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火の都サラマン激突編
192話 資金調達
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「ぬわ、なな、なんですか、この画期的なアイテムはっ?!」
風花さんオススメの商店にて商談を開始する。
店主はとても若く、オシャレメガネをかけた聡明さを感じさせる女性だった。
僕が提示したアイテム、リペアストーンを見て絶叫――どうやら、この手のアイテムはサンサンでは存在しないようだ。
なんとなく、どこの家にもお風呂が常設されているという点から――清潔さを保つことは入浴がメインだと予想はしていた。
しかし、先ほど――唐揚げ屋さんから、紅桜組に仕入れを依頼しているとの話を聞いている。
紅桜組に依頼するとなると、モンスターの肉の可能性が高い。
風花さんが危険区域にいた理由、見回り以外にも――理由があったと考える方が妥当だろう。
つまり、クエストのようなものをしているということだ。
無論、それは遠方に向かう依頼もあるに違いない。長い旅路、どうしても汚れというものは付きまとう。
このリペアストーンは店主の反応から察するに――売れ筋アイテムとなる。
綺麗好きな人が多い国、注目されることは必至、
「素晴らしい、素晴らしいですよ。こちらのアイテム、一個おいくらで当商店に仕入れさせてくれるでしょうか?」
相場は一個3000エドルだ。
消費アイテム、冒険時に毎日使いたいもので――これはかなり高価な方である。もとの世界でいうラーメン定食3人前クラスだ。同値でこちらの通貨と交換という形でもいいのだが、せっかくなので多少の上乗せくらいは問題ないだろう。
風花さんから、通貨については聞いてきた。
サンサンでは――銅貨、銀貨、紙幣、これらの順に金銭的な価値が上がっていくという話だ。
銅貨1枚をエドルに換算すると、大体100エドル、銀貨は1枚1000エドル、紙幣は1枚10000エドルである。
基本的な部分は、もとの世界にかなり似通っていた。
「一個、銀貨5枚はいかがですか?」
二倍には届かないくらいの価格で提案してみる。
「……銀貨、5枚ですか」
店主が顎に手を当てながら静かに呟く。
少々強気すぎたか? しかし、この国にはないアイテム――市場価値は高めに設定しておいた方がいい。安くしすぎると、この国の根本的な部分、お風呂で清潔にするという概念が覆ってしまうかもしれないからだ。
あくまで、リペアストーンは冒険時の非常用として広まってほしい。
「そんなにお安くでよかったのですか?」
店主から予想外の一言が返ってくる。
「この国は清潔好きな方が多いですからね。これだけの優れたアイテム、喉から手が出るほど欲しがると思いますよ」
「あまりに高くしすぎると、冒険者の方が購入しづらいかなと思いまして」
「……冒険者? ああ、ハンターのことですか?」
「ハンター?」
「サンサンでは、モンスターを狩る人のことを――そう呼びます。外見や服装から察するに、あなたは異国の方ですよね? どこから来たのですか?」
「風の都ウィンディア・ウィンドというのですが――ご存知ですか?」
「ふーむ。風の都ウィンディア・ウィンドですか」
店主が首を傾げる。
知っているのならば、リペアストーンにここまで驚きはしないだろう。
もしかして、また別世界に飛んじゃってるとかないよね?
だが、店主の次の一言で――全てが引っくり返る。
「失礼ですが、流の王国ウィンディア・ウィンドの間違いではないですか?」
「流の王国を知っているんですかっ?!」
思わず、僕は店主に詰め寄ってしまう。
「は、はい。代々我が商店に伝わる交易の文献に――流の王国と取り引きをしていた内容が載っていたはずです」
ここはオンリー・テイルの世界で間違いない。
陽の国サンサンもゲーム時の地図には描かれていないだけで、世界のどこかで繋がっているということだ。
それがわかっただけでも――大収穫である。
「ただ、残念ですが――文献も完全ではなく、所々擦り切れてなくなったりと、不十分な形なのです。お力になれず申しわけありません」
「いえ、十二分です」
僕は深々と頭を下げ――お礼を言う。
その時、店内を探索していたライカが駆け寄って来る。
商談が終わるまでアイテムでも見回ってみたらと勧めていたのだが――飽きてしまったようだ。
ライカが僕の腕を引っ張りながら、
「クーにぃ、まだ話終わらないのー?」
「ごめんごめん。店主さん、僕はこちらのお店以外、取り引きは考えていません。リペアストーンですが、100――いや、200個ほどお願いできないでしょうか?」
専属を持ち掛け、仕入れの数を多めに提示してみる。
「専属の話、願ったり叶ったりです。200個くらい、私が売り捌いてみせますよ。我が商店『夜叉』――これからも末永くよろしくお願いいたしますね」
快く承諾される。
さすが、風花さんオススメの商店――話はトントン拍子に、販売価格は店主さんにお任せということで、僕は先ほど提示した分のお金をいただく。
リペアストーン200個、丁度――約100万円だ。
「お待たせ、行こうか」
「ライカ、お腹空いたぁっ!」
あれ?
さっき――唐揚げ串3本くらい食べてたよね?
風花さんオススメの商店にて商談を開始する。
店主はとても若く、オシャレメガネをかけた聡明さを感じさせる女性だった。
僕が提示したアイテム、リペアストーンを見て絶叫――どうやら、この手のアイテムはサンサンでは存在しないようだ。
なんとなく、どこの家にもお風呂が常設されているという点から――清潔さを保つことは入浴がメインだと予想はしていた。
しかし、先ほど――唐揚げ屋さんから、紅桜組に仕入れを依頼しているとの話を聞いている。
紅桜組に依頼するとなると、モンスターの肉の可能性が高い。
風花さんが危険区域にいた理由、見回り以外にも――理由があったと考える方が妥当だろう。
つまり、クエストのようなものをしているということだ。
無論、それは遠方に向かう依頼もあるに違いない。長い旅路、どうしても汚れというものは付きまとう。
このリペアストーンは店主の反応から察するに――売れ筋アイテムとなる。
綺麗好きな人が多い国、注目されることは必至、
「素晴らしい、素晴らしいですよ。こちらのアイテム、一個おいくらで当商店に仕入れさせてくれるでしょうか?」
相場は一個3000エドルだ。
消費アイテム、冒険時に毎日使いたいもので――これはかなり高価な方である。もとの世界でいうラーメン定食3人前クラスだ。同値でこちらの通貨と交換という形でもいいのだが、せっかくなので多少の上乗せくらいは問題ないだろう。
風花さんから、通貨については聞いてきた。
サンサンでは――銅貨、銀貨、紙幣、これらの順に金銭的な価値が上がっていくという話だ。
銅貨1枚をエドルに換算すると、大体100エドル、銀貨は1枚1000エドル、紙幣は1枚10000エドルである。
基本的な部分は、もとの世界にかなり似通っていた。
「一個、銀貨5枚はいかがですか?」
二倍には届かないくらいの価格で提案してみる。
「……銀貨、5枚ですか」
店主が顎に手を当てながら静かに呟く。
少々強気すぎたか? しかし、この国にはないアイテム――市場価値は高めに設定しておいた方がいい。安くしすぎると、この国の根本的な部分、お風呂で清潔にするという概念が覆ってしまうかもしれないからだ。
あくまで、リペアストーンは冒険時の非常用として広まってほしい。
「そんなにお安くでよかったのですか?」
店主から予想外の一言が返ってくる。
「この国は清潔好きな方が多いですからね。これだけの優れたアイテム、喉から手が出るほど欲しがると思いますよ」
「あまりに高くしすぎると、冒険者の方が購入しづらいかなと思いまして」
「……冒険者? ああ、ハンターのことですか?」
「ハンター?」
「サンサンでは、モンスターを狩る人のことを――そう呼びます。外見や服装から察するに、あなたは異国の方ですよね? どこから来たのですか?」
「風の都ウィンディア・ウィンドというのですが――ご存知ですか?」
「ふーむ。風の都ウィンディア・ウィンドですか」
店主が首を傾げる。
知っているのならば、リペアストーンにここまで驚きはしないだろう。
もしかして、また別世界に飛んじゃってるとかないよね?
だが、店主の次の一言で――全てが引っくり返る。
「失礼ですが、流の王国ウィンディア・ウィンドの間違いではないですか?」
「流の王国を知っているんですかっ?!」
思わず、僕は店主に詰め寄ってしまう。
「は、はい。代々我が商店に伝わる交易の文献に――流の王国と取り引きをしていた内容が載っていたはずです」
ここはオンリー・テイルの世界で間違いない。
陽の国サンサンもゲーム時の地図には描かれていないだけで、世界のどこかで繋がっているということだ。
それがわかっただけでも――大収穫である。
「ただ、残念ですが――文献も完全ではなく、所々擦り切れてなくなったりと、不十分な形なのです。お力になれず申しわけありません」
「いえ、十二分です」
僕は深々と頭を下げ――お礼を言う。
その時、店内を探索していたライカが駆け寄って来る。
商談が終わるまでアイテムでも見回ってみたらと勧めていたのだが――飽きてしまったようだ。
ライカが僕の腕を引っ張りながら、
「クーにぃ、まだ話終わらないのー?」
「ごめんごめん。店主さん、僕はこちらのお店以外、取り引きは考えていません。リペアストーンですが、100――いや、200個ほどお願いできないでしょうか?」
専属を持ち掛け、仕入れの数を多めに提示してみる。
「専属の話、願ったり叶ったりです。200個くらい、私が売り捌いてみせますよ。我が商店『夜叉』――これからも末永くよろしくお願いいたしますね」
快く承諾される。
さすが、風花さんオススメの商店――話はトントン拍子に、販売価格は店主さんにお任せということで、僕は先ほど提示した分のお金をいただく。
リペアストーン200個、丁度――約100万円だ。
「お待たせ、行こうか」
「ライカ、お腹空いたぁっ!」
あれ?
さっき――唐揚げ串3本くらい食べてたよね?
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