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胸騒ぎ
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今日は朝から何か胸騒ぎを感じていた。
朝食を食べていたらギルドカードに緊急依頼招集の連絡が来た。滅多に来ない緊急招集。急いで朝食を平らげてすぐさまギルドへ向かった。
「お、テオも呼ばれたん?」
「あぁ。ライもか?」
「もー…久々の休みだったから寝まくろうと思ってたのにさぁ。朝から起こされて最悪ー」
コイツは同じ冒険者仲間のライオット。同じS級ということで一緒に依頼を受けることもしばしば。
そんなライオットと同時に招集ということは手強い依頼なのだろうか…?
二人でギルドに入るとざわつきが大きくなる。まぁS級が二人も来れば仕方ないかもしれないが、そんな視線を無視して受付に向かう。
「S級のテオドールだ。ギルマスに取り次いでくれ」
「はい。お話は聞いております。すくにギルマスの執務室へ案内いたしますのでこちらへどうぞ」
ギルマスの執務室に案内され部屋の中に入ると積み重なる書類の間からギルマスのライガが顔を覗かせる。
「スマン。ちょっとソファーに座って待っててくれ」
「こちらお茶です」
「ありがとう」
暫くお茶を飲みながら待っていると、大きな溜息をつきながらドカッとソファーに座った。
「待たせたな。二人にはある場所へ赴いて欲しい」
「どこー?」
「……精霊の森だ…」
「「……は?」」
俺達は場所を聞いて思わず呆けてしまった。
それ程、思ってもみなかった場所だった。
「何故精霊の森に?あそこは周辺諸国も暗黙の了解で誰も入らないという不可侵の場所なはずだ」
「そうそう、何でそんな面倒くさいとこ行かなきゃいけないのさぁー」
「先程精霊の森に大きな魔力と空間の歪みが確認された。これは宮廷魔法師である大婆様からの情報なので先ず間違いはないだろう」
大婆様と言えば1000年以上王宮魔法師として活躍されてるエルフだ。魔力の察知などお手の物だ。
「その空間の歪みからこちらへ何が来たのか確認してこい…と?」
「そうだ。精霊の森に1番近いこのイールの街でお前たちがいるということで、緊急依頼が来た」
「これは状況次第で如何様にもしていいのか?」
「まぁ、お前たちに任せるがなるべく物的証拠になるものは持ち帰って貰いたい」
「了解した。ライ行くぞ」
「はぁ~い。これ終わったらちゃんと休ませてよね~?」
俺達は異空間収納から戦闘用の装備を出して身に着けて出発した。
このイールの街から精霊の森まで近いと言っても徒歩で約半日かかる。
が、俺は竜人、ライは黒狼の獣人。身体強化をかけて走れば2時間程で着く。ちなみに竜人の俺は翼を出せば飛べるので更に早く着くが…ライが飛べないのでライに合わせて走っている。
「見えてきたな…」
「んー…パッと見特に何も異常なさそうだけどねぇ。もっと奥の方かな?」
探索魔法で確認してみたが特に異常はなさそうだ。魔物もある程度いるが強い魔物がいるわけでもなくいつもと変わらない。
ライの言う通り何かあるならもっと奥の方なのだろう。
だが…何なんだろうか…。
朝の胸騒ぎが強くなった気がする。
「早く中に入ろう」
「ん…?そんな急いでどうしたん?」
「朝からなんとなく胸騒ぎを感じていてな。それが強くなった気がする。早く行かなくてはならないような何かがあるような…。」
「ふーん…お前の勘って良く当たるからなぁ。何かあるのかもね。じゃ、さっさと行こっか」
ライの言葉を最後に俺達は精霊の森を走り抜ける。
十数分程走ってだいぶ精霊の森の中心近くまで来た。
それでも問題になるようなものは見当たらない。
なのに俺の心臓はバクバクと早鐘を鳴らし続けている。
何なんだこれは。早くしないと間に合わないと警鐘が鳴り響いているのに何も見つからない。焦りだけがどんどん増している。
「おいテオ!!何をそんなに焦ってる?」
いつも冷静なテオがここに来て異常に焦っている様子を見てライも少し緊張が増してしまっている。
「少し落ち着け!見つかるもんも見つからねえぞ!?」
「わかってる…わかっているがそれでも……!!」
とりあえず気持ちを落ち着かせようとすたその時この森に似合わぬ声が聞こえた。
……ぅえええぇぇーん……えぇぇぇん……
「子供の泣き声?!」
「何でこんな所に子供がいんだよ!?」
こんな深い森の奥まで子供が来れるわけがない。それこそ異常で大問題な事だ。
「声は…こっちからか!!急ぐぞライ!!」
「あいよ!」
二人は声のする方へ全速力で走った。
朝食を食べていたらギルドカードに緊急依頼招集の連絡が来た。滅多に来ない緊急招集。急いで朝食を平らげてすぐさまギルドへ向かった。
「お、テオも呼ばれたん?」
「あぁ。ライもか?」
「もー…久々の休みだったから寝まくろうと思ってたのにさぁ。朝から起こされて最悪ー」
コイツは同じ冒険者仲間のライオット。同じS級ということで一緒に依頼を受けることもしばしば。
そんなライオットと同時に招集ということは手強い依頼なのだろうか…?
二人でギルドに入るとざわつきが大きくなる。まぁS級が二人も来れば仕方ないかもしれないが、そんな視線を無視して受付に向かう。
「S級のテオドールだ。ギルマスに取り次いでくれ」
「はい。お話は聞いております。すくにギルマスの執務室へ案内いたしますのでこちらへどうぞ」
ギルマスの執務室に案内され部屋の中に入ると積み重なる書類の間からギルマスのライガが顔を覗かせる。
「スマン。ちょっとソファーに座って待っててくれ」
「こちらお茶です」
「ありがとう」
暫くお茶を飲みながら待っていると、大きな溜息をつきながらドカッとソファーに座った。
「待たせたな。二人にはある場所へ赴いて欲しい」
「どこー?」
「……精霊の森だ…」
「「……は?」」
俺達は場所を聞いて思わず呆けてしまった。
それ程、思ってもみなかった場所だった。
「何故精霊の森に?あそこは周辺諸国も暗黙の了解で誰も入らないという不可侵の場所なはずだ」
「そうそう、何でそんな面倒くさいとこ行かなきゃいけないのさぁー」
「先程精霊の森に大きな魔力と空間の歪みが確認された。これは宮廷魔法師である大婆様からの情報なので先ず間違いはないだろう」
大婆様と言えば1000年以上王宮魔法師として活躍されてるエルフだ。魔力の察知などお手の物だ。
「その空間の歪みからこちらへ何が来たのか確認してこい…と?」
「そうだ。精霊の森に1番近いこのイールの街でお前たちがいるということで、緊急依頼が来た」
「これは状況次第で如何様にもしていいのか?」
「まぁ、お前たちに任せるがなるべく物的証拠になるものは持ち帰って貰いたい」
「了解した。ライ行くぞ」
「はぁ~い。これ終わったらちゃんと休ませてよね~?」
俺達は異空間収納から戦闘用の装備を出して身に着けて出発した。
このイールの街から精霊の森まで近いと言っても徒歩で約半日かかる。
が、俺は竜人、ライは黒狼の獣人。身体強化をかけて走れば2時間程で着く。ちなみに竜人の俺は翼を出せば飛べるので更に早く着くが…ライが飛べないのでライに合わせて走っている。
「見えてきたな…」
「んー…パッと見特に何も異常なさそうだけどねぇ。もっと奥の方かな?」
探索魔法で確認してみたが特に異常はなさそうだ。魔物もある程度いるが強い魔物がいるわけでもなくいつもと変わらない。
ライの言う通り何かあるならもっと奥の方なのだろう。
だが…何なんだろうか…。
朝の胸騒ぎが強くなった気がする。
「早く中に入ろう」
「ん…?そんな急いでどうしたん?」
「朝からなんとなく胸騒ぎを感じていてな。それが強くなった気がする。早く行かなくてはならないような何かがあるような…。」
「ふーん…お前の勘って良く当たるからなぁ。何かあるのかもね。じゃ、さっさと行こっか」
ライの言葉を最後に俺達は精霊の森を走り抜ける。
十数分程走ってだいぶ精霊の森の中心近くまで来た。
それでも問題になるようなものは見当たらない。
なのに俺の心臓はバクバクと早鐘を鳴らし続けている。
何なんだこれは。早くしないと間に合わないと警鐘が鳴り響いているのに何も見つからない。焦りだけがどんどん増している。
「おいテオ!!何をそんなに焦ってる?」
いつも冷静なテオがここに来て異常に焦っている様子を見てライも少し緊張が増してしまっている。
「少し落ち着け!見つかるもんも見つからねえぞ!?」
「わかってる…わかっているがそれでも……!!」
とりあえず気持ちを落ち着かせようとすたその時この森に似合わぬ声が聞こえた。
……ぅえええぇぇーん……えぇぇぇん……
「子供の泣き声?!」
「何でこんな所に子供がいんだよ!?」
こんな深い森の奥まで子供が来れるわけがない。それこそ異常で大問題な事だ。
「声は…こっちからか!!急ぐぞライ!!」
「あいよ!」
二人は声のする方へ全速力で走った。
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