転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ

文字の大きさ
76 / 426
最強の武者Gozaru編

76話 無限のパワー

しおりを挟む
 翌日。
 イレシノンテ、11階から20階――僕たちは順調に突き進んでいた。上級ダンジョンといえども、モンスターが生きている限り基本的に急所は一緒だ。

 ――僕は触手による内部破壊を繰り返していく。

 オーラ・ストーンにてハイスパイダーと対峙した時にも感じていたが、手強いモンスターになればなるほど一撃で仕留め切るのが難しい。
 急所の大きさもモンスターごとに異なり、外皮が硬いモンスターにいたっては糸状の触手を侵入させることすらできない。

「ソラの動きが悪いわね、もっと深く踏み込んだ方がいいわよ。ゲーム時が中間的な役割だったせいもあるのかしら」

 僕の前職は『魔法剣士』、攻守共に器用貧乏的なジョブであり、パーティーに足りていない役割、その埋め合わせを担って前衛や後衛どちらもやることがあった。
 今の触術師は完全に前衛寄り、多少経験が生きてくれると嬉しい。

「やっぱり、今まで使用していたジョブは関係あるの?」
「あくまで私という一例になるけどね。ゲーム時のスキル連携、使用していたキャラクターのアクション、長年のプレイで身体に刻み込まれているでしょ。それを体現する感覚で私は動けるわ」

 ゴザルさんは僕の後方で待機しながら、

「動きが悪いとは言ったけど、ソラも普通以上には動けているわよ。魔力操作も思っているより全然上手い。触術師なんて初めて見たけど、モンスター相手より人間相手の方が遥かに強そうなジョブね」

 僕がモンスターを倒す動きから、ゴザルさんは察知したのだろう。

「逆にナコちゃんは全てに置いて桁違いだわ。持久力が良い意味で異常すぎる、魔力が枯渇しているように見えないのよね」

 常にフルパワー。
 ナコが黒い波動を身にまといながら、僕がモンスターを一匹倒す間に――数倍の数を斬り倒している。
 僕の後ろから、ゴザルさんが暇そうに話しかけてくるのもわかる。
 何故なら20階に到達目前の今、ゴザルさんと同じくして後列に打ち漏らすということが一度もないのだ。
 ゴザルさんはナコに指摘する箇所がないようで、

「普通、あの威力の攻撃を連発していたら魔力なんてすぐになくなる。全ジョブ魔力量は共通のはずなのに、ナコちゃんはその概念をぶっ壊しているわ」
「ゴザルさんでもその源はわからない?」
「……うーん。ま、魔法少女、だから?」

 やはり、ゴザルさんの行き着く先もそこなのであった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...