異世界に落とされた兄弟は幸せになりたい

セイ

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愛される

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テオの部屋に案内されて向かっているが、テオが何故か緊張?してるようで一言も喋らない。その緊張が伝わって俺も黙る。

俺がテオに呼ばれてる間、弟たちの子守りを引き受けてくれたのはやっぱりライさんで…お菓子でお腹いっぱいになってお昼寝タイムになって静かになってくれている間に用事を済ませておきたい。ライさんは笑って「いいよいいよーゆっくりしておいで」なんて言ってくれてるけど、ずっとライさんに任せっぱなしは良くない。

「コハクこっちだ。遠慮せず寛いでくれ」

そう言われて入ったお部屋はシックなお部屋で無駄がない…綺麗な部屋だった。
流石いいとこの坊ちゃん…。坊ちゃんは失礼か。
部屋の中央にある大きなソファに2人で並んで腰を掛けた。

「あの…お話とは…?」
「…ステータスに番と…あっただろう?その話をな…」
「ああ!あれってどう意味なんでしょうか?」
「まずは…君は番について知っているだろうか?」

番ってラノベあるあるのやつ…だよね?深い絆で結ばれる夫婦みたいな?

あれ?テオの番って…もしかしてそーいうこと!?
番について何も話してないのに何でいきなり!?

「あー…魂で結ばれる夫婦…みたいな感じです…よね?」
「…知っていたか…私の想いが強かったのかステータスには俺の番となっていたが…君を蔑ろにするつもりはない。ただ俺にとって君は運命の番である事は間違いなく、俺はすでに君を深く愛している」
「え…会って間もないのに…?」
「番を持つ種族は番が本当でわかる。俺の種族は龍人だ。龍人の番関係はとても特殊で番と認めない限り夫婦関係にはならない。龍人の寿命はとても長く、気長に番を探したりもする。そのまま番と会えず死する者も少なくはない。更に運命の番ともなれば更に繋がりを大事にする。普通の番よりも更に魂との結びつきが強いものになる。出会えるのは奇跡と言われている。そして俺と君は運命の番だ…。俺にとって君は唯一無二の存在だ。俺の伴侶は君しかいない。人族は番を感じる事は出来ないが、だからと言って…君に無理強いをするつもりはないが…俺の事を少しでも考えてはくれないだろうか?」

ラノベあるある。龍人の溺愛コースですか!?
龍人の番はもうそれこそでろ甘なイメージなんですけど…!?
もっと言うと流されて流されていつの間にか番にされるパターンとかあるけど…この人は俺を尊重してくれている…。

「テオはもう俺を番として認識しているのに、俺に関係を委ねてくれるのですか?」
「あぁ…そうだな…君が大事だからこそ君の気持ちを大切にしたい…」

そう言いながら俺に触れる手はとても優しくて温かい…。
頬を撫でる手が気持ちよくて自分から頬擦りしてしまう程に。

俺がテオの伴侶…俺の今の気持ちは嬉しいと思ってる。たぶん初めて見た時から好きになっていたのは確か。だって今までこんなドキドキした事ないし…。子供扱いが嫌なのもそういう事なんだろう。

「俺もテオの事好き…なんだと思う…。テオの側はとても安心するし…触れられるの…好き…。」
感極まったみたいにぎゅっと抱きしめてくれるテオに俺も抱き返した。
「本当に?あぁ…なんて奇跡だ…。運命をこの手にできるなんて…!!コハク…好きだ。この世界に来てくれてありがとう」
「ふふっ…俺の方こそ…俺たちを見つけてくれてありがと…」
「最初に出会った時は君はまだ成人しているか分からなかったから手を出す事を必死に我慢していた…」
「あぁ…だから年齢聞いて驚いてた?俺そんな子供に見えた?」
「すまん…15~16歳くらいだと…こっちの世界だと君くらいの身長だとそのくらいの年齢なものだから…俺としてはとても可愛くて腕の中に収まる感じがしっくりくるからいいけどな」
「…そんなにサイズ違うの…!?えぇ~…なんかショック…」
「コハク…君に口付けをしても?」
「うへっ…!?あ…んんっ…ちゅっ…」

返事をする間もなくテオな唇を塞がれてしまった。
初めてのキスはとても甘くて優しくて…気持ち良かった…。
目を開くと目の前にテオの綺麗な瞳と目が合い恥ずかしくてまた目を瞑ってしまった。
ちゅっちゅっ…と唇を喰まれながらキスが終わると俺は息も絶え絶えで、笑顔のテオに縋り付くことしか出来なかった。

「君は今から俺の伴侶だ。そのような可愛い顔をするのは俺の前でだけだぞ」

耳元で言われた言葉に俺は必死にコクコクと頷いた。
これぞ龍人の溺愛の片鱗ですか…?
ニヤリと笑うテオがかっこよすぎて鼻血出そう…。
こんなカッコイイ人が俺の旦那でいいんですか!?

「父上にはもうコハクは俺の番と報告してある。フィンレー家はもう君たちの家族だ。君たちを全力で守るよ」
「…家族…嬉しい…。両親は事故で亡くなって弟たちには寂しい思いをさせていたので…家族ができるのは嬉しいです…」
「他の家族にもそのうち会わせよう。母と兄上たちは王都の方に居るから今すぐとはいかないが…」

王都にいるってことは俺の魔法次第…かな?
それともこちらに来るのかな?

「ありがとうございます…」
「…コハク…さっきのように言葉は崩してもらって構わない。敬語だと距離を感じる…」
「え…あ…うん…これからよろしくテオ…」

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