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一話──死の腐海にある異変
レンジャーは思案する
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「お疲れ…って、やっぱ無茶してんじゃん」
バーサーカーはビルの無機質な壁に身体を預けて眠っていた。よほどギリギリの力まで出したのだろう。俺たちを守るためなのか、それともただのストレス発散かは彼にしか分からないが、とりあえずは助かった。自分の背丈では彼を運べやしないのでポケットに入っているライターを取り出した。
「月ノ輪出ておいで」
炎はライターで出るわけがないほど大きく燃え上がりぐるぐると渦を作りながら熊の形になった。月ノ輪の火加減を調節してから、バーサーカーを担がせた。俺はとりあえずまだギルドに戻っていないので他の奴等も心配していることだろう、多分。まずはギルドへ戻ることにする。
「しかし、コングウルフねぇ…」
コングウルフの生態はあまり知られていないが、以前に魔物大好きなランサーの口から飛び出した知識を掘り起こした。
コングウルフは基本森の奥に住む。草属性。群れで生活。温厚的な性格だが、仲間を傷つけられると集団で襲いかかる。そして、骨が異常なほどに硬い。理由として考えられているのは、人間が作ったコンクリートが出てきたせいで進化したのではないかと言われている。
ここらの近くでコングウルフが生息しているのは死の腐海だけだ。まさかバーサーカーが1人で奥へ行き、コングウルフを傷付けてここまで戻った来たなんて面倒なことをするわけがない。
「考えるの苦手だし、ガンナーかビショップにでも考えてもらお」
ね、と月ノ輪に話しかけると月ノ輪は一つ鳴いてみせた。
レンジャーはバーサーカーをみてランサーに怒られることを覚悟した。元々ランサーのツカイにバーサーカーを頼まれていたのだ。
ツカイというのは俺の月ノ輪のような属性ペットと呼ばれる補助の魔法ペットだ。世界には六属性がある。火、草、土、水。そして光、闇。その属性を持ったペットということだ。
うちの月ノ輪は火属性のツキノワグマモデル。ランサーのところなツカイはシンカイギョと呼ばれ、リュウグウノツカイという元はバカでかい魚らしい。ランサーはその姿を小さくして魔力不足を解消しているのだと言っていた。確かバーサーカーは闇属性の蛇だったかモデルは聞いたことはないが。
──なんか嫌な予感がするから、1人にならないように固まっててほしい。多分バーサーカーがなんかに巻き込まれてる可能性もあるから、まず増援しといて。
ツカイの髭らしきところに付いていた紙は走り書きの文字でそう綴られていた。多分相当焦っていたのだろう。ギリギリ読める程度の汚さだった。ツカイは土の中を泳いで俺の足元から出てきた。
そこで俺もランサーの悪い予感は当たることが多いので慌てて探したというわけだ。最善の努力は尽くしたと思うが、なかなかの重症。歯も骨と同様に硬いために相当痛かっただろう。傷跡を見ると赤黒く変色した肌は炎症を起こしているらしく、腫れている。痛そうで顔をしかめた。
「…しかし、この走り書き。
ランサーたちの方もなんかあったのか」
紙切れはペラペラと風に揺れて肯定を示しているように見えた。
バーサーカーはビルの無機質な壁に身体を預けて眠っていた。よほどギリギリの力まで出したのだろう。俺たちを守るためなのか、それともただのストレス発散かは彼にしか分からないが、とりあえずは助かった。自分の背丈では彼を運べやしないのでポケットに入っているライターを取り出した。
「月ノ輪出ておいで」
炎はライターで出るわけがないほど大きく燃え上がりぐるぐると渦を作りながら熊の形になった。月ノ輪の火加減を調節してから、バーサーカーを担がせた。俺はとりあえずまだギルドに戻っていないので他の奴等も心配していることだろう、多分。まずはギルドへ戻ることにする。
「しかし、コングウルフねぇ…」
コングウルフの生態はあまり知られていないが、以前に魔物大好きなランサーの口から飛び出した知識を掘り起こした。
コングウルフは基本森の奥に住む。草属性。群れで生活。温厚的な性格だが、仲間を傷つけられると集団で襲いかかる。そして、骨が異常なほどに硬い。理由として考えられているのは、人間が作ったコンクリートが出てきたせいで進化したのではないかと言われている。
ここらの近くでコングウルフが生息しているのは死の腐海だけだ。まさかバーサーカーが1人で奥へ行き、コングウルフを傷付けてここまで戻った来たなんて面倒なことをするわけがない。
「考えるの苦手だし、ガンナーかビショップにでも考えてもらお」
ね、と月ノ輪に話しかけると月ノ輪は一つ鳴いてみせた。
レンジャーはバーサーカーをみてランサーに怒られることを覚悟した。元々ランサーのツカイにバーサーカーを頼まれていたのだ。
ツカイというのは俺の月ノ輪のような属性ペットと呼ばれる補助の魔法ペットだ。世界には六属性がある。火、草、土、水。そして光、闇。その属性を持ったペットということだ。
うちの月ノ輪は火属性のツキノワグマモデル。ランサーのところなツカイはシンカイギョと呼ばれ、リュウグウノツカイという元はバカでかい魚らしい。ランサーはその姿を小さくして魔力不足を解消しているのだと言っていた。確かバーサーカーは闇属性の蛇だったかモデルは聞いたことはないが。
──なんか嫌な予感がするから、1人にならないように固まっててほしい。多分バーサーカーがなんかに巻き込まれてる可能性もあるから、まず増援しといて。
ツカイの髭らしきところに付いていた紙は走り書きの文字でそう綴られていた。多分相当焦っていたのだろう。ギリギリ読める程度の汚さだった。ツカイは土の中を泳いで俺の足元から出てきた。
そこで俺もランサーの悪い予感は当たることが多いので慌てて探したというわけだ。最善の努力は尽くしたと思うが、なかなかの重症。歯も骨と同様に硬いために相当痛かっただろう。傷跡を見ると赤黒く変色した肌は炎症を起こしているらしく、腫れている。痛そうで顔をしかめた。
「…しかし、この走り書き。
ランサーたちの方もなんかあったのか」
紙切れはペラペラと風に揺れて肯定を示しているように見えた。
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