205 / 426
火の都サラマン激突編
204話 成長してるもん
しおりを挟む
共存の道は築けた。
本格的な協議は後日に、僕は白雪に本題を伝える。
連なりの巨塔を訪れた理由、世界全体が危機に陥っていることを話した。
「……海を渡りたい。貴様、それは妾の背中に乗るということか?」
「その相談をするつもりで連なりの巨塔まで行ったんだ。僕のワガママを聞いてもらうことは難しいかな?」
「き、貴様、素直にもほどがあるぞ。この邪気のない顔付き――萌太郎を思い出す。萌太郎も似たようなことを言っていた」
「似たようなこと?」
「萌え太郎は少し変わった性格でな。よく妾を触手で縛ってもいいか聞いてきた。理由を尋ねても――そこに萌えるからとしか言わなかったな」
「萌え太郎さん、性癖が隠し切れていないっ!」
「妾が今より小さかった時代、一言で言うと幼少期だ。そのころは――まだ背も低く、胸もぺっちゃんこだったのだ」
「……胸がぺっちゃんこ、だった?」
「今、妾の方を見た理由を述べろ」
「いや、たまたまだよ」
「なにか知らんが、やけにイラッときたぞ」
「んんー? 白雪、ライカと体型変わりないよねぇ。全然成長してるように見えないんだけど――ライカの気のせい?」
ライカが悪意なく核心を突く。
その一言に、白雪が自身の胸の辺りを手で抑える。
数秒後、プルプルと涙目で震え出した。
こんな時、どんな言葉をかけるのが正解なのか?
「……白雪」
未来はある、僕はそう言いかけて――口ごもる。
このシチュエーション、つい最近もどこかで見た記憶がある。安らぎの満天、露天風呂での出来事、ナコとホムラの胸を見比べた時だ。
経験を活かせ、僕――デリカシーを忘れるな。
白雪の見た目は完全に高校生くらいの年代だが、ドラゴンの長という限りすでに成長仕切っている可能性だってある。
最適解を見出だせ――僕はゆっくりと口を開く。
「小さい胸も大好きだよ」
僕の言葉に場が凍り付くのがわかった。
風花さんはマジかこいつといった顔、普段セクハラ三昧の局長すらもヤバいよそれはといった雰囲気をだしている。
だが、今さら引くわけにもいかない――僕は突き進む。
「小さい胸も好きだよ」
「貴様、何回強調して言うつもりだっ?! しかも、なんで控えめに言い直したのだっ!? どうせなにも成長していない、妾はちんちくりんのままだっ!!」
「クーラ殿、今のはないですよ」
「うむ。ワシもどうかと思う」
風花さん、局長が言う。
「こういう時だけ仲良く同調しないでくださいよっ?!」
僕は脱線した話を戻すべく、咳払いを一つする。
「それで、海を渡るって話はどうかな?」
「ふんっ、大サービスだ。妾が背に乗せてやろう。貴様の言う話が本当ならば、モーエン大陸も危ないからな」
白雪は付け加えるよう、人差し指を立てながら、
「しかし、一つだけ条件がある」
本格的な協議は後日に、僕は白雪に本題を伝える。
連なりの巨塔を訪れた理由、世界全体が危機に陥っていることを話した。
「……海を渡りたい。貴様、それは妾の背中に乗るということか?」
「その相談をするつもりで連なりの巨塔まで行ったんだ。僕のワガママを聞いてもらうことは難しいかな?」
「き、貴様、素直にもほどがあるぞ。この邪気のない顔付き――萌太郎を思い出す。萌太郎も似たようなことを言っていた」
「似たようなこと?」
「萌え太郎は少し変わった性格でな。よく妾を触手で縛ってもいいか聞いてきた。理由を尋ねても――そこに萌えるからとしか言わなかったな」
「萌え太郎さん、性癖が隠し切れていないっ!」
「妾が今より小さかった時代、一言で言うと幼少期だ。そのころは――まだ背も低く、胸もぺっちゃんこだったのだ」
「……胸がぺっちゃんこ、だった?」
「今、妾の方を見た理由を述べろ」
「いや、たまたまだよ」
「なにか知らんが、やけにイラッときたぞ」
「んんー? 白雪、ライカと体型変わりないよねぇ。全然成長してるように見えないんだけど――ライカの気のせい?」
ライカが悪意なく核心を突く。
その一言に、白雪が自身の胸の辺りを手で抑える。
数秒後、プルプルと涙目で震え出した。
こんな時、どんな言葉をかけるのが正解なのか?
「……白雪」
未来はある、僕はそう言いかけて――口ごもる。
このシチュエーション、つい最近もどこかで見た記憶がある。安らぎの満天、露天風呂での出来事、ナコとホムラの胸を見比べた時だ。
経験を活かせ、僕――デリカシーを忘れるな。
白雪の見た目は完全に高校生くらいの年代だが、ドラゴンの長という限りすでに成長仕切っている可能性だってある。
最適解を見出だせ――僕はゆっくりと口を開く。
「小さい胸も大好きだよ」
僕の言葉に場が凍り付くのがわかった。
風花さんはマジかこいつといった顔、普段セクハラ三昧の局長すらもヤバいよそれはといった雰囲気をだしている。
だが、今さら引くわけにもいかない――僕は突き進む。
「小さい胸も好きだよ」
「貴様、何回強調して言うつもりだっ?! しかも、なんで控えめに言い直したのだっ!? どうせなにも成長していない、妾はちんちくりんのままだっ!!」
「クーラ殿、今のはないですよ」
「うむ。ワシもどうかと思う」
風花さん、局長が言う。
「こういう時だけ仲良く同調しないでくださいよっ?!」
僕は脱線した話を戻すべく、咳払いを一つする。
「それで、海を渡るって話はどうかな?」
「ふんっ、大サービスだ。妾が背に乗せてやろう。貴様の言う話が本当ならば、モーエン大陸も危ないからな」
白雪は付け加えるよう、人差し指を立てながら、
「しかし、一つだけ条件がある」
27
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる