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火の都サラマン激突編
178話 ライカの過去
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「……ら、ライカは」
「うん」
「ライカは、ね」
「ゆっくりでいいよ」
ライカが話したいと思えるまで――僕は待つ。
その間、お肉を少しずつ頬張り身体に染み込ませていく。一度粒子となって傷は治ったものの――さすがに空腹までは満たされていなかった。
僕はお肉を手に勢いよく立ち上がり、
「なんだこの重厚な肉質っ! だからといって固すぎるわけでもなく、比率的には7対3くらいの絶妙な塩梅っ!! 野草をハーブ代わりにしているのかまた匂いが食欲をそそるのなんのってっ! 全ての配分がパーフェクトといっても過言ではないっ!! まとめると――シェフを呼んでくれ、いや目の前にいましたっ! ありがとうございます、本気で絶品ですっ!!」
「……クーラお姉さん?」
「ゆっくりでいいよ」
「もうゆっくりどころじゃないよっ?!」
「ライカの焼いたお肉が美味しすぎて興奮しちゃった」
「……ぷっ、ふふ」
ライカが笑い出す。
「なんか逆に落ち着いちゃったぁ。ライカはね、お祖母ちゃんお祖父ちゃんっ子だったから、料理とか狩りとかいっぱい教えてもらってたんだ。美味しいって言われると、ライカも嬉しいっ!」
「……料理に、狩り?」
「お祖父ちゃんが猟師でね、一緒によく付いていってたの。山中での過ごし方とか解体の仕方とか――その時に習ったんだよ」
そ、想像以上にたくましい。
野営、サバイバルに関しては――動画の知識しかない僕とは違い、現地で経験を培ったライカの方が遥かに優れているだろう。
そして、少し会話しただけでも純粋な子なんだとわかる。
だからこそ、善悪の判断より先に――感情の赴くままに動いてしまうのだろう。それは幼いという点だけではなく、ライカ自身の性格の部分も大きいに違いない。
ライカはぽつりぽつりと話し始める。
「ライカはね、転生した時――アクアニアスの噴水広場に立っていたの。ライカもオンリー・テイルはすっごいプレイしていたゲームだから、すぐに景色を見てアクアニアスってことはわかったんだぁ」
「ライカが超越者だったのは驚いたよ」
「超越者になったのは転生してからなんだよ。それまで、ずっとレベル99でとまってたんだぁ。マスターもライカと一緒って言ってた」
リボルも一緒だったのか。
転生前、攻略掲示板に呪術師の超越者は載っていなかった。
転生してから超越者になるパターン、今後はこの線も強く視野に入れていかねばならない。
「ライカはね、転生した日――NPCに騙されて売られかけたんだ」
ライカの言うNPC。
もとからオンリー・テイルに生きる現地人のことだろう。
「一人で心細くて泣いてるところを、NPCが話しかけてくれたの。でも、それもミミモケ族を奴隷商に売り飛ばすため、それだけが目的だったんだぁ。ライカはバカだから、優しい言葉だけで信じちゃって、言われるがままに――付いて行っちゃった」
ライカが自身の身体を抱き締め――震え始める。
顔付きは真っ青に、幼い少女はどれだけひどい目にあったのか、どれほど心に傷を残されたのか、その様子から想像するに――容易かった。
「怖、かった、怖かったぁ。ライカの、身体をベタベタ、ベタベタ、裸に、されて、色々なところを触られて、気持ち悪くって、吐いたら、殴られた」
「……ライカ」
「殺す力くらい、ライカにはあったよ。だけど、そんな度胸も勇気も――あの時のライカは持ち合わせていなかったんだぁ」
「ごめん。いやなことを思い出させちゃったね」
「ううん。クーラお姉さんには聞いてほしいなぁ」
僕はライカの頭をなでる。
ライカは少し安心したのか、目を細めながらピコピコと尻尾を揺らす。
「……もう本当に、心が壊れちゃいそうな時にね、マスターが、助けてくれたの」
ライカが続きを話し始める。
「うん」
「ライカは、ね」
「ゆっくりでいいよ」
ライカが話したいと思えるまで――僕は待つ。
その間、お肉を少しずつ頬張り身体に染み込ませていく。一度粒子となって傷は治ったものの――さすがに空腹までは満たされていなかった。
僕はお肉を手に勢いよく立ち上がり、
「なんだこの重厚な肉質っ! だからといって固すぎるわけでもなく、比率的には7対3くらいの絶妙な塩梅っ!! 野草をハーブ代わりにしているのかまた匂いが食欲をそそるのなんのってっ! 全ての配分がパーフェクトといっても過言ではないっ!! まとめると――シェフを呼んでくれ、いや目の前にいましたっ! ありがとうございます、本気で絶品ですっ!!」
「……クーラお姉さん?」
「ゆっくりでいいよ」
「もうゆっくりどころじゃないよっ?!」
「ライカの焼いたお肉が美味しすぎて興奮しちゃった」
「……ぷっ、ふふ」
ライカが笑い出す。
「なんか逆に落ち着いちゃったぁ。ライカはね、お祖母ちゃんお祖父ちゃんっ子だったから、料理とか狩りとかいっぱい教えてもらってたんだ。美味しいって言われると、ライカも嬉しいっ!」
「……料理に、狩り?」
「お祖父ちゃんが猟師でね、一緒によく付いていってたの。山中での過ごし方とか解体の仕方とか――その時に習ったんだよ」
そ、想像以上にたくましい。
野営、サバイバルに関しては――動画の知識しかない僕とは違い、現地で経験を培ったライカの方が遥かに優れているだろう。
そして、少し会話しただけでも純粋な子なんだとわかる。
だからこそ、善悪の判断より先に――感情の赴くままに動いてしまうのだろう。それは幼いという点だけではなく、ライカ自身の性格の部分も大きいに違いない。
ライカはぽつりぽつりと話し始める。
「ライカはね、転生した時――アクアニアスの噴水広場に立っていたの。ライカもオンリー・テイルはすっごいプレイしていたゲームだから、すぐに景色を見てアクアニアスってことはわかったんだぁ」
「ライカが超越者だったのは驚いたよ」
「超越者になったのは転生してからなんだよ。それまで、ずっとレベル99でとまってたんだぁ。マスターもライカと一緒って言ってた」
リボルも一緒だったのか。
転生前、攻略掲示板に呪術師の超越者は載っていなかった。
転生してから超越者になるパターン、今後はこの線も強く視野に入れていかねばならない。
「ライカはね、転生した日――NPCに騙されて売られかけたんだ」
ライカの言うNPC。
もとからオンリー・テイルに生きる現地人のことだろう。
「一人で心細くて泣いてるところを、NPCが話しかけてくれたの。でも、それもミミモケ族を奴隷商に売り飛ばすため、それだけが目的だったんだぁ。ライカはバカだから、優しい言葉だけで信じちゃって、言われるがままに――付いて行っちゃった」
ライカが自身の身体を抱き締め――震え始める。
顔付きは真っ青に、幼い少女はどれだけひどい目にあったのか、どれほど心に傷を残されたのか、その様子から想像するに――容易かった。
「怖、かった、怖かったぁ。ライカの、身体をベタベタ、ベタベタ、裸に、されて、色々なところを触られて、気持ち悪くって、吐いたら、殴られた」
「……ライカ」
「殺す力くらい、ライカにはあったよ。だけど、そんな度胸も勇気も――あの時のライカは持ち合わせていなかったんだぁ」
「ごめん。いやなことを思い出させちゃったね」
「ううん。クーラお姉さんには聞いてほしいなぁ」
僕はライカの頭をなでる。
ライカは少し安心したのか、目を細めながらピコピコと尻尾を揺らす。
「……もう本当に、心が壊れちゃいそうな時にね、マスターが、助けてくれたの」
ライカが続きを話し始める。
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