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王都突入編
149話 まだ見ぬ領域
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安らぎの満天、大浴場『くつろ樹』。
まさか、王都で温泉に入ることができるなんて――夢にも思っていなかった。
大自然をモチーフにしたかのような空間、壺風呂から露天風呂、サウナ室まで併設されているといった豪華っぷりだ。
ニャニャンはバスタオル一枚、堂々と突っ立ちながら、
「ソラにゃん、懐かしい気持ちになるでしょ?」
「そうだね。家族で行った旅行を思い出したよ」
「もとの世界に帰ることができなくて、悲しんでいるプレイヤーもたくさんいる。安らぎの満天はね、そういった思い出に寄り添うということを主とした場所なのにゃあ。アヤメにゃんも旦那と子供がいたんだよ」
過去形。
誰もが皆――揃って転生して来ているわけではない。
今の話から察するに、家族の中ではアヤメさんだけがプレイしていたのだろう。
「ニャニャン、転生の条件って――やっぱりオンリー・テイルをプレイしていたってのが重要なのかな?」
「にゃっちが集めた情報によると、そこは絶対条件――ただ、かなり緩いのね。一日だけプレイしてみた、体験版をプレイしてみた、そういったルーキーでも普通に転生して来ているにゃあ」
「プレイ時間は関係ないってこと?」
「そうね。つまり、長期プレイヤーほど有利な構図が出来上がっているの。ナコにゃんのようにほとんどなにも知らないプレイヤー、その死亡率は高くなるにゃあ。運が良いルーキーは熟練者に拾ってもらえることもある。大多数はなにも知らないまま野垂れ死んでいるのが現状だろうね」
ニャニャンは言う。
「なんせ、この世界には蘇生魔法が消え去っているからにゃあ」
「死んだら終わり、デスゲームみたいだね」
「強敵蔓延る世界だから同義よね。にゃっちも蘇生魔法については散々走り回って調べ尽くしたけど、文献すらでてこなかったのにゃあ」
ニャニャンは次いで、
「だけどね、可能性はあると思っているの」
「可能性?」
「これを見てみるにゃあ」
と、ニャニャンが自身のステータスを表示する。
ネーム Nyanyann
ジョブ 拳闘士(レベル130)
種族 ミミモケ族
保有スキル 撃の型 硬の型 定の型 猫の型 激震の一歩 集気弾 狂乱の陣 生転死転
「ゲーム時から、レベルが5も上がってるっ?!」
「加えて、新しいスキルも増えたのね。今後蘇生魔法がでてくるとしたら、生まれてくるとしたら、まだ見ぬ領域を進んで行く果てにあるかもしれないにゃあ」
「……ゴザルもレベルが1上がっていたな」
「にゃっちもレベルアップの条件はいまだに掴めていないのね。だけど、上がった時には等しく――普通ではない冒険をしているにゃあ」
普通ではない冒険、か。
僕たちの直近でいえば――白の宝物庫イレシノンテ、最深部にあった大都市がそれに該当するだろう。
「あの戦いが、ゴザルの限界を超えさせたのかな」
「ふむん。ソラにゃんたちも激しい冒険をしてきたみたいね。ところで、そのゴザルにゃんだけど――本気で天凪璃々なの?」
ニャニャンが目をキラキラとさせながら詰め寄って来た。
まさか、王都で温泉に入ることができるなんて――夢にも思っていなかった。
大自然をモチーフにしたかのような空間、壺風呂から露天風呂、サウナ室まで併設されているといった豪華っぷりだ。
ニャニャンはバスタオル一枚、堂々と突っ立ちながら、
「ソラにゃん、懐かしい気持ちになるでしょ?」
「そうだね。家族で行った旅行を思い出したよ」
「もとの世界に帰ることができなくて、悲しんでいるプレイヤーもたくさんいる。安らぎの満天はね、そういった思い出に寄り添うということを主とした場所なのにゃあ。アヤメにゃんも旦那と子供がいたんだよ」
過去形。
誰もが皆――揃って転生して来ているわけではない。
今の話から察するに、家族の中ではアヤメさんだけがプレイしていたのだろう。
「ニャニャン、転生の条件って――やっぱりオンリー・テイルをプレイしていたってのが重要なのかな?」
「にゃっちが集めた情報によると、そこは絶対条件――ただ、かなり緩いのね。一日だけプレイしてみた、体験版をプレイしてみた、そういったルーキーでも普通に転生して来ているにゃあ」
「プレイ時間は関係ないってこと?」
「そうね。つまり、長期プレイヤーほど有利な構図が出来上がっているの。ナコにゃんのようにほとんどなにも知らないプレイヤー、その死亡率は高くなるにゃあ。運が良いルーキーは熟練者に拾ってもらえることもある。大多数はなにも知らないまま野垂れ死んでいるのが現状だろうね」
ニャニャンは言う。
「なんせ、この世界には蘇生魔法が消え去っているからにゃあ」
「死んだら終わり、デスゲームみたいだね」
「強敵蔓延る世界だから同義よね。にゃっちも蘇生魔法については散々走り回って調べ尽くしたけど、文献すらでてこなかったのにゃあ」
ニャニャンは次いで、
「だけどね、可能性はあると思っているの」
「可能性?」
「これを見てみるにゃあ」
と、ニャニャンが自身のステータスを表示する。
ネーム Nyanyann
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保有スキル 撃の型 硬の型 定の型 猫の型 激震の一歩 集気弾 狂乱の陣 生転死転
「ゲーム時から、レベルが5も上がってるっ?!」
「加えて、新しいスキルも増えたのね。今後蘇生魔法がでてくるとしたら、生まれてくるとしたら、まだ見ぬ領域を進んで行く果てにあるかもしれないにゃあ」
「……ゴザルもレベルが1上がっていたな」
「にゃっちもレベルアップの条件はいまだに掴めていないのね。だけど、上がった時には等しく――普通ではない冒険をしているにゃあ」
普通ではない冒険、か。
僕たちの直近でいえば――白の宝物庫イレシノンテ、最深部にあった大都市がそれに該当するだろう。
「あの戦いが、ゴザルの限界を超えさせたのかな」
「ふむん。ソラにゃんたちも激しい冒険をしてきたみたいね。ところで、そのゴザルにゃんだけど――本気で天凪璃々なの?」
ニャニャンが目をキラキラとさせながら詰め寄って来た。
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