冷遇された公爵子息に代わって自由に生きる

セイ

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番外:仲間たち

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ファイから伝言を預かったカルラは街に居るだろう仲間たちを探していた。

「ん~…あ、居た。また飲みまくってやがるなアイツら…」

とある酒場の裏に舞い降りると同時に人に変身した。羽根の色と同じ赤と金が交じる長髪の美丈夫。

「いちいち人化すんのもめんどくせぇな…」

主であるファイから店など人が多い場所には人化して行けと言われている。魔獣の姿で入ると攻撃されて面倒な事になるからだ。攻撃して来た奴らを殺せば済む話だと言ったら1週間魔力を貰えなくて餓死するところだった。
従魔になると主からの魔力供給も必須になるから魔力を貰えないと死んでしまうのだ。

それからはなるべくファイには逆らわないように気をつけている。

伝言を伝える為に酒臭い酒場へ入って行った。
酒場の奥の方に三人の男がテーブルいっぱいに酒瓶を広げ呑み明かしていた。

「おい。お前らは酒を呑みにくるしかやる事はねえのか?」
「お…カルラじゃん。ファイは一緒じゃねえのか?」

こいつはこのパーティーのタンクをしているコーガ。
虎族の体躯がデカい男だ。力自慢の男だったが、ファイに負けてからファイに勝つまで着いてくといってパーティーに入った男。未だに勝てていない可哀想な奴だ。

「…ファイに番が出来た。その番と先に戻るってよ」

「はっ!?ファイに!?どんな子!?可愛い!?」
「…お前手ぇ出したら殺されるぞ?我もめっちゃ牽制されたぞ」
「出すわけないじゃ~ん。興味があるだけ!!」
「う~ん…ちっこいガキだったなぁ。だが、銀髪で美しい顔してた。そんで魔力は相当良さそう…一度は食うてみたい魔力だな」
「へぇ~カルラがそこまで言う程の魔力かぁ…もっと興味わいちゃったなぁ…」

この男は国一番と言われているエルフの魔術師のサイール。滅多に外に顔を出さない引きこもりエルフと違って里から降りて人の街に来た変わり者。真面目そうな顔して中身はめちゃくちゃチャラい奴。頭のネジ1本は確実に取れてるイカれた奴だ。魔術にしか興味がない。

「何それ何それ!!めっちゃ気になる!!僕たちも戻ろうよ!!何なら途中合流しちゃおうよ!!」

こいつはパーティーの斥候を務める元孤児の黒猫のルトラ。可愛らしい女の姿をしているがれっきとした男。斥候とは言っているがほぼ暗殺者だ。身を潜め獲物をこっそり殺すことが得意な奴。偵察暗殺何でもこなす。ファイに助けられた事でファイを崇拝していると言っていい程に懐いている。身体が小さい事に悩んでいたらしいが最近は便利だとよく女装までしている…。

「伝言はしたからな。我は戻る。臭くてかなわん…」
「あ…!カルラ!ファイに伝言!追いかけるからよろしく言っといて!」
「…了解」
「番ちゃんにお土産持ってく?甘いの好きかなぁ?僕のお気に入りのお菓子買っていこうかなぁ」
「買うなら酒だろ。酒1択!」
「それコーガが呑みたいだけじゃん?魔術書とかどう?」
「それこそサイールしか欲しがらないでしょ?」

こんな我が強い奴らが集まったパーティーは滅多にないだろう。それが戦闘になると綺麗な連携で負け知らず。面白い奴らだ。

さて、我は一足先にファイの元へもどるとするか…。
帰りに魔獣を狩りながら帰ろう。暇だし。









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