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火の都サラマン激突編
205話 白雪の修行 前編
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「はい、いっちにーいっちにー」
白雪の掛け声に合わせ、紅桜組の敷地内を走り続ける。
隊員が何十人も同時に鍛錬できるだけあって――庭は広大、スペースの一角を僕たちはお借りしていた。
僕と一緒にライカも走っており、
「ねぇ、クーにぃ、白雪厳しすぎない?」
「厳しすぎる。もう僕の魔力なくなりそうなんだけど」
「それは早すぎないかなぁ。ライカ、まだまだ魔力余裕であるよ」
「ライカの言う通りだ。貴様の魔力操作、笑えるくらい下手くそだぞ。無駄な放出が多すぎる上に循環できていない。今までよく生きてこられたな」
「……以前、誰かにも同じようなこと言われたな」
あの時、白雪の提示した条件は――僕に修行をつけることだった。
「フレイムドルフ、話を聞いた限りでは――今の貴様が勝てる相手とは思えん。条件は妾が修行を付けてやることだ」
「……修行?」
「ぶつかり合った時、貴様の戦闘スタイルの底が見えた。めちゃくちゃな魔力の放出、命を散らしながら戦っているようなものだ。そのままでは――近い未来に死ぬぞ。スタンダードな状態で戦えるようになっておけ。自身を消費する戦い方は――最後の手段して取っておく方がいい。無闇に使うのは愚策、基本ができてこそ切り札は生きてくるのだぞ」
「正論すぎて反論できない」
「しばらくの間、妾は協議のために――サンサンに滞在する。その合間、徹底的なまでに鍛えてやろう。新たな懸け橋ができた途端、急に死んだとなっては困るからな」
――そして、現在に至る。
「萌太郎は強かった。萌太郎の域にまで達しろとはいわないが、せめて足にへばりつくくらいの根性は見せろ」
「は、はひぃ」
魔力の欠乏症。
僕は重力に引き寄せられるままに――地面に倒れ込む。ライカが心配そうに僕の顔を覗き込む背後、白雪が歩み寄って来る。
僕の額に手を置き――紫色の光が全身を包み込んだ。
「チャージ」
「えっ、なにこれ」
「妾の魔力を分け与えた。動けるようになっただろう」
白雪は悪魔のような笑みを浮かべながら、
「安心しろ。貴様が魔力操作のい・ろ・は・を習得するまでは――休むことなど断固として許さない。夜が更けても走り続け、朝が訪れても走り続け、妾が合格というまではひたすら身体を動かし続けるのだ」
「安心部分が一ミリも見当たらない」
「ライカ飽きたから、屋敷の中に戻るねぇ」
「やだやだ、ライカさぁんっ! 僕を一人にしないでっ!!」
「ああ、ライカは好きにしていろ」
「僕と扱いが違いすぎる」
「当前だ、ライカは天才なのか? あの年齢にして、魔力操作に微塵のブレも見当たらないぞ。妾が教えてやれることは――なに一つない」
白雪はライカの後ろ姿を見送りながら、
「ふっ、一度くらいライカと手合わせしても面白いかもな」
強者の血が騒ぐのか。
ゴリゴリと指を鳴らしながら、楽しそうにそう呟くのであった。
白雪の掛け声に合わせ、紅桜組の敷地内を走り続ける。
隊員が何十人も同時に鍛錬できるだけあって――庭は広大、スペースの一角を僕たちはお借りしていた。
僕と一緒にライカも走っており、
「ねぇ、クーにぃ、白雪厳しすぎない?」
「厳しすぎる。もう僕の魔力なくなりそうなんだけど」
「それは早すぎないかなぁ。ライカ、まだまだ魔力余裕であるよ」
「ライカの言う通りだ。貴様の魔力操作、笑えるくらい下手くそだぞ。無駄な放出が多すぎる上に循環できていない。今までよく生きてこられたな」
「……以前、誰かにも同じようなこと言われたな」
あの時、白雪の提示した条件は――僕に修行をつけることだった。
「フレイムドルフ、話を聞いた限りでは――今の貴様が勝てる相手とは思えん。条件は妾が修行を付けてやることだ」
「……修行?」
「ぶつかり合った時、貴様の戦闘スタイルの底が見えた。めちゃくちゃな魔力の放出、命を散らしながら戦っているようなものだ。そのままでは――近い未来に死ぬぞ。スタンダードな状態で戦えるようになっておけ。自身を消費する戦い方は――最後の手段して取っておく方がいい。無闇に使うのは愚策、基本ができてこそ切り札は生きてくるのだぞ」
「正論すぎて反論できない」
「しばらくの間、妾は協議のために――サンサンに滞在する。その合間、徹底的なまでに鍛えてやろう。新たな懸け橋ができた途端、急に死んだとなっては困るからな」
――そして、現在に至る。
「萌太郎は強かった。萌太郎の域にまで達しろとはいわないが、せめて足にへばりつくくらいの根性は見せろ」
「は、はひぃ」
魔力の欠乏症。
僕は重力に引き寄せられるままに――地面に倒れ込む。ライカが心配そうに僕の顔を覗き込む背後、白雪が歩み寄って来る。
僕の額に手を置き――紫色の光が全身を包み込んだ。
「チャージ」
「えっ、なにこれ」
「妾の魔力を分け与えた。動けるようになっただろう」
白雪は悪魔のような笑みを浮かべながら、
「安心しろ。貴様が魔力操作のい・ろ・は・を習得するまでは――休むことなど断固として許さない。夜が更けても走り続け、朝が訪れても走り続け、妾が合格というまではひたすら身体を動かし続けるのだ」
「安心部分が一ミリも見当たらない」
「ライカ飽きたから、屋敷の中に戻るねぇ」
「やだやだ、ライカさぁんっ! 僕を一人にしないでっ!!」
「ああ、ライカは好きにしていろ」
「僕と扱いが違いすぎる」
「当前だ、ライカは天才なのか? あの年齢にして、魔力操作に微塵のブレも見当たらないぞ。妾が教えてやれることは――なに一つない」
白雪はライカの後ろ姿を見送りながら、
「ふっ、一度くらいライカと手合わせしても面白いかもな」
強者の血が騒ぐのか。
ゴリゴリと指を鳴らしながら、楽しそうにそう呟くのであった。
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