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火の都サラマン激突編
193話 年上だったの?
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「ご馳走様でした」
目的の辰寿司を堪能し、僕たちはお店をあとにする。
絶品も絶品、まさにもとの世界となんら遜色ないお寿司であった。マグロやウニ、いくらやトロ、海の幸のフルコース、お会計が破格の紙幣5枚分だったのは――ご愛嬌ということにしておこう。
しかし、ここまで全てが類似していると偶然では片付けられない。
予想の範疇ではあるが、陽の国サンサンはプレイヤーが創った国なのではないのだろうか。
転生時、僕含めた皆――時系列はバラバラだった。イレギュラーの一つ、遥か昔に転生していたプレイヤーがいたとしてもおかしくはない。
ライカが両手を上げて伸びしながら、
「んんー、美味しかったぁっ!」
「最高の時間だったね」
「ライカ、毎日でも食べたいくらいっ!」
「毎日は破産しちゃうかな」
仮に毎日通ったら、20日で資金が尽きるのか。
まあ、正直なところリペアストーンが好調に売れたら問題はない。何故なら、僕のアイテムボックスには――リペアストーンが9999個詰まっている。
プレイヤーならば、このアイテムがどれだけ優れているかすぐに気付くと考えて、僕は素早くウィンウィンにてカンストするまで買い占めたのだ。
一個銀貨5枚、エドル換算で5000万円分ある。
さすがに、全て売る気はないが――半分くらいは問題ない。あとは夜叉の店主が上手に売ってくれることを祈ろう。
「クーにぃ、この後はどうするの?」
「もう少し街中を見歩いてから、紅桜組の屋敷に帰ろうか」
「ライカ、デザート食べたいなぁ」
「奇遇だね、僕もそんな気分だったよ。甘味処に寄って行こう」
「わーいっ!」
なんだか、ナコを思い出す。
ウィンウィンや王都でも、色々なところを巡った。
今はもうナコが一人だとしても心配することはない。ナコは立派に一人で生き抜く力を持っている。
ナコとゴザルも、合流する方法を探しているだろう。
お互いの出会いたいという気持ちは、必ずどこかで繋がるに違いない。今は自分のできる範囲で足掻くしかない。
僕たちは夕刻まで街を見て歩き――紅桜組に戻る。
「クーラ殿、ライカ殿、おかえりなさい。サンサンはどうであった?」
風花さんが出迎えてくれる。
僕たちはただいまと返し、今日のことを振り返ってみる。
「街の人たちが元気に満ち溢れていて、笑顔で暮らしていて――国を治めている人が素晴らしく、信頼されているのだとひと目でわかりましたよ」
「ライカはね、どこのご飯も全部美味しかったぁっ!」
「あっはっは、そうかそうか。クーラ殿は私と年齢は同じくらいだろう? そこまで広範囲で考えているのか。なんだか、大物の感想だな」
「大袈裟ですよ。ちなみに、風花さんっておいくつなんですか?」
「私は23だ」
「僕の2個上だったんですね。風花お姉様って呼びましょうか」
「や、やめてくれ。なんだかむず痒いぞ」
「じゃあ、風花おば様?」
ライカの一言に場が静まり返る。
な、なんてことを言うんだ――近くにいた隊員の方たちも、嵐の前兆を感じてか無言でこの場から退散して行く。
風花さんは感情の消え去った顔付きにて、
「ライカ殿、今なんと申した?」
「お姉様がいやなら、おば様がいいのかなぁって」
「よいわけないだろぉおおっ?!」
「ぎょわーっ!」
風花さんがライカを羽交い締めにする。
ライカが助けを求める眼差しを僕に向けるが――僕は強く首を振り返す。
今のは完全にライカが悪い。
「じょ、冗談なのにぃ! 風花は美人だからぁ、ごめんなさぁああいっ!」
「……冗談の域を、超えているっ!」
そのまま、風花さんがライカをくすぐり始める。
「きゃはは、あはは、そこ、やだぁっ! ライカ、ワキは弱い、から、駄目、ダメだってばぁああっ!」
「そういうライカ殿はいくつなんだっ! 答えてみろぉっ!」
「ら、ライカは12歳っ! 12歳だよぉっ!!」
「12歳は若すぎるぞっ!」
ナコより一つ年上だったのか。
ライカ本人には絶対に言わないし、言えないが――どの方面から比較してもナコの方が大人に感じる。
風花さんとライカが戯れる中、局長が通りがかった。
局長は微笑ましげにその光景を眺め――なにを思ったのか、手をワキワキとしながら二人に近付いて行く。
「おぅおぅ、楽しそうなことしておるのうっ! ワシも混ざってよいかっ?!」
「……局長、その発言はいかがなものかと」
「きゅ、急に真面目なトーンはやめてくれんか」
局長は仕切り直すよう咳払いを一つ、
「クーラ殿、それでは情報共有を開始しようではないか。こちらに席を設けてある、ワシに付いて来てくれ」
今、サンサンの国――この大陸の全貌がわかる。
目的の辰寿司を堪能し、僕たちはお店をあとにする。
絶品も絶品、まさにもとの世界となんら遜色ないお寿司であった。マグロやウニ、いくらやトロ、海の幸のフルコース、お会計が破格の紙幣5枚分だったのは――ご愛嬌ということにしておこう。
しかし、ここまで全てが類似していると偶然では片付けられない。
予想の範疇ではあるが、陽の国サンサンはプレイヤーが創った国なのではないのだろうか。
転生時、僕含めた皆――時系列はバラバラだった。イレギュラーの一つ、遥か昔に転生していたプレイヤーがいたとしてもおかしくはない。
ライカが両手を上げて伸びしながら、
「んんー、美味しかったぁっ!」
「最高の時間だったね」
「ライカ、毎日でも食べたいくらいっ!」
「毎日は破産しちゃうかな」
仮に毎日通ったら、20日で資金が尽きるのか。
まあ、正直なところリペアストーンが好調に売れたら問題はない。何故なら、僕のアイテムボックスには――リペアストーンが9999個詰まっている。
プレイヤーならば、このアイテムがどれだけ優れているかすぐに気付くと考えて、僕は素早くウィンウィンにてカンストするまで買い占めたのだ。
一個銀貨5枚、エドル換算で5000万円分ある。
さすがに、全て売る気はないが――半分くらいは問題ない。あとは夜叉の店主が上手に売ってくれることを祈ろう。
「クーにぃ、この後はどうするの?」
「もう少し街中を見歩いてから、紅桜組の屋敷に帰ろうか」
「ライカ、デザート食べたいなぁ」
「奇遇だね、僕もそんな気分だったよ。甘味処に寄って行こう」
「わーいっ!」
なんだか、ナコを思い出す。
ウィンウィンや王都でも、色々なところを巡った。
今はもうナコが一人だとしても心配することはない。ナコは立派に一人で生き抜く力を持っている。
ナコとゴザルも、合流する方法を探しているだろう。
お互いの出会いたいという気持ちは、必ずどこかで繋がるに違いない。今は自分のできる範囲で足掻くしかない。
僕たちは夕刻まで街を見て歩き――紅桜組に戻る。
「クーラ殿、ライカ殿、おかえりなさい。サンサンはどうであった?」
風花さんが出迎えてくれる。
僕たちはただいまと返し、今日のことを振り返ってみる。
「街の人たちが元気に満ち溢れていて、笑顔で暮らしていて――国を治めている人が素晴らしく、信頼されているのだとひと目でわかりましたよ」
「ライカはね、どこのご飯も全部美味しかったぁっ!」
「あっはっは、そうかそうか。クーラ殿は私と年齢は同じくらいだろう? そこまで広範囲で考えているのか。なんだか、大物の感想だな」
「大袈裟ですよ。ちなみに、風花さんっておいくつなんですか?」
「私は23だ」
「僕の2個上だったんですね。風花お姉様って呼びましょうか」
「や、やめてくれ。なんだかむず痒いぞ」
「じゃあ、風花おば様?」
ライカの一言に場が静まり返る。
な、なんてことを言うんだ――近くにいた隊員の方たちも、嵐の前兆を感じてか無言でこの場から退散して行く。
風花さんは感情の消え去った顔付きにて、
「ライカ殿、今なんと申した?」
「お姉様がいやなら、おば様がいいのかなぁって」
「よいわけないだろぉおおっ?!」
「ぎょわーっ!」
風花さんがライカを羽交い締めにする。
ライカが助けを求める眼差しを僕に向けるが――僕は強く首を振り返す。
今のは完全にライカが悪い。
「じょ、冗談なのにぃ! 風花は美人だからぁ、ごめんなさぁああいっ!」
「……冗談の域を、超えているっ!」
そのまま、風花さんがライカをくすぐり始める。
「きゃはは、あはは、そこ、やだぁっ! ライカ、ワキは弱い、から、駄目、ダメだってばぁああっ!」
「そういうライカ殿はいくつなんだっ! 答えてみろぉっ!」
「ら、ライカは12歳っ! 12歳だよぉっ!!」
「12歳は若すぎるぞっ!」
ナコより一つ年上だったのか。
ライカ本人には絶対に言わないし、言えないが――どの方面から比較してもナコの方が大人に感じる。
風花さんとライカが戯れる中、局長が通りがかった。
局長は微笑ましげにその光景を眺め――なにを思ったのか、手をワキワキとしながら二人に近付いて行く。
「おぅおぅ、楽しそうなことしておるのうっ! ワシも混ざってよいかっ?!」
「……局長、その発言はいかがなものかと」
「きゅ、急に真面目なトーンはやめてくれんか」
局長は仕切り直すよう咳払いを一つ、
「クーラ殿、それでは情報共有を開始しようではないか。こちらに席を設けてある、ワシに付いて来てくれ」
今、サンサンの国――この大陸の全貌がわかる。
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