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最強の武者Gozaru編
75話 希望
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「最初はね、疑っていたの」
ゴザルさんは言う。
「自分のことをソラだって言った時、嘘なんじゃないかって。でも、ソラと少し話しただけで本物だってことは――長年の付き合いですぐにわかった。そもそも、そんな馬鹿げた嘘を言う必要もないし」
すぐに僕だと信じてくれたのは素直に嬉しい話である。
「僕のメイン、現在地はわからないの?」
「オンライン状態以外、全てオフにされているの。さすがにオンリー・テイルの広い世界の中、現在地もわからないまま探しようもなくて」
中身は誰だ? という恐怖はなにもなかった。
万が一の可能性、希望として――考えられる点が一つあったからだ。僕が妹のキャラクターであるからこその光明だった。
「……逆に、僕の妹かもしれないのか」
「ありえると思う、転生の条件だって不透明な部分が多い。もしかすると、プレイしていない人だって転生しているかもしれないわ」
ありがたい情報だった。
それに僕を元気付けるためだろう。プラスになるようなことばかり言ってくれる。ゴザルさんは本当に優しい人なのだ。
「ありがとう、ゴザルさん」
「……ソラが元気ないのは、なんかいやだし」
照れ隠しなのか、ゴザルさんが近くにあった人形を抱き締める。
「クーラ、妹さんに会えるということですか?」
「うん、希望が見えてきた」
そういえば、ナコも家族がプレイしていたと言っていたはずだ。
「ナコはお姉ちゃんのプレイヤー名とかは記憶に残っていないのかな?」
「お名前は覚えていません。ですが、お姉ちゃんの後ろから画面を覗いた時――耳の大きいキャラクターだった記憶はあります」
耳の大きいキャラクター、か。
オンリー・テイルにはたくさんいる。そのピンポイントな情報だけでは厳しいというのが正直な答えだった。
ゴザルさんも僕と同じことを考えていたのだろう。
「……エルフィ族、ミミモケ族、ライガル族、多すぎて難しいわ。自分の名前をそのまま付けている線もあるから教えてくれる?」
「えっと、陽夏と書いて――ヒナって言います」
「Hinaということね、出会うことがあったら尋ねてみる。二人共色々思い悩むことはあるだろうけれど、あれこれ考えても今すぐに答えがでるものでもないわ。今は自身が生き残るための術を全力で身に付けましょう」
ゴザルさんはダンジョンマップを確認しながら、
「明日の予定は地下11階から20階、ソラとナコちゃんに前列を任せようと思ってる。打ち漏らした敵は私がなんとかするから後ろは気にしないで戦ってみて。最下層に行き着くまでにある程度の魔力操作は習得してもらうわ」
ついに、ゴザルさんの稽古が始まる。
ゴザルさん曰く、魔力操作ができないプレイヤーは生き残るのが難しいという。今の僕たちには最優先事項となるだろう。
「それじゃ、明日に備えて身体を休めましょう。寝室の組分けは私とナコちゃん、ソラは一人でいいわよね」
「私はいつも通りクーラと寝ます」
迷いのないナコの一言に、ゴザルさんがスッと僕の方を振り向く。
「……ソラ、あなた」
「先に言うけど誤解だからね」
ホームでも僕とナコの部屋はわけている。
だが、朝方目を覚ますと僕の布団の中にナコが潜り込んでいるのだ。最初は自室で寝るよう伝えていたがもう毎度となり僕もなにも言わなくなった。
「ちなみに、あなたの続きはなに?」
「シスコン、ロリコン、皆まで言わせないで」
「全部言ってるよね?!」
「あ、寝る前にお風呂は入りましょうね。このポケットハウスには浴室も完備されているのよ。入る順番は私とナコちゃん、ソラは一人で」
と、ゴザルさんが言いかけて、
「……お風呂もナコちゃんとなんて言わないわよね?」
「クーラ、また一緒に入りますか?」
ナコさぁん!
ファーポッシ村では一緒に入ったけど、それ以降はさすがに一度も入ってない。
しかし、一度でもナコとお風呂をしたことは事実なのだ。
素直に否定もできず黙り込む僕、それをゴザルさんはどのように受け取ったのか、
「ソラ、ダンジョンから帰ったらちょっと話し合いましょう。私先にお風呂入って寝るから、二人共おやすみなさい」
バンっと、扉が強く閉まる音。
急激にゴザルさんとの距離が開いたような気がした。
ゴザルさんは言う。
「自分のことをソラだって言った時、嘘なんじゃないかって。でも、ソラと少し話しただけで本物だってことは――長年の付き合いですぐにわかった。そもそも、そんな馬鹿げた嘘を言う必要もないし」
すぐに僕だと信じてくれたのは素直に嬉しい話である。
「僕のメイン、現在地はわからないの?」
「オンライン状態以外、全てオフにされているの。さすがにオンリー・テイルの広い世界の中、現在地もわからないまま探しようもなくて」
中身は誰だ? という恐怖はなにもなかった。
万が一の可能性、希望として――考えられる点が一つあったからだ。僕が妹のキャラクターであるからこその光明だった。
「……逆に、僕の妹かもしれないのか」
「ありえると思う、転生の条件だって不透明な部分が多い。もしかすると、プレイしていない人だって転生しているかもしれないわ」
ありがたい情報だった。
それに僕を元気付けるためだろう。プラスになるようなことばかり言ってくれる。ゴザルさんは本当に優しい人なのだ。
「ありがとう、ゴザルさん」
「……ソラが元気ないのは、なんかいやだし」
照れ隠しなのか、ゴザルさんが近くにあった人形を抱き締める。
「クーラ、妹さんに会えるということですか?」
「うん、希望が見えてきた」
そういえば、ナコも家族がプレイしていたと言っていたはずだ。
「ナコはお姉ちゃんのプレイヤー名とかは記憶に残っていないのかな?」
「お名前は覚えていません。ですが、お姉ちゃんの後ろから画面を覗いた時――耳の大きいキャラクターだった記憶はあります」
耳の大きいキャラクター、か。
オンリー・テイルにはたくさんいる。そのピンポイントな情報だけでは厳しいというのが正直な答えだった。
ゴザルさんも僕と同じことを考えていたのだろう。
「……エルフィ族、ミミモケ族、ライガル族、多すぎて難しいわ。自分の名前をそのまま付けている線もあるから教えてくれる?」
「えっと、陽夏と書いて――ヒナって言います」
「Hinaということね、出会うことがあったら尋ねてみる。二人共色々思い悩むことはあるだろうけれど、あれこれ考えても今すぐに答えがでるものでもないわ。今は自身が生き残るための術を全力で身に付けましょう」
ゴザルさんはダンジョンマップを確認しながら、
「明日の予定は地下11階から20階、ソラとナコちゃんに前列を任せようと思ってる。打ち漏らした敵は私がなんとかするから後ろは気にしないで戦ってみて。最下層に行き着くまでにある程度の魔力操作は習得してもらうわ」
ついに、ゴザルさんの稽古が始まる。
ゴザルさん曰く、魔力操作ができないプレイヤーは生き残るのが難しいという。今の僕たちには最優先事項となるだろう。
「それじゃ、明日に備えて身体を休めましょう。寝室の組分けは私とナコちゃん、ソラは一人でいいわよね」
「私はいつも通りクーラと寝ます」
迷いのないナコの一言に、ゴザルさんがスッと僕の方を振り向く。
「……ソラ、あなた」
「先に言うけど誤解だからね」
ホームでも僕とナコの部屋はわけている。
だが、朝方目を覚ますと僕の布団の中にナコが潜り込んでいるのだ。最初は自室で寝るよう伝えていたがもう毎度となり僕もなにも言わなくなった。
「ちなみに、あなたの続きはなに?」
「シスコン、ロリコン、皆まで言わせないで」
「全部言ってるよね?!」
「あ、寝る前にお風呂は入りましょうね。このポケットハウスには浴室も完備されているのよ。入る順番は私とナコちゃん、ソラは一人で」
と、ゴザルさんが言いかけて、
「……お風呂もナコちゃんとなんて言わないわよね?」
「クーラ、また一緒に入りますか?」
ナコさぁん!
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しかし、一度でもナコとお風呂をしたことは事実なのだ。
素直に否定もできず黙り込む僕、それをゴザルさんはどのように受け取ったのか、
「ソラ、ダンジョンから帰ったらちょっと話し合いましょう。私先にお風呂入って寝るから、二人共おやすみなさい」
バンっと、扉が強く閉まる音。
急激にゴザルさんとの距離が開いたような気がした。
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