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2019年12月 生理学発展コース
246 明確な拒絶
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クリスマスコンサートはそれからも笑いと涙と感動を織り交ぜつつ進み、アンコールの1曲を最後に終了となった。
雅人は理子と同じタイミングで笑い、涙し、感動に身を打ち震わせて、コンサート会場の中で彼女と一体となった感覚さえ味わっていた。
「柳沢君、コンサートすごく良かったね! 私、クリスマスに真田さんのコンサートに行けて良かった」
「俺もそう思います! また来年も先輩と一緒に行きたいです!!」
街路樹の並ぶ通りを阪急の駅に向けて歩きながら、雅人は左隣を歩く理子と会話を続けていた。
楽しいコンサートは理子との関係に悩んでいた雅人の気を晴らしてくれて、2人はハイテンションのままコンサートの感想を語り合っていた。
「うん、全然いいよ。それまでにもっと仲良くなれたらいいね」
理子がそう言った時、雅人は何かに突き動かされるような感じがして街路樹の下で立ち止まった。
「どうしたの?」
「……あの、先輩。この機会に改めて言いますけど、俺、先輩のことが本気で好きです」
不思議そうな表情をした理子に雅人は真剣な口調で言った。
「ありがとう。もちろん、お互い好きだから付き合ってる訳だしね」
笑顔を浮かべて明るく答えた理子に、
「……じゃあ、先輩は俺が先輩とキスしたいって言ったらどう思いますか?」
「えっ?」
強い衝動に突き動かされた雅人は一息に質問を投げかけた。
「え、えーと……」
「すみません。いきなりこんなこと言われたら戸惑って当然ですよね」
「いや、違うの! 柳沢君とキスする覚悟ぐらい、私はできてる。お互い大学生だしそれぐらい大丈夫」
「本当ですか!?」
理子は思ったよりも積極的な態度に出てくれて、雅人はそのことに嬉しさを感じた。
「だから、今、してもいいよ。……どうぞ」
「先輩、ありがとうございます。……軽く、しますから」
街路樹の下で理子は緊張しながら言うと目を閉じた。
雅人もそれ以上に緊張していて、震える両手で理子の両肩を掴むとそのまま人生初めてのキスを彼女と交わそうとした。
そして、雅人の顔がついに理子の顔へと接近した時。
「……!!」
理子は突然目を見開き、
「……嫌っ! 気持ち悪い!!」
明確な拒絶の意思を表す言葉を叫ぶと、両腕で雅人を突き飛ばした。
女性の腕力では突き飛ばされても驚いて倒れた程度の衝撃に留まったが、信じられない理子の反応に雅人は硬直した。
「あっ! ごめん柳沢君、緊張しちゃってつい手が出ちゃった。本当にごめん! もう1回付き合うから!」
倒れた雅人を慌てて介助し起き上がらせつつ理子は先ほどの行為を謝罪した。
「いや、こちらこそいきなり無理なお願いして申し訳なかったです。……今日はもういいんで、また今度お願いします」
理子のあまりにも明確な拒絶には驚いたが、これはいきなりキスを求めた自分自身の強引さに原因があると感じて雅人は恐縮しつつそう言った。
「柳沢君……ごめんね。私も、今度はちゃんと付き合えるようにするから」
理子の「付き合う」という表現には違和感を感じたが、男性と交際した経験がなさそうな彼女はまだ覚悟が固まっていないのだろうと考えて雅人はそれ以上彼女を追及しなかった。
神戸三宮駅から電車に乗り込み、雅人は西宮北口駅で降りる理子を見送った。
「それじゃ、今日はコンサート楽しかったよ。柳沢君、また真田さんのイベントがあったら行こうね」
「ええ、ぜひ行きたいです。先輩、帰りはお気をつけて」
乗客もまばらになりつつある夜の電車内で別れの挨拶をすると、理子は手を振りながらホームへと去っていった。
雅人は理子と同じタイミングで笑い、涙し、感動に身を打ち震わせて、コンサート会場の中で彼女と一体となった感覚さえ味わっていた。
「柳沢君、コンサートすごく良かったね! 私、クリスマスに真田さんのコンサートに行けて良かった」
「俺もそう思います! また来年も先輩と一緒に行きたいです!!」
街路樹の並ぶ通りを阪急の駅に向けて歩きながら、雅人は左隣を歩く理子と会話を続けていた。
楽しいコンサートは理子との関係に悩んでいた雅人の気を晴らしてくれて、2人はハイテンションのままコンサートの感想を語り合っていた。
「うん、全然いいよ。それまでにもっと仲良くなれたらいいね」
理子がそう言った時、雅人は何かに突き動かされるような感じがして街路樹の下で立ち止まった。
「どうしたの?」
「……あの、先輩。この機会に改めて言いますけど、俺、先輩のことが本気で好きです」
不思議そうな表情をした理子に雅人は真剣な口調で言った。
「ありがとう。もちろん、お互い好きだから付き合ってる訳だしね」
笑顔を浮かべて明るく答えた理子に、
「……じゃあ、先輩は俺が先輩とキスしたいって言ったらどう思いますか?」
「えっ?」
強い衝動に突き動かされた雅人は一息に質問を投げかけた。
「え、えーと……」
「すみません。いきなりこんなこと言われたら戸惑って当然ですよね」
「いや、違うの! 柳沢君とキスする覚悟ぐらい、私はできてる。お互い大学生だしそれぐらい大丈夫」
「本当ですか!?」
理子は思ったよりも積極的な態度に出てくれて、雅人はそのことに嬉しさを感じた。
「だから、今、してもいいよ。……どうぞ」
「先輩、ありがとうございます。……軽く、しますから」
街路樹の下で理子は緊張しながら言うと目を閉じた。
雅人もそれ以上に緊張していて、震える両手で理子の両肩を掴むとそのまま人生初めてのキスを彼女と交わそうとした。
そして、雅人の顔がついに理子の顔へと接近した時。
「……!!」
理子は突然目を見開き、
「……嫌っ! 気持ち悪い!!」
明確な拒絶の意思を表す言葉を叫ぶと、両腕で雅人を突き飛ばした。
女性の腕力では突き飛ばされても驚いて倒れた程度の衝撃に留まったが、信じられない理子の反応に雅人は硬直した。
「あっ! ごめん柳沢君、緊張しちゃってつい手が出ちゃった。本当にごめん! もう1回付き合うから!」
倒れた雅人を慌てて介助し起き上がらせつつ理子は先ほどの行為を謝罪した。
「いや、こちらこそいきなり無理なお願いして申し訳なかったです。……今日はもういいんで、また今度お願いします」
理子のあまりにも明確な拒絶には驚いたが、これはいきなりキスを求めた自分自身の強引さに原因があると感じて雅人は恐縮しつつそう言った。
「柳沢君……ごめんね。私も、今度はちゃんと付き合えるようにするから」
理子の「付き合う」という表現には違和感を感じたが、男性と交際した経験がなさそうな彼女はまだ覚悟が固まっていないのだろうと考えて雅人はそれ以上彼女を追及しなかった。
神戸三宮駅から電車に乗り込み、雅人は西宮北口駅で降りる理子を見送った。
「それじゃ、今日はコンサート楽しかったよ。柳沢君、また真田さんのイベントがあったら行こうね」
「ええ、ぜひ行きたいです。先輩、帰りはお気をつけて」
乗客もまばらになりつつある夜の電車内で別れの挨拶をすると、理子は手を振りながらホームへと去っていった。
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