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深層
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次の日俺は朝早くから問題のダンジョン前まで来ていた。
必要なものは全てアイテムボックスに詰め込んできたし、準備万端だ。
ダンジョン前には協会の人間も数名待機している。
「ゼロさん、何かあればご連絡ください」
「ダンジョンの入口の規制お願いしますね。誰か入ってこられても困るので…今は誰も入ってないんですよね?」
「それは勿論、確認済みです。気にせず調査お願いします」
「了解。ではいってきます…」
普段なら配信者がそこかしこで騒いでうるさいダンジョンはひっそりとしていて、沢山のモンスターの息遣いが聞こえる。
これだよこれ。本来ダンジョンはこういうものだった。
静かにしていればモンスターが何処にいるかなんてすぐわかるのに、騒ぎながら潜るからモンスターがいきなり出て襲ってくる事になるんだよ。
すぐ側にスライムやゴブリンなどが潜んでいるが俺の魔力の方が強いからか怯えて出てこない。
「雑魚はスルーでいっか。面倒だし。さっさと深層まで行こう」
『身体強化』
1時間程で深層まで降りてきた。
特に変わったところもない。
異常はもっと先か?
「ホントに偶々イレギュラーが起こっただけか?う~ん…」
もう少し潜ってみるか…?
もう少し行ったらフェンリルの縄張りがある階に着くな…。
『探索』
うん。普通のフェンリルがいるだけっぽいな…。何でこの間はフェンリルは上まで来てたんだ?
他のモンスターはいないみたいだし…。
もう少しサーチを広げてみるか?
『探索』
今までの倍くらい広げて探してみる。
「…ん?フェンリルの階層よりも少し下にデカい魔力があるな…」
問題の階層はまだ俺も行った事ない場所だ…。
確認するにも気を付けて行かなくちゃならない。
「新しい階層はもっとゆっくりじっくり探索したかったんだけどなぁ…」
楽しさ半減だな…。仕方ないか。
向かってくる魔狼を捌きながら下へと向かう。
フェンリルの階層よりデカい魔力が跳ね上がり警戒する。
岩影から覗いて見るとそこにはドラゴンが寝ていた。
色からして火龍といったところか。
なんでこんな上にドラゴンがいるのか…。もっと下に居てもおかしくない程強いモンスターがこんな上の階層にいれば弱いモンスターは上へと逃げ出すのも頷ける。
「こいつが元凶か…」
フェンリルをテイム出来れば理由なども聞けるのだろうが俺にはテイムが出来ない。
ん~…面倒くさい。倒すのが一番楽な解決法だけど…。
寝てる今がチャンスか?
たぶん近づいた瞬間攻撃される。
考えて攻撃しないとこちらが危ない…。
誰か連れてくればよかったかな…?
「とりあえず頑張りますか…」
『身体強化トリプル』
ブーストの重ねがけに炎に対抗できる氷属性で様子見…かな?
俺は相棒の双剣に氷属性の魔力を纏わせドラゴンの首を狙いに行った。が、届く一歩手前で気づかれ炎に邪魔された。
「ちっ…やっぱり殺気で気付かれるよなぁ…」
グルルルルル…
飛ばれると厄介たから翼から攻撃する。
『射撃』
剣をドラゴンに向けて氷の弾丸を飛ばす。
慣れれば銃でなくとも銃を使う様に弾丸を飛ばすことは可能だ。イメージと魔力操作が必須なやり方だ。
ドラゴンの翼に穴が開くといとも簡単に落ちてきた。
落ちてきた瞬間にドラゴンの首元へ移動し、首を切り落とす。
「…ふぅ…思ったより簡単だったな…」
ドラゴンに背を向けた瞬間風の刃が俺の脇腹を掠めた…。
「…!?ぐ…もう一体いたのか…!!」
岩陰からもう一体顔を出した。
しくった…風龍…?番…か?
くそ…肋骨も逝った気がするんだけど…。
応急処置でヒールをかけ、風龍に向き直る。
ジャリっ
「…!?」
後ろを向くとフェンリルも来ていた。
マジか…。挟まれた…!!
と思ったらフェンリルは俺の横に陣取り一緒に風龍に殺気を向けている。
フェンリルが敵ではないのならまだ勝機はあるかもしれない。
きっとこのドラゴンたちにフェンリルの仲間を殺られていたからその報復の機会を狙っていたのだろう。
フェンリルは風属性。フェンリルの攻撃に合わせて炎の魔法を放つ。
『灼熱の槍』
炎の攻撃が風によって大きくなり風龍を包む様に広がる。
範囲攻撃によって風龍は逃げる隙もなく燃えていく。
俺はその姿を見つめながら気力で持っていた体力が尽きその場に倒れる。
側にはフェンリルの足が見えた。が、何も出来ずそのまま気を失った。
フェンリルはゼロを攻撃することもなく自分の背にゼロを乗せると上層へと走り出す。
俺はフェンリルにダンジョンの入口まで運ばれた様でフェンリルは入口に俺を置いてそのままダンジョンへ帰っていったと協会の人に教えてもらった。
なんという奇跡。普通なら食い殺されてもおかしくない状況なのに俺はフェンリルに助けられたらしい。
それを聞いたのは病院のベッドの上だった。
ダンジョン探索から1週間経っていた。
俺のこの久々の失敗に静夜には思いっきり泣かれてしまった。
宥めるのに数時間かかって、俺は依頼よりもソッチのほうが疲れた…。
静夜が泣きじゃくるもんだからダンジョンの話もできずに数日経ってしまった。
今回は自分の油断が起こした怪我なのでかなり凹んだし、静夜には一人で探索禁止令が出されてしまった…。
他に一緒に行けるような仲間いないんだけど…どうすればいいの…。
俺にとって頭を抱える事が増えてしまった…。
静夜との約束は破れないし、破りたくないのでどうにかしないと。俺に着いてこれる仲間を探さないと探索が出来ない。
「…困った……」
必要なものは全てアイテムボックスに詰め込んできたし、準備万端だ。
ダンジョン前には協会の人間も数名待機している。
「ゼロさん、何かあればご連絡ください」
「ダンジョンの入口の規制お願いしますね。誰か入ってこられても困るので…今は誰も入ってないんですよね?」
「それは勿論、確認済みです。気にせず調査お願いします」
「了解。ではいってきます…」
普段なら配信者がそこかしこで騒いでうるさいダンジョンはひっそりとしていて、沢山のモンスターの息遣いが聞こえる。
これだよこれ。本来ダンジョンはこういうものだった。
静かにしていればモンスターが何処にいるかなんてすぐわかるのに、騒ぎながら潜るからモンスターがいきなり出て襲ってくる事になるんだよ。
すぐ側にスライムやゴブリンなどが潜んでいるが俺の魔力の方が強いからか怯えて出てこない。
「雑魚はスルーでいっか。面倒だし。さっさと深層まで行こう」
『身体強化』
1時間程で深層まで降りてきた。
特に変わったところもない。
異常はもっと先か?
「ホントに偶々イレギュラーが起こっただけか?う~ん…」
もう少し潜ってみるか…?
もう少し行ったらフェンリルの縄張りがある階に着くな…。
『探索』
うん。普通のフェンリルがいるだけっぽいな…。何でこの間はフェンリルは上まで来てたんだ?
他のモンスターはいないみたいだし…。
もう少しサーチを広げてみるか?
『探索』
今までの倍くらい広げて探してみる。
「…ん?フェンリルの階層よりも少し下にデカい魔力があるな…」
問題の階層はまだ俺も行った事ない場所だ…。
確認するにも気を付けて行かなくちゃならない。
「新しい階層はもっとゆっくりじっくり探索したかったんだけどなぁ…」
楽しさ半減だな…。仕方ないか。
向かってくる魔狼を捌きながら下へと向かう。
フェンリルの階層よりデカい魔力が跳ね上がり警戒する。
岩影から覗いて見るとそこにはドラゴンが寝ていた。
色からして火龍といったところか。
なんでこんな上にドラゴンがいるのか…。もっと下に居てもおかしくない程強いモンスターがこんな上の階層にいれば弱いモンスターは上へと逃げ出すのも頷ける。
「こいつが元凶か…」
フェンリルをテイム出来れば理由なども聞けるのだろうが俺にはテイムが出来ない。
ん~…面倒くさい。倒すのが一番楽な解決法だけど…。
寝てる今がチャンスか?
たぶん近づいた瞬間攻撃される。
考えて攻撃しないとこちらが危ない…。
誰か連れてくればよかったかな…?
「とりあえず頑張りますか…」
『身体強化トリプル』
ブーストの重ねがけに炎に対抗できる氷属性で様子見…かな?
俺は相棒の双剣に氷属性の魔力を纏わせドラゴンの首を狙いに行った。が、届く一歩手前で気づかれ炎に邪魔された。
「ちっ…やっぱり殺気で気付かれるよなぁ…」
グルルルルル…
飛ばれると厄介たから翼から攻撃する。
『射撃』
剣をドラゴンに向けて氷の弾丸を飛ばす。
慣れれば銃でなくとも銃を使う様に弾丸を飛ばすことは可能だ。イメージと魔力操作が必須なやり方だ。
ドラゴンの翼に穴が開くといとも簡単に落ちてきた。
落ちてきた瞬間にドラゴンの首元へ移動し、首を切り落とす。
「…ふぅ…思ったより簡単だったな…」
ドラゴンに背を向けた瞬間風の刃が俺の脇腹を掠めた…。
「…!?ぐ…もう一体いたのか…!!」
岩陰からもう一体顔を出した。
しくった…風龍…?番…か?
くそ…肋骨も逝った気がするんだけど…。
応急処置でヒールをかけ、風龍に向き直る。
ジャリっ
「…!?」
後ろを向くとフェンリルも来ていた。
マジか…。挟まれた…!!
と思ったらフェンリルは俺の横に陣取り一緒に風龍に殺気を向けている。
フェンリルが敵ではないのならまだ勝機はあるかもしれない。
きっとこのドラゴンたちにフェンリルの仲間を殺られていたからその報復の機会を狙っていたのだろう。
フェンリルは風属性。フェンリルの攻撃に合わせて炎の魔法を放つ。
『灼熱の槍』
炎の攻撃が風によって大きくなり風龍を包む様に広がる。
範囲攻撃によって風龍は逃げる隙もなく燃えていく。
俺はその姿を見つめながら気力で持っていた体力が尽きその場に倒れる。
側にはフェンリルの足が見えた。が、何も出来ずそのまま気を失った。
フェンリルはゼロを攻撃することもなく自分の背にゼロを乗せると上層へと走り出す。
俺はフェンリルにダンジョンの入口まで運ばれた様でフェンリルは入口に俺を置いてそのままダンジョンへ帰っていったと協会の人に教えてもらった。
なんという奇跡。普通なら食い殺されてもおかしくない状況なのに俺はフェンリルに助けられたらしい。
それを聞いたのは病院のベッドの上だった。
ダンジョン探索から1週間経っていた。
俺のこの久々の失敗に静夜には思いっきり泣かれてしまった。
宥めるのに数時間かかって、俺は依頼よりもソッチのほうが疲れた…。
静夜が泣きじゃくるもんだからダンジョンの話もできずに数日経ってしまった。
今回は自分の油断が起こした怪我なのでかなり凹んだし、静夜には一人で探索禁止令が出されてしまった…。
他に一緒に行けるような仲間いないんだけど…どうすればいいの…。
俺にとって頭を抱える事が増えてしまった…。
静夜との約束は破れないし、破りたくないのでどうにかしないと。俺に着いてこれる仲間を探さないと探索が出来ない。
「…困った……」
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