つぶれろ! モギモギくん

輪島ライ

文字の大きさ
1 / 1

つぶれろ! モギモギくん

しおりを挟む
「あああああああ、塾行きたくねえええええええ、一日中パケモンのランクマで遊びまくりてえええええええええ」

 反知はんち性一せいいち君は東京都内在住の小学5年生。4年生から中学受験塾に通わされ始めたセーイチ君は現在冬休み中で、来年度に迫った中学受験に向けて今日は昼前から塾に行かなければなりません。といってもセーイチ君は別に中学受験で難関校に行きたい訳ではないので、冬休みの今日ぐらいヨンテンドージョイッチでゆっくり遊びたいと思っていました。

「大体大学受験なんてものがあるからいけないんだ、鶴亀算とか旅人算なんて中学行ったら使えないし中高の物理学って何か大学レベルだと古典力学とか言われるらしいし(知らんけど)、さらなる受験勉強のための受験勉強なんてもううんざりだ!」
「そうかいそうかい、じゃあボクが君の力になるよ!!」

 セーイチ君がこましゃくれた小学生にありがちな不満を口に出していると、天井から小さな妖精っぽいおじさんが飛び出してきました。

「うわっ誰だぁお前!!」
「ボクは子どもたちの味方、超科学妖精のモギモギくん! ボクは君みたいな受験勉強に苦しむ子どもたちを救うためにイキリアサイエンス界からやって来たのさ!」
「はえーすごそう(知らんけど)。で、君に頼めば俺は受験勉強しなくていいんだよね?」
「もちろん! この世界の原理なんてボクの超科学パワーがあれば一網打尽さ! つぶれろ、中学受験!!」

 モギモギくんがそう言った瞬間、この世界から中学受験という文化は消滅しました。

「うわっ、何か今から一日中パケモンで遊び呆けていい気がしてきたぞ! 高校受験もお願いできる?」
「もちろんさ! つぶれろ、高校受験!」
「ヒャッホー! でも肝心なのは大学受験なんだよなあ……」
「お任せあれ! つぶれろ、大学受験! つぶれろ、大学院受験! ついでにつぶれろ小学校受験!!」

 そうしてこの世界から学校の受験という文化は消滅し、セーイチ君はいつでもパケモンで遊んでいてよくなったのです。

 セーイチ君が喜んでいるうちにモギモギくんは著作の原稿を書くためイキリアサイエンス界にさっさと帰り、セーイチ君は友達とパケモンで通信がしたくなり家の外に出ました。

 すると……

「貴様ぁっ、今日は何の日か忘れたのか! 庶民の子どもが工場勤務をさぼって自宅で遊んでいるとは嘆かわしい!!」
「はいっ!?」

 セーイチ君の家の周りをパトロールしていた兵隊は、セーイチ君を叱りつけると持っていたライフル銃を向けました。

「この国では貴様のような庶民階級は死ぬまで工場で働き続けるのが常識だろう! そのように貴族階級のような暮らしがしたければ成人してから戦場に行って活躍しろ! 役に立たない庶民の学問など、つぶれろ、つぶれろ、つぶれろ!!」
「ぎゃああああああああ元の世界に戻してくれええええええええ」

 セーイチ君が兵隊に引きずっていかれながら叫んでも、もはや元の世界に戻ることはできません。

 中学受験も高校受験も大学受験も、庶民が立身出世するための学問など必要ないと彼は判断してしまったのですから。


 つぶれろ、つぶれろ、つぶれろ!!

 (完)
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

意味がわかると怖い話

井見虎和
ホラー
意味がわかると怖い話 答えは下の方にあります。 あくまで私が考えた答えで、別の考え方があれば感想でどうぞ。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

10秒で読めるちょっと怖い話。

絢郷水沙
ホラー
 ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)

処理中です...