侵略勇者と戦う為、日本の総理と異世界の魔王は手を組みました!~内閣総理大臣岸総一郎の受難~

今永 有哉

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ロシアへ

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「何で私が行くのダメなのよ!」
ミリスは安藤に食って掛かっていた。ロシアへの同行を拒否されたためだ。
「ミリスさん良いのですか、今回はディルも留守番です。二人きりですよ。」
ニコリと笑う安藤。
その言葉にミリスは
「しょ、しょうがないわね! 今回は留守で、でも、別に勇者と居たいから留守番OKしたわけじゃないんだからね!」
実にチョロかった。
うんうん。テンプレツンデレだ。一番満足そうな顔をしていたのは何故か檜山だった。
今回も檜山の能力により。『別に檜山と居たいから留守番OKしたわけじゃないんだからね!』と自動変換されている。魔法ではないが、ずいぶん便利な能力である。
一番いやそうな顔をしているのはディルだった。嫌そうというより、うんざりといったとことか。

ミリスを残していくのは、他国への牽制はもちろんあったが、それ以上に、ロシアの大統領に余計の事を言うのだけは避けて欲しかったからだ。
あの男だけは敵に回してはいけないのだ。
安藤の計画が瓦解するほどに。

シェレメーチエヴォ国際空港

「よく来てくださった。安藤さん、皆さん。首相がクレムリンで皆様がいらっしゃるのを、楽しみにしてますよ。」
「歓迎ありがとうございます。」
ロシアからは大統領、外務大臣、ロシアエネルギー省大臣、第一副首相が出迎えてくれている。
クレムリンは大統領官邸なのだが、首相が待っている。そう言う事だ。
歴史的な外交交渉なので黄第一書記も同行しているが、名前すら読んでもらえていなかった。
FSB ロシア連邦保安庁の職員は…
今回はどちらかというと防諜の為といった感じですかね。
探知魔法で識別する安藤。
まあ、相手が相手なので経緯も現状も全てお見通しですよね。
安藤はこれから最大の交渉相手に臨むのに楽しげであった。
リムジンに乗り込みクレムリンへ向う。

クレムリン応接室。
そこに一人の男が待っていた。現在のFSB、旧KGB元長官、元大統領、現ロシア首相。ラザール・イワノフ
イワノフは安藤達全員と握手を交わした。安藤、リリーと。黄は最後だった。

嫌味半分、自分達は把握していますよ、というのが半分というところでしょうか。安藤は更に上機嫌になった。
「さあ、交渉の開始です。」
安藤は呟いた。

「安藤、君の指示通りシベリアの油田採掘計画が有る場所に準備をしている。人も金もかかっている。」
「イワノフ首相、期待には必ず添いますよ。ですので…」
「分かっている。しかし、結果を見なければ交渉もできない。」
でたな。この国の、いや旧共産圏のやり口とでもいうべきか。
日本はいつもこれにやられてきた。
「イワノフ首相、こちらも結果を出します。それによってこちらが得られるものも明らかでなければ、それこそ交渉になりませんよ。」
ロシア国内のものがこんな口の利き方をしたら、数日以内に不審死は確実だろう。
「安藤、君は率直な人間だ。私は率直な人間は嫌いではない。まあ、率直な人間が長生きできるかは別の問題だが…」
「イワノフ首相、もう十分調査なさっているのでしょう。僕は長生き出来るかは分かりませんが、残念ながら早死にもしませんよ。」
「さあ、何のことかは分からないが、君は短命ではなさそうだ。」
イワノフはニコリともせず。手を差し出す。
安藤は用意していた文書を差し出す。
長い沈黙。イワノフが文書をめくる音だけが聞こえる。
「安藤は欲が深い。欲が深い人間には沢山会ってきた。皆、今は神の元にいる様だが、君はまだ死んではならない人間の様だ。」
そういいながら文書に署名するイワノフ。
「イワノフ首相、私は無欲ですよ。そのためにイワノフ首相の悲願を成すための助力をするだけです。」
「では、安藤、君は一体何を望む。」
「それは…」
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