冷遇された公爵子息に代わって自由に生きる

セイ

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12.告白

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追っ手が近くまで来たということですぐファイの活動拠点の王都まで進み始めた。

最初は順調に進んでいたが、やはり追っ手が来たことによる精神的ストレスがかかったのか、俺は少しの物音にも反応し、動きも鈍るという、ファイに多大なる迷惑をかけてしまっていた。

気にするなと言われても、どうしても申し訳なくなってしまっている。

自分はもっと精神的に強い人間だと思っていた。
家族と離れる事に関しても特に何も感じることなく、一人で生きていけると、そう思って何の迷いもなく出てきたというのに。
なのにどうだ。このザマは。
こんな弱い自分にも腹が立ってイライラしている。
人にも迷惑かけて情けない。

「…ル、ナ……ナル!!」
「!!え…あ…ファイ…何?」
「…ここで野営するぞ。俺が見える範囲で薪に使えそうな枝探してこい」
「え…まだ明るいよ?まだ先進めるんじゃ…」
「お前がそんな状態で進む方が危険だ。一回休もう」
「あ…その…ごめん…はぁ…」
「お前に何言っても抱え込むということがわかったからな。今日はゆっくり話そうか。話せる事だけでいいから」

ほら…ホント情けない…ファイにこんなに気を使わせてしまった。俺ってば凄く面倒くさい奴になってる…?
こんな状況なのに更に俺の事を話せば…嫌われるんじゃない…?

「…はぁ…ナル…何泣いてんだ?大丈夫だから。枝も集めたから火起こして少し座ってろ?な?」

ぐすっ…ファイが優しすぎる…!!

全部話すか…。例え嫌われたとしてもこの思い出だけで生きていけるんじゃないかな…。
さっさと話して軽くなりたい。

「はぁ…。緊張する…」
「ナル…少しは落ち着いたか?食事しながら話そう。食べたいもの出してくれるか?」
「ん…」

俺を抱えるように後ろに座るファイ。
やっぱりこの温もりは安心する。

「…ナル。手を握っててやるから安心していい。何か話せることはあるか…?」
「……俺…」

緊張で指先が酷く冷たい。

「俺の本当の名前はナサニエル・ラージェン。公爵家の次男だ。そして…俺は本当のナサニエルじゃないんだ…」
「?本当のナサニエルじゃないとはとういうことだ?影武者ということか?」
「本当のナサニエルは死んでいる…。死んだナサニエルの身体に俺の魂が入ったということだ。俺はこの世界ではない違う世界で死んだ魂なんだ」
「……家族から逃げてるというのは?」
「前に少し話したと思うけど、母が亡くなってから俺は父と兄に冷遇され続けて軟禁されナサニエルは一人淋しく死んだんだ。ナサニエルの身体で俺が蘇ったとしても、俺はあの家族を家族と思えなくて。家の為に利用されるのは御免だったから、そうなる前に家から出たんだ。10年だ。ナサニエルが倒れて10年もの間生かされてた。必死に生かしてたということは利用価値がまだあったんだろうね…そしてナサニエルが誰にも知られず死んだ瞬間に俺が入った。誰もナサニエルが死んだことはわかってないと思う…」
「本当のお前の名は?」
「…覚えてないんだ何も。自分の事。死んでナサニエルに会った時にはもう何故自分が死んだのかも覚えてなかった。ナルっていうのはナサニエルの名前から取った仮の名前だ。この身体は俺のモノじゃないんだ。ファイの番は本当は俺じゃないかも…!」
「身体はナサニエルでも魂はお前だろ?俺には公爵家も何も関係ないな。お前がお前であるならそれが全てだ。お前から離れる理由にならないよ」
「…っでも…!ファイの本当の番はナサニエルだったかもしれない…!!俺がナサニエルの番を取ってしまったのかも…!!」
「運命の番は魂の繋がりだ。公爵家のナサニエルじゃなくて魂のお前との繋がりだ。俺の番はお前だけだ。怯える事はない。お前は俺のものだ。」
「うっ…うぅ~…ファイ…ファイ…ありがとう…」

ファイは変わらず俺を愛してくれてる…。
俺自身を愛してくれてた…。
番はちゃんと俺だった…!離れなくてもいいって!
嬉しい…!

「ナルが俺から勝手に離れたって、絶対探し出して2度と離れないように監禁すっからな。そうさせないでくれよ?俺はまだまだお前と旅をしたいからなぁ…」
「監禁はもう勘弁…」
「お前とナサニエルの事はわかった。あとは公爵家だな。流石に俺も公爵家相手だと出来ることは限られてくるな…。戦うだけなら勝てるけど…地位を出されるとどうにもならねぇな…」
「面倒な貴族社会に巻き込んでごめん…」
「ふふっ…愛する番の為なら苦じゃないさ」

ぎゅうっと抱きしめられると不安がなくなっていく。
全てを話したからだろうか。
ファイに隠し事をしなくて良くなったからか。

俺はこんな俺を愛してくれるこの番を全力で愛する事を改めて誓った。

「お前の国の公爵家といえば…最上位種の竜人族…じゃなかったか?」
「うん。俺竜人族だよ」
「お前が強いって言ってた理由は竜人だからか…」
「それもあるけど…実は生まれ変わった時に創造神の加護も頂いてるんだよ。その加護のお陰で魔法は何でも使える感じかなぁ。ただ俺の知識が乏しいから使える魔法はまだ少ししかないんだけど」
「これから覚えていけばいいさ」
「うん。これからもよろしくね?」
「お前が俺から離れたらどうしようかと思ったぜ…」
「俺も…ファイに嫌われたらどうしようってずっと思ってた…」
「お前を嫌うことは一生ないな」
「ふふっ…俺も。ずっと大好き…」

ちゅっちゅっと顔中にキスを落とされる。
最後に唇に深いキスされると気持ち良くてふわふわとしていく。
「はぁ…野営だとこれ以上はダメだな…。くそ…可愛いな…抱きてぇぇぇ~…」

ファイの雄顔見ると自分のお腹の奥がきゅうっとするのがわかった。
俺も欲しい…と思うけど…。

イチャイチャしてたらすぐ側でガサガサと物音がした。
ビクリと体を跳ねさせるとファイが俺を抱えながら剣を構える。

「まてまてまて!!俺達だ!!ファイ!!剣降ろせ!!」
「…コーガたちか?追いつくの早くね?」
「めっちゃ急いで来たからね!!」
「それがお前の番?初めましてぇ~番ちゃん!!」
「…勝手に見るな。離れろ!」
「えぇ~いいじゃんもったいぶるなよぉ~」
「どうせ番ちゃんもパーティーに入るんだろ?挨拶させろ~」
「お前らうっさい!!魔物近づいて来たらどうすんだ!静かにしろ!!」
「お前が一番うるさくね?」
「お前らのせいだろうが!!散れ!!」

物音の正体は追いついたファイのパーティー仲間っぽい?

何かこの旅が賑やかな楽しい旅になりそうで、俺はファイたちのやり取りをこっそり眺めてた。







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いつの間にかお気に入りが200件を越え、もうすぐ300件に届きそうな事にびっくりしております。沢山の♡もありがとうございます!!
執筆するのに励みになります。

これからもよろしくお願いします(*^^*)/
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