタブレット端末を手に取ると画面を眺めた。
『エニグマンが拉致されて、腹筋ボコボコにパンチ食らって、額のランプが点滅するとあと3分で力尽き果てる。その時のエニグマンの苦しむ姿にドキドキするって』
「こっ、こんなの見ちゃいけません!! アプリに年齢制限かけとくからね!!」
「えー、おもしろかったのにー」
蓮くんが見せてきた動画の内容はエニグマンのコスプレをした男性が捕らえられて不健全なことをされている映像であり、私はいくら何でも6歳児が見ていい動画ではないと考えてヌコヌコ動画のアプリに勝手に年齢制限を設定した。
「……そんな感じで、現代の日本では子供が知らずに不健全な動画を見ちゃったりするんですよ。専門用語でエルサゲートとか言うらしいんですけど、子供が好きな題材で不健全な二次創作をしないで欲しいですよね」
『それは嘆かわしい問題ですね。6歳のお子さんであれば絵本や童話などに親しんだ方がよほどよいと思いますが、今時の子供は目が肥えていますから地味な昔話などには興味がないのかも知れませんね』
帰宅後、私の部屋に居候している幽霊の一人である幽魔たそに先ほどの話を伝えると、幽魔たそはどこからか召喚した抹茶を飲みながら答えた。
『私が生きた明治の世にも同じような問題はありまして、当時の堀江家のお坊ちゃんが童話などつまらないというので図書館に行って刺激的な物語を読ませて差し上げたことがありました。といっても日本の昔話なのですが』
「へえー、そんな刺激的な昔話があるんですか? 今の図書館でも借りられますかね?」
『探してみればあると思いますよ。今から私を肩に乗せて図書館まで連れて行って頂けませんか?』
幽魔たそは生前は堀江有紀先輩の先祖に仕えていた使用人の一人だったので同じような経験をしたことがあるらしく、先人の知恵を借りたいと思った私はそのまま図書館に行くと幽魔たそが指定した本を借りてきた。
そして数日後、私は借りてきた本を蓮くんに読み聞かせてあげることにした。
「蓮くん、昔話は最近では世の中の変化に合わせて修正されてるけど、元々のお話も面白いんだって。この『いちばんはじめの昔話』っていう本では元々のお話が子供でも読めるように書かれてるらしいから、今から読んであげるね」
「ありがとうまなおねえちゃん! ぶあついほんだからどのおはなしをよむかぼくがきめていい?」
「もちろんいいよ。読みたいお話が見つかったら教えてね」
蓮くんはそう言うと私から書籍『いちばんはじめの昔話』を受け取り、蓮くんはひらがなは既に読めるので振り仮名を頼りに中身を確認し始めた。
「あっ、ももたろうのおはなしだ。えーと、かわでひろってきたももをたべたおじいさんとおばあさんがわかがえって、ふたりのあいだに」
「こんな本読んじゃいけません!!!」
音読を始めた蓮くんから書籍を奪い取り、私は昔話が現代ではマイルド化せざるを得ない理由を理解した。
(続く)
「まなおねえちゃん、このまえヌコヌコどうがでおもしろいどうがをみつけたんだよ! エニグマンがてきにつかまるやつ!!」
「へえー、そんなに面白いの? 私もこの前エニグマンの映画見たけど」
ある日曜日の昼、お母さんに頼まれてお隣さんにお届け物をしに行った私は6歳児の村田蓮くんにタブレット端末の画面を見せられた。
蓮くんはヌコヌコ動画で巨大変身ヒーロー特撮番組「エニグマン」のいわゆるMAD動画を見つけたらしく、私もついこの前初代のリメイク版映画である『シン・エニグマン』を見たのでタブレット端末を手に取ると画面を眺めた。
『エニグマンが拉致されて、腹筋ボコボコにパンチ食らって、額のランプが点滅するとあと3分で力尽き果てる。その時のエニグマンの苦しむ姿にドキドキするって』
「こっ、こんなの見ちゃいけません!! アプリに年齢制限かけとくからね!!」
「えー、おもしろかったのにー」
蓮くんが見せてきた動画の内容はエニグマンのコスプレをした男性が捕らえられて不健全なことをされている映像であり、私はいくら何でも6歳児が見ていい動画ではないと考えてヌコヌコ動画のアプリに勝手に年齢制限を設定した。
「……そんな感じで、現代の日本では子供が知らずに不健全な動画を見ちゃったりするんですよ。専門用語でエルサゲートとか言うらしいんですけど、子供が好きな題材で不健全な二次創作をしないで欲しいですよね」
『それは嘆かわしい問題ですね。6歳のお子さんであれば絵本や童話などに親しんだ方がよほどよいと思いますが、今時の子供は目が肥えていますから地味な昔話などには興味がないのかも知れませんね』
帰宅後、私の部屋に居候している幽霊の一人である幽魔たそに先ほどの話を伝えると、幽魔たそはどこからか召喚した抹茶を飲みながら答えた。
『私が生きた明治の世にも同じような問題はありまして、当時の堀江家のお坊ちゃんが童話などつまらないというので図書館に行って刺激的な物語を読ませて差し上げたことがありました。といっても日本の昔話なのですが』
「へえー、そんな刺激的な昔話があるんですか? 今の図書館でも借りられますかね?」
『探してみればあると思いますよ。今から私を肩に乗せて図書館まで連れて行って頂けませんか?』
幽魔たそは生前は堀江有紀先輩の先祖に仕えていた使用人の一人だったので同じような経験をしたことがあるらしく、先人の知恵を借りたいと思った私はそのまま図書館に行くと幽魔たそが指定した本を借りてきた。
そして数日後、私は借りてきた本を蓮くんに読み聞かせてあげることにした。
「蓮くん、昔話は最近では世の中の変化に合わせて修正されてるけど、元々のお話も面白いんだって。この『いちばんはじめの昔話』っていう本では元々のお話が子供でも読めるように書かれてるらしいから、今から読んであげるね」
「ありがとうまなおねえちゃん! ぶあついほんだからどのおはなしをよむかぼくがきめていい?」
「もちろんいいよ。読みたいお話が見つかったら教えてね」
蓮くんはそう言うと私から書籍『いちばんはじめの昔話』を受け取り、蓮くんはひらがなは既に読めるので振り仮名を頼りに中身を確認し始めた。
「あっ、ももたろうのおはなしだ。えーと、かわでひろってきたももをたべたおじいさんとおばあさんがわかがえって、ふたりのあいだに」
「こんな本読んじゃいけません!!!」
音読を始めた蓮くんから書籍を奪い取り、私は昔話が現代ではマイルド化せざるを得ない理由を理解した。
(続く)
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