ヒメゴト

小鳥遊 華凜

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連絡

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初めて出逢ったのは中学2年生でその時、貴方は大学1年生だった。とあるボランティア活動として学習塾が開講されていて私はそこに通っていた。
大きな変化があったのは高校1年生。
引っ越しで通うのも遠くなってしまったために
そろそろ行くのを辞めようとしていた時に大学3年になった貴方も来る頻度は少なった。
憧れから貴方への想いが恋心になっていた私は
連絡先を交換して欲しいと言った。
意外にもすんなりと連絡先を交換してくれた事に逆に戸惑ったが嬉しさの方が勝ったので悶えた。

″連絡先交換ありがとうございます″

″いえいえ、何かあったら連絡してきていいよ。
無くてもいいけど。″

″ぢゃあ、後でなんかしらのメッセ送ります!″

″素直かよッ″

なんてこともない他愛のない会話をして基本的にメッセのやり取りだったけど楽しかった。
高校を卒業して私が就職の道に進んだ時も貴方は″就職おめでとう″って祝ってくれた。
それがすっごく嬉しかった。

″駅の改札出てすぐのとこにいるからね″

″どこですか!?見当たらないんですけど!?″

はじめて2人で外食したのは良い思い出だった

″色々と愚痴とか聞いてもらってすみません!
美味しいご飯食べて会えて最高です″

″喜んでもらえてよかった″

何度かご飯を食べながらお互いの近況報告をしていた。そんなやり取りを3年、4年続けていた時に貴方は転職で上京した。会えない分、通話をする時間が増えていた。

″しんどーい!もう職場の人間関係が無理になってきたんですけど!言いたいこともうまく
伝わらないし生返事だけとか一番信用ならんですよ!″

いつものように愚痴を言っていると

″このまま同じ場所に居ても意味ないなら転職すればいいんじゃない?新しい発見も大事だよ。現に俺は転職したから今すっごく楽しい″

″それは…そうでしょうけど。″

″現状維持でもいいけど、甘えたままはダメだからね。″

優しいけど少し怒気が込められた気がして話を逸らした。それが、いけなかったのかな。
元々、私からの連絡が主だったけど1、2ヶ月くらいの連絡頻度は次第に無くなっていった。
連絡したいけど嫌われなくない。なんとなく、なんとなく、嫌なことが重なって今まで避けていたメッセアプリを開いて勢いそのまま
【一方的な近況報告で返信来なくてもいい。】そんな気持ちで送った。
あわよくば返信なくても既読さえ付けば
それだけでよかった。
意外にも5分以内に返信は来た。
けど、返信内容は私にとって残酷だった。

【連絡するのはいいけど、受け取る側の事も考えてね。軽い気持ちでも相手の時間を取ることになってしまうから一方的なのは良くないよ】

優しいけど、あの時のようにぼんやりと怒気を
感じた。そんなつもりはなかった。とかそんな
簡単な幼稚なことは言えない。

馬鹿みたいだ。連絡しなければよかった。
泣きそうだった。いや、ココロは泣いてた。

【相談とか話したいことがあれば連絡してきていいからね。今度からは発言してから逃げるのは無しだからね。】

違うんです。
貴方は上京して新天地でやりたいことを楽しく
新しいことを発見して忙しくも幸せそうなのが伝わってたから一方的な近況報告じゃないと距離感がわかんなくなってたの。
残酷だけど優しい人だって知ってるからこそ

自分勝手だけど
自分からはもう連絡できない。
次、連絡したら嫌われそうだから。
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